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1-14-1 それぞれの旅

第14話


どこまでも続く薄っすら黄色い霧。鼻の奥に纏わりつく、ゆで卵が腐ったような臭い、床一面の生暖かいネチャッとした液体……ここは一体何番目の地獄かな?


「ゲホゴホッ……。あー、クソッ、蒸気が鼻に……咽る……。」


咳が反響する。どこまでも続く空間じゃなくて、ある程度閉ざされた空間かな?

それなら何処かに壁が。壁沿いを辿れば何処かに出口が…………あるといいんだけど。ただ……何でここにいるのか分からないけど、間違いなく下水道の類だから触れたくない。


…………何かが水に飛び込んだような音がする。


目を凝らす…………白いウサギだ? あの時のウサギか?


「……ここに居たら病気になるぞ。ウサギはあんまり強くない生物なんだしさ、早くあたしとここから出よ……う…………?」


首に鍵の付いたネックレスが掛かっている。誰かの飼いウサギか? そもそも何で下水道にウサギがいるんだ?

ウサギもこっちを向いたままじっとしていて動かない。少し動くと胴体だけ前を向いて、顔はこっちを向いたまま。呼んでるのかな?


踝まで浸かった謎の液体の中をザボンザボンと水しぶきを上げながらウサギに向かって走ると、ウサギも飛び跳ね、前に進む。停まるとウサギもまたこっちを向いたまま止まる。あいつは一体どこへ……?


一心不乱にウサギを追いかける。ウサギも逃げるように前へ前へと進む。徐々に黄色い霧は晴れ、ただただ真っ白な世界が顕わになり、気付けばウサギもどこかへ消えていた。そして代わりに真っ白な光りがこちらへと――――


◇◇


「…………っ!」


……うーん、誰だよ?


「…………ねてん…っ?」


…………。


「おいっ、いつまで寝てんだ?」

「うーん……ルピナス、もっと寝かせろよ……。」

「何寝ぼけてんだ。ルピナスって誰だよ?」


……目を開けると、見覚えのある黒髪の女の子……?

目を凝らす。お怒り顔の黒髪の…………。


「寝ぼけてんじゃねーぞっ!!」


……リリス?


「リリス……あんたもあんな屑鉄の荒野に紛れ込んだの?」

「…………あのなぁ……。」


確かにリリスだよな? ルピナスと口調がほぼ一緒だから間違えて……も無いな……。体格こそ似てるけど、髪の色も全然違うし、髪型も全然違う。


……ん?


目を凝らす。目を手で擦る。手あるし。足元を見ると足が付いてる。

……ここはあの教会じゃない、綺麗とは言えないが設備が整い、薄暗いが白い照明が部屋を照らしている。


「まさか、戻ってきたの?」

「お前は夢の中で何処へ行ってたんだ?」


仮設のラボだっ!! ラボのあたしのデスクだっ!!


「おっ、おい、何混乱してやがんだ?」


待って、何等かでプラグアウトしちゃったのっ!?

ってか、ネットワークなんて何も接続されてない謎デバイスからもプラグアウトできんのっ!!?

……ちょっと待ってよ…………あぁ、クソッ……どうやってあそこに戻ればいいんだよ……。


「ちょ待って、あたしは一体いつからここで寝てたの?」

「一時間前からだな。というか、片付け手伝えよ。撤収は明日だぞ?」

「撤収……?」

「お取り潰しだ。シャーロットなんかいいよな、あいつ金勘定も出来るし、人工知能なんて、与えられた仕様書通りのものを、たった半日で作り上げてしまうしさ。」

「えっ、シャルルちゃんがどうしたの?」

「おい、寝ぼけんのも大概にしろ。あいつ、一週間前にオズワルドの研究室に内定が出ただろ?」


えっ、ちょ…………いや、知らない。撤収の話も知らない……お取り潰しとは? 何でよりによってオズワルドの研究室に? 一体全体どうしたっての?


あっ……駄目だ。混乱してる。脳内と目玉がぐーるぐる。我が天頂に浮かぶヒヨコたちもぐーるぐる。


「……ちょっと風に当たってくるわ。」

「おい待てっ!!」


ドアから廊下へ出る。いつもの無機質な廊下、ジリジリと音のする照明……。

ここは有象無象の研究者が集う総合研究施設。その中の一室をあたしたちは借りていた。研究室は無数にあり、空き部屋も多い。


記憶は薄っすらとある。簡潔に言えばクビ。落ちぶれた研究者を残しておく義理は無いのだろう。


はぁ…………。


クソが…………。


何でだよう…………。


『そこまでだっ!!』

「えっ!?」


左右から何体かの機械兵が押し寄せる。あっ、あたしが何かしたって――――

…………待って、この白黒の機械兵っ!?


『大人しく手を上げろっ!!』

「ちょ、ちょっとこの子、デルタっ!? 何でまだ試験中のデルタがここにっ!?」

『声を出すなっ!!』


デルタはあたしの首を掴み、もう一体のデルタは設計した覚えのない銃を顔に押し付ける。

…………いうまでも無く、他の所に設計図を持っていかれている。


「ユーリア、戻れっ!! オレたちは研究室に監禁されてることを忘れたのかっ!?」

「監禁ってっ!?」

『早く戻れっ!! さもなければ――――』

『わたしたちが――――』

『お前を“タラスク”へ連行するっ!!』


タラスクっ!?

ちょっと待て、タラスクってあの……生きたまま喰らい、処刑するあの――――


「こいつを連れて今直ぐに去りますので、勘弁願えますか?」

『3秒以内だ。』


リリスはわたしの首を腕でロックし、凄まじい力で引きずり込む。

なんだこの馬鹿力は……リリスにこんな力なんてあったのっ!?


「痛いっ!! やめてっ!! 苦しいっ!!!!」

「うるせぇっ!! この……野郎っ!!!!」


体がふわっと宙に浮く。決して抗えないそのとんでもない馬鹿力で研究室の中に投げつけた。あの体の時のように、壁にビターンッと全身を叩きつけられた。


「ぐふっ!!!!」

「お前、あのボナコン型処理装置に入れられたらどうなるか分かってんだろうなっ!!?」


意識が朦朧とし、無数のヒヨコの他、星のようなものまで周囲を舞っている。常人であれば……いや、常人だけど、間違いなく意識不明の重体。

だが、リリスは滅茶苦茶強い力で何度もビンタして、あたしを起こそうとする。殺す気か?


「もう一度聞く。あのボナコン型処理装置に――――」


これ以上叩かれたらスライムみたいな顔になってしまうので、僅かに残されたHPを振り絞りリリスの方を向く。その真っ黒な髪には真っ黒な猫の耳が生えていた。リリスは獣人ではなく単なる魔族、耳なんて無いはず。夢を見ているのだろうか、それとも幻覚を……? いや、魔族なら、幾ら肉体増強の魔法で固めていてもあんな馬鹿力は無いはずだ。けど獣人なら……。


「おい、聞いてんのかっ!?」

「はっ、はいい…………。」


その顔は今にも泣きそうで、顔も真っ赤で…………。

クソッ、マジか……。

マジで何でどうしてこうなったんだよ…………?


夢で、夢であってほしい…………。


夢で……………。


…………?


◇◇


「………………。」


…………誰だよう?


「…………さま。」


…………?


「ユーリアさま、もう日が昇りましたよ。」


あれ…………コハルちゃん?

ここは…………何処だ? あっ、この感じ、地下だ。あの錬金ルームだ。


『……やっぱり夢だったんだ。』


あぁ、夢か。良かった。悪夢はよく見るけど、こんな夢、初めてだ。これ程……これ程、夢で良かったなんてことは無い。何より、リリスを泣かしてしまったことが心に突き刺さる。


「ウフフッ、あの後ルピナスさまとユーリアさまは気絶してしまって、どうなるかと思いましたが……ウフフッ、無事でよかったです。」

『師匠、目が覚めたんなら今度こそ錬金術を教えてよっ!』


……リリスには悪いけど、もうしばらく、この世界に居させてもらうよ。

罪は、償わなきゃだけど……烏滸がましいようだけど、もう少し夢を見させてよ。


◇◇


……ところで、あの夢は本当に何だったんだ?

現実に帰って考えてみれば滑稽なことでも、夢の中では信じてしまう。中でどんなこと言われてもそうだったって思ってしまう。

……と言っても、シャルルちゃんにそういう話は無かったというぐらいか。情報量が少なすぎる。

う~ん……少し不穏だけど夢は夢だ。今はそれより……。


『師匠、腕組みしたカエルみたいなポーズして、何を考えているのですか?』

『う~ん……今度は何作ろうかなって考えてたの。』

『あのさ、これってもう一個作れる?』

『これ?』


テルミナちゃんは手に見覚えのあるバッグを持っていた。自分のものでもないのに天高々に持ち上げて自慢気な表情。顔のパーツ無いけど。

……あぁ、あれは、あいつが持っていた四次元バッグだ。でかしたぞっ!


『じゃあ、それ貸して。よーし、分解する必要があるけど、どんな素材にどんな空間魔法の術式に……いや、それはどんな術式形態でも無理過ぎるぞ。あれは闇属性と時空属性の合わせ技だし、取り出す時も復元に使う光属性と時空属性の複雑な術式が必要だし……あたしに出来るのかな?』

『あっ、金髪ツインテール。』

『金髪ツインテール? …………痛ぁっ!!!!!!』


脳天に凄まじい衝撃と電撃が迸る。力は雲泥の差だけど、リリスに投げつけられたのとは別ベクトルの痛み。鼻の穴から脳みそが噴出するかと思った。鼻、ついてないけど。


「お前、勝手にわたしのバッグ持ち出すな。」

『いってぇ…………これはあたしが持ち出したんじゃないってっ!!!!』

「他に誰がそんなことするんだ?」


テルミナちゃんの方を向く。彼女はサッと横を向いた。こいつ…………。


「とにかく、返してもらうぞ。」

『…………ちょっと待て、お前、その身なりだとクッソ貧乏よね?』

「クッソは余計だが、否定はせん。」

『これ、四次元バ………ストレージバッグは帝国首都の一等地に家が建つぐらいの値段あるの。あんたこれ何処で手に入れたのっ!?』


胸倉を掴む勢いで急接近する。掴んで数発ビンタかましてもいいぐらい。


「何だよコイツ……人からバッグ盗んどいて……。これ貰ったのお前からだよ。」

『はぁ???? 意味分かんねーし。何であたしから貰ったってなるんだよ?』

「あんたの、そのクリオネ型のロボの中に前に入ってたオルビス修復システムから貰った。ノアの玩具入れにって。」


状況も何も全て意味不明。まぁ、興味も……いや、この体の元の持ち主のことよね? オルビス修復システムも……話が長くなりそうだからまた今度聞こう。


『状況は分からないけど、羽振り良すぎでしょうよ。んなことよりも、ねぇ、術式を解析したいから借りていい? 場合によったら壊れるかもしれないけど、その時はその時で……』

「誰がお前なんかにやるかバカっ!!」


ルピナスはあたしからバッグを強奪する。まぁ、壊れてしまったらあたしが隠れる場所もないし、ここは大人しく引くか。その代わり、オルビス修復システムについて詳しく話してもらおう。


『じゃあ代わりに――――』

「わたしはこの周辺の地理を調べるから、お前、妙なことするなよ。テルミナ、お前はノアを見ていてくれるか?」

『いいよ、別に。』

『あのさ、さっきのオルビ――――』


盗られまいとバッグをしっかりと抱え、ドアから出ていってしまった。不愛想な野郎だな。

リリスはあれよりも遥かに愛想はあるけど、まぁ……似てるか。


◇◇


何だか蒸し暑いので地上に出て考えようとタラップの開口部から寝室へ出ると、頬をパンパンに膨らませて不貞腐れたノアちゃんがベッドに座っていた。


“あぁ、丁度いい所に。”


『あいつがノアちゃんを放っといてどこか行っちゃったから怒ってるの?』


“そう。疲れ果てて眠ってるから置いて出かけるって話は聞いてたけど、あれの僅か十分後に完全に覚醒するとはね。タイミングが悪いわ。”


「むーっ!!」


“とはいえ、まだHPもMPも完全に回復してないから、眠らせようと幻魔族が使うような最強の催眠術をかけてるんだけど、見事にレジストしてくれるし。”


ローリエさんはクルリとこっちを向く。


“という訳で、ノアちゃんの相手をしてちょうだい。わたしは急ぎの用があるから、お願いね。”


そうだと思ったよ。まぁ、別にノアちゃん単体でもあのサソリ一匹粉微塵にしそうなぐらい強いけど、流石にこんな何も無い荒野の真ん中の教会に放っておくのはよくない。コハルちゃんが戻ってくるまで一緒に居るか。


『あっ、ノアさまが目覚めてる。ノアさまっ!!!!』


テルミナちゃんは地下への開口部から顔を出し、ノアちゃんを見るや否やすっ飛んでいった。


『ノアさまっ!! わたくしに剣の稽古をっ!!!! ぐふっ!!!!』


ノアちゃんは虫の居所が悪すぎて、立ち上がると同時に硬そうな真っ白な顔面に左ストレートをぶち込んだ。パンチは堅そうな顔面にめり込み、テルミナちゃんを吹き飛ばした。


“あら、ソフビ人形みたいに飛んだわね。強い。”


強いってレベルじゃねーぞ……。つーか、あれってめり込むの……。

壁に叩きつけられるも、幸いなことに壁に傷一つ入らず、顔も弾力があるのか元に戻り、天井から砂粒が落ちる程度で済んだ。

…………ノアちゃん、悪気の無い人を殴るのはだめ、暴力はだーめ。教えておかないと。


『ねぇ、ノアちゃん…………っ!!!!』


ノアちゃんに近づいた途端、その小麦色の手で掴まれ、両手で小さな胸に押し付けられ、そのままベッドインした。なぜ?


“あっ、丁度いいわ。”


『ノアちゃん、苦しいから離してっ!!!!』

「やだ。」


“この最強の催眠魔法はね、かなり限定的だけど反則に近い使い方があってね、催眠魔法が効く何かを効かない相手に密着させると、効かない相手にも効くようになるの。

そういうものをレジストする魔王を相手にした時に、耐性の無いスライムみたいな魔物を召喚して纏わりつかれたら、つまりそういうことだから、覚えておいてね。”


こんな時にチート級の攻略法を豆知識みたいに説明されても困るんだけど……ということは、今はあたしがスライムポジション?


“そう。はーい、チーズ。”


ローリエさんの黒い円らな瞳はピンク色になる。同時に意識が徐々に遠退いていく……。


◇◇


…………ここは何処だ?


真っ暗な空間。薄っすら感じる風の音と、水の滴る音、電線でも切れてるのか、放電音だけが聞こえる。

空気がとにかく悪い。錆びた鉄の臭いとオイルの臭い、ツンとする酸の臭いに、放電で生じたであろうオゾン臭、色んな臭いが混ざっている。


「………………くれ……。」


……微かに声が聞こえる。


「……助けて……くれ……。」

『ねぇ、誰か居るのっ!?』


聞き覚えのある声。腕組みをして考える暇は無いが……一体誰の……?


『ねぇ、どこっ!? 返事してっ!!』


……何も聞こえなくなってしまった。

…………上から日光か何かの光が降り注ぐ。上を見上げると真っ黒な天井は割れ、太陽が顔を出していた。そして割れ目は四角いパーツに分解されるように徐々に広がり、割れた天井の破片は天に昇り消えていく。

忽ち、天井は無くなり、周囲の状況が顕わになった。ここは無数のロボットやアンドロイドの残骸が積み重なったゴミ置き場だ。一体どこに居るか分からないが、これなら声の主を――――


『えっ、ちょっ――――』


あたしは空に引き込まれるように宙を舞った。


『ちょちょちょちょちょっ、ちょっと待ってっ!!!!!!』


誰に掴まれているわけでもない、勿論羽が生えているわけでもない。

だが、あたしは決して抗うことのできない大きな何かに掴まれ、空に引っ張り込まれるように、宙を舞っている。

子供が飛行機の玩具を掴んで振り回すように、何処か分からない場所をグルグル回って、そして横方向に向きが変わり、ただその方向へと飛ぶ。


……さっきの残骸置き場は元の形に戻っていた。あれは何だったんだ?


そのまま大きな何かに引っ張られるように茶色い大地が広がる世界を飛び、あばら家が立ち並ぶ集落の上を抜け、畑と横にちょこんと立った教会のような建物の上を…………畑に誰かいる?

というか、この教会の形や位置と畑の形――――


『うわっ!!!!』

「……むにゃむにゃ……ユーおねえちゃん、うるさい。」

『あっ……ごめん。』


一瞬、ノアちゃんを起こしたかと思ったが幸いにもまだ眠っていた。

掴む腕の力も弱まり、するっと抜けて脱出。まさかとは思うが、あの手はノアちゃんの……じゃないな。


『あっ、師匠、ノアさまを放って何処へ行くのですか?』

『コハルちゃんって、帰ってきてる?』

「うん。今さっき帰ってきて畑を弄ってるよ。」


寝室の壁に開いた穴から畑を見ると、夢の中で見た所と全く同じ位置で畑を触っていた。あの夢は一体?


“あら、もう目が覚めたの?”


『あっ、丁度いい所に。』


”夢の中で東の工場に行ってたのね。あれは火力発電所なんだけど、炉が帝国の古い処刑装置でね、ボナコン型廃棄物処理装置の初期型なの。”


まだ何も言っても無いのに……。

でも、ボナコンが何でこんな所にあるの……?


“あなたの研究所と同じ。建物ごと廃棄されたみたいね。”


ここは本当に何でも捨てられる巨大なゴミ捨て場なんだなぁ……。


『……もし、だけど、あそこってまだ動いてるの?』


“あの炉の煙突からは何も出てないし、動いてないと思うわ。まぁ、胃の中にはまだ押し潰してさえいない未消化の物がたくさん残ってるとは思うけど。”


『夢の中の話だけど、あの中に行ってて、その時、人の声がしたの。』


“人の声ってねぇ…………。”


『……あそこに行く方法ってあるかな……?』


“あるけど……そうだ。あなた、あの輪っか以外にもう一つ小さな風のガラス製品作ったでしょ?”


あれは……ルピナスに無理やり持たせるつもりで作った指輪型の風の魔道具、術式も同じ様に書き込んでどんな風魔法も使えるようにしたリング……。


“あれを貸して欲しいの。貸してくれたら見に行ってあげる。”


『……分かった。もし居たら助けてあげて欲しいの。』


“交渉成立ね。”


ローリエさんに風のリングをこの水晶玉に当ててと言われたので、当てるとリングは忽ち水晶玉に吸い込まれ、そして薄っすらと黄緑色に光った。


“流石ね。体が軽くなったような気がする。これで高速飛行が出来るようになったら魔物の駆除も捗るわ。”


フンコロガシの体とは思えない程に猛スピードで畑に飛び出し、上機嫌なのか大空をぐるぐると舞って集落のある方向へ飛び去った。



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