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終章、貴方にベッド・ティーを淹れたい。

勝利の火が立ち消えたかと思われたが…

 自宅に戻る馬車の中で、ダージリンはベルガモットの言葉を思い出す。


『この物語は初めから、ざまぁ見ろという物語よ。貴方の役割は終わりました』


 馬車の外はダージリンの心に追い打ちをかけるように激しい雨が降り注ぎ、窓を打ちつけている。


 ダージリンは窓に映った着崩したシャツを見て、意識を取り戻しボタンを止め直した。勝利をつかんだはずの彼はこのボタンの全てを外し、愛おしい最愛を二ヶ月ぶりに抱きしめるはずだった。


 愛おしい女性。レディ・ベルガモット・セーブル。


(私はやはり愚かな男です。貴方を諦めることなど、できるはずがありません。そして傲慢な男です。貴方を手に入れるために、どんな手段も厭いません)


「私の愛は簡単に打ち消せませんよ。特にあの兄の物となるのであれば……必ず奪い返します」


 ダージリンは心に決め、ポケットから出した真紅のタイを結ぶ。


『貴方を愛することはできません』


 ベルガモットの言葉が彼の心の火に油を注ぐ。

 ダージリンは様々な「恋物語」を読む中で、知りえた事がある。


「愛することはできない」と言った人物が簡単に愛するようになっていく物語が沢山ある、ということを。

 

「ならば、次の物語のタイトルはこうしましょう」


 ダージリンは紅い瞳を馬車の外、兄の住まう屋敷へ向け、ひとりごちた。


「『貴方を愛することはできない』そう言った君にベッドティーを飲ませるまで」


 銀髪にエメラルドの宝石を持つグレイ・マスカテル公爵。兄は男しか愛してこなかった男だ。


 戦う前から自分の勝利は目に見えている。

 弟は紅い瞳を細めて、物語の始まりを思考し、勝利へ向けて心に火を灯した。

お読み頂きありがとうございます。

このお話はここでいったん、完結となります。

反響があればダージリンの考えている物語も連載しようと

思っています。

男色家美男子の公爵と有能な男との戦いを見たいと思われた方は評価、いいね、感想などをお寄せ下さい。

では、最後までお付き合い頂きありがとうございました。


佐久ユウ

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