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おまけ


 今年、十歳になったばかりのレオナルドは、はっきり言って精神を病んでいた。


 彼はマンデ侯爵家の遠縁とはいっても末端の男爵家の生まれで平民に近い生活をしていたが、優しい父としっかり者の母、元気の塊みたいな弟に囲まれ幸せだった。

 


 しかし、そんな幸せは流行り病によって崩れ去る。

 最初に倒れたのは母、次は弟だった。病を治す薬は高額で平民みたいな男爵家が手を出せる代物ではなかった。


 

「レオナルド……養子にいってくれないか」


「父上……分かりました」



 身売りのようにマンデ侯爵家に養子に出された。頭では分かっている、母と弟の命には代えられない。

 だが、いくら優秀でも幼い彼には辛かったのだ。

 知らない人を家族と呼ぶことも。

 両親に囲まれて幸せそうに微笑むローザを見ることも。


 だからこそ、新しい家族、特に義姉のローザからは距離を置いた。


 それでもレオナルドは領地経営を学び、貴族の社交を学ぶうちに、知る。ローザの婚約者が控えめに言って最低で、ローザ自身の心が離れつつあるのに歯を食いしばるように耐えていることを。

 彼女は貴族令嬢の仮面をつけるのがとても上手いが、その心が優しすぎることも。

 自分を本当の弟のように思ってくれていることも。


 レオナルドは貴族社会を理解している。政略結婚は簡単には解消出来ない。

 例えば王太子があり得ない失態を犯すくらいのことがなければ。


 レオナルドは知っている。自分の容姿が儚げで可愛らしいことも。女の子の服を着れば少女と偽ることが出来るくらいには。



だから彼は、婚約者の家に遊びに来た王太子に声をかける。


「初めまして、殿下。わたくし、侯爵家遠縁のレナと申します」

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