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アトラクシアの死闘  作者: 夜乃 凛
第三章 砂の都ノーバイド
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12話 相手に歩み寄る心

 二人は食事を続けた。どこか打ち解けたような雰囲気で料理を楽しむことが出来た。エリックの肩が軽くなったのもローエンの力かもしれない。二人の口調もだいぶ砕けていた。


「そうえいば」


 フォークを上げながらエリックがいった。


「二つの派閥に分かれているという話があったな」


「ああ、そうですね。行動派と穏健派でしたね」


「住み慣れた街を出たい気持ちもわかるな。この砂地では……。しかし、リスクは大きいだろう。移動出来ない者もいるはずだ。動けない者を置いていくのはわからない」


「そうでしょうね。この土地ならでは苦悩があるのかもしれませんが」


「街の者にも事情があるのかもしれないが……争いはどこにでも起こるものなんだな。相手に歩み寄る心を、忘れたくはないな」


 エリックは低く呟いた。何故争いは起こるのだろうか。人間は一人一人違う。そんな当たり前のことすら人は忘れてしまう。

 しかし街のことを気にしていても仕方がない。狙うのは皇帝の棺の情報だ。


「皇帝の棺の情報を誰が持っていると思う?ローエン」


「さあ……。街を出た経験がある者か、権威のある者か……」


「そうだな。まずは権威がある者を訪ねるのがいいのかもしれない。この街で権威の高い人物をあたってみよう」


「そうですね」


 エリックとローエンは椅子から立ち上がった。既に料金は支払ってある。食事は全て食べ終えていた。外のテラス席から、店の中へエリックが顔を出した。店内は薄暗い。それに埃っぽかった。

 右手に布を頭に巻いた男が座っている。店員だ。


「すみません、急な質問なのですが、この街で一番偉い人物は誰ですか?」


「え?こ、行動派と穏健派の話は、ちょっと……」


 店員のぎこちない笑顔。エリックは行動派と穏健派の話をした覚えはなかった。しかし考えた。店員が怯えるまでに行動派と穏健派の争いは広がっているのだなと。


「いえ、行動派と穏健派の話ではありません。偉い人物に話を聞きたいだけです」


「ああ、そうでしたか……この街で偉い人物といえば、二人います。行動派の長ヴァルゴと、穏健派の長クイナです。しかし、ヴァルゴに会うことはお勧めしません。ヴァルゴは物事が思うようにいかず、荒ぶっていると聞きます。話を聞きたいなら、クイナの所に行くのがいいですよ。布で作られたテント、街の中でも一層大きなテントの中に、クイナはいます」


「ヴァルゴとクイナ……ありがとうございます。助かりました。食事、美味しかったです」


 エリックは軽く頭を下げた。店員は微笑みながら手を差し出した。意味は一つである。チップを寄越せだ。


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