表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/24

週末の予定


「おはよ優人。珍しいねこんなに早く来るなんて」


 今日は早く起きて、学校の教室に一番乗りで到着したのだが。二番目に到着したのはまさかの明智だった。


「お前まさか、いっつもこんな朝早くから学校に来てるのか」


「まぁそうだね、朝早くに来れば誰も来ないから勉強しやすいんだよ」


「へー」


 まだ授業開始まで一時間以上あるにも関わらず。明智は早速鞄から教科書とノートを取り出す。


「お前それ、今日関係ない授業の教科書だろ」


 明智が机に拡げたのは古文の教科書、だが古文の授業は今日はなかったはずだ。


「復習だよ復習。優人もやっておいて損はないよ」


「古文の教科書なんか持ってきてないっつうの」


 明智はそのまま古文の復習を始めてしまい。俺も暇なので授業開始までこの前インストールしたゲームで遊ぶそして続々とクラスメイトが集まる中、元カノ笠羽陽子が教室へとやってくる。


「明智ちょっとトイレ行って来るからこの続き頼むわ」


「了解、大丈夫優人の事は僕が守っておくから」


 明智は教室にクラスメイトが集まって来ると、古文の復習を止めて。俺がインストールして遊んでいたゲームを二人で協力して遊んでいた。


「ねぇ……鏡優人君どこに行ったか知らない?」


「笠羽さん…!!鏡だったら。ちょうど今トイレ行くって言って出ていったような」


「そう……ありがと」


「優人に用なら、僕から何か伝えておいてあげようか」


「別に明智君には関係ない事だから、それじゃあ」


「明智サンキュー」


 教室の後ろの扉から隠れて入り明智の席まで戻る。


「まぁ親友だからね」


「明智お前の事抱いていいかな……?」


「冗談でも、次にそんな事言ったら……絶交だよ」


「悪かったって」


 明智の肩を組んで謝る。もうすぐ授業開始なので自分の席に戻る。てか笠羽陽子は別れたのにも関わらず俺に何の用があるんだ。


 けど朝以降笠羽陽子は教室にやってくる気配が無く、昼休み屋上のベンチで、ぼっち飯を食べている途中に。ギャル三人と共に屋上へとやって来た。


「……あ」


「あー……!! 私達の指定席取られてる」


 屋上に指定席など存在しないが、このギャル達にとってはよく使う席なんだろう。


「てかあんたよく見たら、よーこの元カレじゃない」


「さっさと退いてくれないかな? 私達早くお昼食べたいんだけど」


 ギャル三人が食事中の事など考えずに邪魔をしてくる、仕方なく席をギャル達に譲り屋上から出て行こうとする。


「待っ……て」


 呼ばれ振り返ると笠羽陽子が何かを握りしめてこちらを見てくる。


「これ……今度の週末一緒に行ってくれないかな……?」


 そう言って手渡してきたのを確認すると。

レジャープールのペアチケットだった、確認が終わると笠羽陽子に返す。


「よーこ何してんの? 早く食べようよ」


「まだブロックしてないから。今日の夜にでも返事ちょうだい」


 それだけ伝えて笠羽陽子はギャル三人が座るベンチまで行く。


「それでどうするのさ優人は」


 昼休みの出来事を放課後、明智と帰りのゲーセンに寄り相談した。


「どうするって……勿論断るに決まってるだろ。なんせもう別れたんだ俺には関係ない」


「まぁ優人がそれでいいならいいんだけどさ」


 明智はクレーンゲームのアームを操作してぬいぐるみを一発でゲットする。


「はいこれ優人にあげるよ」


「俺がぬいぐるみを集める男に見えるか……?」


「そんな怖い顔しなくてもいいじゃん」


「てかなんだよこのぬいぐるみ。ネコか犬か?」


「さぁ?」


 明智がクレーンゲームで取ったぬいぐるみは、ネコと犬を合成させたような見た目をしたぬいぐるみだ。


「そろそろ僕塾の時間だから、それじゃあね優人」


「あ……おいぬいぐるみ」


 明智は腕時計を確かめてぬいぐるみを残したまま走り去って行く。


「あいつ、塾なら塾って言えよ」


 今日はバイトも休みなので、このままゲーセンで過ごしてても意味がなさそうと感じて。このまま帰宅しようとゲーセンの自動ドアから出ると甘栗と偶然出会う。


「先輩……? なんでここにいるんですか」


「それはこっちの台詞だ。お前の家は反対方向のはずだろ」


「えへへ……今日ここのゲーセンにキャットドッグのぬいぐるみが入荷するって噂を聞きつけて来てみたんですよね」


「キャットドッグのぬいぐるみ? もしかしてこれか」


「ああー!! それですそれ」


「お前。急にそんな大声あげるなよ」


 甘栗が大声をあげたせいでゲーセンにいるスタッフや客からの視線がこちらに向く。


「でもどうしてそれを先輩が」


「さっき友達が取って置いてったんだよ、なんならお前にやるけど」


「いいんですか!?」


「別にぬいぐるみとか集める趣味ないからな、あいつも俺にくれるって言ってたし、いらないんだろ。やるよ」


「ありがとうございます」


 甘栗は嬉しそうにぬいぐるみを抱く。


「そうだ先輩、今週末暇ですか……?」


「今週末か? 特に予定もないが」


「だったら……この前に言った、買い物の荷物持ちお願いしてもいいですか。買う物多過ぎて一人じゃ持ち運べないので」


「ちっ……覚えてたのか」


「約束ちゃんと覚えてますよね先輩」


「仕方ねぇな。けど一回きりだからな」


「やった……それじゃあ今週末朝の十時に駅前の銅像の所で」


 甘栗はそのままぬいぐるみを抱き自分の家の方向まで走っていく。


「まぁ断る口実が出来ただけ、あいつには感謝しないとな」


 ブロックしてないと言っていた、元カノとのチャット画面を開いて。そのまま今週末は予定があるからとだけメッセージを送る。送った瞬間既読がついて、すぐにそれじゃあしょうがないねとだけ返信が返ってきた。


「さて帰るか」


 背伸びをしてゲーセンを出て家までの帰り道を歩く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ