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バイト先に現れるギャルと後輩

 

放課後バイトがあるので、急いで校門から走って駅前のバイト先まで急ぐ。


「おはよう鏡君」


 バイト先の更衣室にて店長と遭遇すると、店長は苗字を呼んであいさつしてくる。


「おはようございます店長。今日もよろしくお願いします」


「うん、よろしくね」


 店長はそのままホールへと出ていく、すぐにバイトの制服に着替えて。店長の後を追うようにホールへと出る。


「いらっしゃいませ、お客様何名様でしょうか……」


 バイト先は駅前にあるチェーン店のファミレスだ。高校が近い為帰り際の同級生や先輩などがたまに寄ってくるが、今日に限ってなんで元カノがやってくるんだ。


「四名様ですね、どうぞこちらのお席へ」


 元カノは同級生のギャルを三人連れて、ファミレスへとやってきた。今は仕事中なので店員として対応する。


 席へと案内して他のお客に呼ばれ対応して注文を調理場に伝えに行く途中、笠羽陽子とドリンクコーナーでばったり遭遇するが何も言わずに通り過ぎる。


「ねぇよーこ」


「何……?」


「なんで今日急にファミレスになんか誘ってきたの」


「別に……ただここのジャンボパフェに興味あっただけだから」


 お客が食べた皿を運んでいる最中に笠羽陽子達の所を通り過ぎると、話し声が聞こえてきた。


 いかんいかん。今はバイトに集中しなければ。


「いらっしゃい……またお前か」


「あー先輩!! そんな顔しなくても別にいいじゃないですか」


「毎回、毎回バイト中に、お前の顔を見る気持ちを考えた事あるか?」


「ひどーい、先輩お客さんに向かってなんですかその態度は、店長さんに言いつけますよ」


 客としてファミレスにやってきた甘栗愛名が指を指してくる。


「たく、お客様こちらになります」


 仕事に意識を戻して甘栗愛名を席へと案内する。


「何……あれ……」


 笠羽陽子はドリンクのお代わりに行く途中信じられないものを見たような目になる。


「先輩、このイチゴパフェ下さい」


「イチゴパフェですね、ご一緒に紅茶かコーヒーなどいかがでしょう」


「じゃあミルクティーも一緒にお願いします」


「かしこまりました、少々お待ちください」


 甘栗愛名は座って早々注文してきた、注文を受け調理場に注文を伝えに行く。


「ちょい、ちょい鏡君」


 店長に手招きされホールの奥の従業員出入り口に入る。


「なんですか店長……?」


「鏡君あのね、手前に座ってる高校生のギャルの子達と知り合いかな」


「え……まぁ一人は知ってますけど、残りの三人は同級生ってぐらいしか」


「そうか悪いけど注文の時とか鏡君に任せてもいいかな、なんか他の子が行くとどっと疲れがでてるみたいで」


「はぁ? まぁ構いませんけど」


 どっと疲れるって言葉に疑問を覚えるが店長に言われた通り注文の時は極力俺が対応する事になった。


「先輩~」


「ちょっと待ってろ、すぐ行くから」


 皿を運んでいる途中に甘栗が声をかけてくる、しかし皿を落としてもあれなので一旦甘栗を待たせる。


「それでなんだ」


 注文用の機械を片手に甘栗に聞きに行く、甘栗の座っていた席の机には学校の教科書やノートが拡げられていた。こいつは毎回来る度に学校の復習をファミレスでしている、なので勉強に集中できるように奥側の席に案内しているのだ。


「ミルクティーのお代わりと、この季節限定デザートをください」


 甘栗はメニューを指差して伝えてくると機械に打ち込む。


「季節限定デザートにミルクティーのお代わりですね、かしこまりました」


「それと先輩、今日は何時にバイト終わるんですか」


「お前まさか、また終わるまで待ってるつもりか?」


「いけませんか」


「いけなくはないけど、親とか心配したりしないのか」


 毎回バイト中に現れる甘栗は、俺のバイトが終わるまでファミレスで勉強をしていた。別にそんなに客も多くないので迷惑になってはいないのだが、親が心配しないのか不安になってしまう。


「大丈夫ですよ」


 甘栗は微笑んでそう言う。


「バイトが終わるのは、いつも通りの時間だ」


 それだけ伝えて甘栗の席から離れる。


「あっ先輩。バイト終わったんですか」


 そしてバイトが終わり甘栗の席に行くと、甘栗は教科書やノートの片付けを始める。もう既に夜の九時過ぎを回っているので、ファミレスから出て甘栗を家の近くまで送っていく。


「そういえば、今日ファミレスで先輩の学校の制服を着たギャルぽい人達いましたね」


「ああ、あいつらか」


 甘栗のギャルぽい人達という言葉に心当たりしかない。結局あいつらは店長に頼まれて以降、注文する事なく夕方頃に全員で帰るのを目撃した。


「もしかして先輩の知り合いですか」


「お前俺が友達少ないの知ってるだろ」


「ですよねー。この前の先輩の彼女だって、どうやってお付き合いできたのか怪しいぐらいですもん」


「お前そんな事言うなら、今度からあのファミレスに出入り禁止なるよう店長に掛け合うぞ」


「悪かったですから、そんな事言わないでくださいよー」


 甘栗は制服の裾を掴んで泣きついてくる。


「近所迷惑になるからそんなでかい声出すなよ」


「だって先輩が酷い事言うから」


「はいはい、俺が悪かったから」


「悪いと思うなら、今度買い物の荷物持ちしてください」


「仕方ねぇな、ほらもうすぐそこだろ今日はここまでだ」


 話をしてたら最近知った甘栗の家が見えてきた、その家は豪邸のように建っており初めて見た時は驚いた。


「ちゃんと約束は守ってくださいよ先輩ー」


「はいはい」


 手を振りながら走っていく甘栗を見送り、甘栗の家とは反対の方向を歩いて行く。


「ずっと私のだったのに」


 後ろから寒気がして振り返るが、そこには誰もいない。だが豪邸の玄関から甘栗が帰る途中の俺を見て手を振ってくる。


 そしてすぐに甘栗は、玄関の扉の鍵を開けて家の中へと入っていく、何事もなかった事のように歩くのを再開して家まで帰る。

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