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母の日

 

 週末朝比奈彩に予定があると言って断り、家族全員リビングに集まっていた。


「母様いつもありがとう」


 銀華が母さんに花束を手渡す。今日は母の日で母さんに日頃の感謝を込めて今日は母さんを働かせないと父さん銀華俺で話し合って決めた。


「本当にいいの何もしなくて?」


「うん、大丈夫だから母様は父様と一緒に出かけてきてもいいよ、私を育てる間二人っきりで出かけた事あまりないでしょ」


「そう言われてもねー」


 母さんは一旦考える仕草を取る。一時間後母さんは父さんと一緒に映画を観に出かける。どうやら観たかった映画が公開していて、それを二人で観に行くようだ。


「優人さん何してるんですか」


「え……洗濯物でも畳もうかなって」


「そんなの私がやりますから優人さんはゆっくりしてていいですよ」


「いや、流石に手伝わないってのは」


 洗濯物を畳もうとベランダに出ようとしたのだが銀華に止められてしまう。


「えっとほら母様や私の下着もあるし」


「あーそうだな、だったら洗濯物は銀華に任せようか」


 流石に家族でも女性物の下着を触ったり見たりするのは恥ずかしい所があるのか、ここは銀華に任せた。そして何者する事が無くなったので、リビングでテレビを見ていると、銀華が隣に座ってきた。


「ふぅー」


「疲れたのなら部屋で休んだらいいんじゃないか、もう殆ど終わったんだろ」


 洗濯物を畳み終わった銀華はすぐに朝食べてそのまま残っていた洗い物を全て終わらせていた。


「だったら……優人さんの……隣で……寝る」


 銀華は途切れ途切れの声で言うと、肩に頭を乗せて寝息を立てていた。そのまま何も言わずただ時間だけが過ぎていき夜になると母さんと父さんが家に帰ってきた。


「ただいま~」


「しぃー」


 二人ともどこかでお酒を飲んできたのか肩を組みながらリビングに入ってきたので、俺は声を抑えるように頼む。


「あらあらお父さんお邪魔みたいだし、このままもう一件行くわよ」


「母さん酒強くないくせに飲み過ぎなんだよ、けど賛成~」


 二人ともリビングから出てまた外に出かける。あれは朝になったら二日酔い確定だろうと考えてると銀華の目が少し開く。


「優人さん、私何して? ……!! すみません優人さんの肩で寝てしまって」


「それは構わないよ、それと父さん達多分今日は帰って来ないと思うよ」


「何故ですか……? てかなんですかこの匂い」


 銀華は鼻を押さえる。父さんと母さんの酒の匂いがリビングに充満しているのだろう、俺はそれ程匂いに敏感ではないのだが、どうやら銀華は俺とは違い匂いに敏感らしい。


「さっき父さんと母さん帰ってきたんだけど、どうやらどこかで酒を飲んできたらしくて。今出て行って酒を飲みにはしごしてるよ」


「はぁ……まぁ母の日ですからね、大目にみましょうか。それに長い時間優人さんと二人きりで家にいるのも初めてですし」


「何か言ったか……?」


「いいえ何も……それより優人さん何か食べたい物ありますか、何か簡単な物でよければ作り……って食材の買い足ししするのを忘れてました」


 銀華は立ち上がり冷蔵庫の中を確認して叫ぶ。


「私今から買って来ます」


「銀華、待て待て」


 慌ててリビングから飛び出して行こうとした銀華を呼び止める。


「こんな時間に一人で出歩かせる訳にはいかないから、俺も一緒に付いて行くよ」


 家の鍵を閉めて、暗くなった道を銀華と隣り合わせに歩いて近所のスーパーへと向かう。

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