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知らない番号

 

「優人さん夕飯お口に合いませんか……?」


「いや、そうじゃないんだ。銀華が作ってくれただけで嬉しいけど今日はちょっと食欲なくてな」


 家に帰って来ても甘栗の事が頭から離れなかったので、ろくに食べる事も出来ず。夕飯のおかずを作ってくれた銀華に申し訳なかった。


「もしかして甘栗さんと何かありましたか」


 銀華は流していたテレビを消して、真剣な顔で俺に尋ねてきた、俺は持っていた箸を置く。


「仮にだけど俺が甘栗に告白されて、今日振ったって言ったら銀華ならどうする」


「私なら諦めずに何度でも告白し直します。一回振られた位で好きな人を諦めるなんて事、私には出来ませんから」


「銀華は強いな」


 正直甘栗の様子を見てしまったら、銀華が答えたみたいな事にならないだろう。それ所か甘栗とこれからも関係を続けていくのも無理かもしれない。


「正直俺の答えが正しかったなんて事は分からないけどもし時間を戻せるなら甘栗と会う前に戻してみたいな」


「優人さん」


「銀華には悪いけど今の話は忘れてくれ、じゃあおやすみ」


 銀華の作ってくれた夕飯のおかずを半分以上残して、部屋のベッドに寝転ぶ。携帯を確認しても甘栗からはメッセージの連絡すらない。


「振った俺から送るのもやっぱり変だよな」


 携帯を充電しようとベッドから立ち上がり、机の横にあるコンセントに充電器を差し込んで充電する。明智に今日いじめを阻止してくれたお礼を言ってなかったのでメッセージで一言、今日はサンキュと送る。既読はすぐにつかなかったのできっと今頃あいつは勉強しているに違いない。


 携帯を机に置いてベッドに戻ろうとするとまた知らない番号から電話がかかってきた。電話番号は公園で確認した番号と一緒だったので、おそらく間違い電話ではないだろうが。こんな時間にかけてくる知り合いは思いつかないのだが一応出てみる事にした。


「もしもし……?」


「あの……私朝比奈彩です」


 どうやら電話してきたのは俺が午後の授業が始まる前に手助けして、あの時甘栗の前で彼女の振りをしてくれた朝比奈彩という女子生徒だった。


「えっと、今日は色々ありがとうございました。養護教諭の先生に心配していたと聞きました」


「あれはただ見過ごす事も出来なかった訳で。てか俺の番号はどうやって?」


「それは、この前彼女の振りをした時の事覚えてます?その時に運営会社から電話番号も一緒に伝えられていたので。でも悪用とかしないので、今回はお礼の電話って事でそれじゃあ」


 何故か焦って切られてしまった、また明日学校で話してみよう。今日は久しぶりに頭を使い過ぎてしまったので大分疲れてしまい寝るのに時間はかからなかった。

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