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朝の噂

 

 朝目が覚めると銀華と手を繋いでいた、寝ていた間にいつの間にか手を握ってしまっていたのか。すぐにその握っていた手を離すと起こそうと思ってなかった銀華を起こしてしまう。


「うぅん」


「ごめん起こしちゃったな」


「優人兄様」


 銀華はまだ寝ぼけていて、昨日同様俺の事を兄様と呼ぶ。


「兄様は呼ばないんだろ」


「そうでした、すみません優人さん」


 ようやく銀華は目覚めがよくなってきた。


「優人起きてるなら、そろそろ学校に行く準備しないと遅刻するわよ」


 母さんが部屋の扉から声をかけてくる。


「優人さん今日は一緒に登校できますか」


 朝食を食べていると突然、銀華は隣に座る俺に尋ねてきた。


「お、昨日から聞きたいと思ってたが二人とも仲良くなったんだな」


「確かに昨日からよく話すようになったし、遊園地作戦は成功らしいわね」


「父様と母様にも今まですみません、これからは優人さんには素直に自分の気持ちを伝えていくので、これからは助けなんて必要ありません」


「そう、まぁでもまた困ったら母さんに相談しなさいね父さんよりよっぽど頼りになるから」


「それは言えてます」


「だな」


「ちょ……! それは聞き捨てならないぞ父さんだってな」


 すると家のチャイムが響いてきた、母さんはリビングから出て玄関まで急ぐ。


「優人ー」


 いきなり母さんに呼ばれた、椅子から立ち上がり、リビングから出て玄関に行くと。


「先輩おはようございます」


「なんでお前朝から」


「昨日の夜メッセージ送りましたよね。明日は学校の創立記念日だから、先輩の高校の見学に行こうとしてるので、朝先輩が登校する時一緒に行ってもいいですかって既読もついてダメとも言われてないから行ってもいいんだと思って」


「メッセージ……?」


 ポケットの携帯を取り出す、甘栗の言う通りメッセージが送られていた、だがこの時間俺はもうベッドで横になっていたはずだが。


「だったらちょっと待っててくれ、あとちょっとで朝食を食べ終わるから」


「何言ってるのよ、折角来てもらったんだし一緒に朝食食べて行って貰いなさいよ」


「いや母さん、もしかしたら甘栗も朝食べて来てるかもしれないだろ」


「誘ってくれるのは嬉しいですが、この前も勝手に夕飯をご馳走になったので、今回は遠慮しておきます」


「あらそうなの残念ね」


「悪いな甘栗それじゃあ少し待っててくれ」


 玄関の扉を閉めて急いで朝食を食べ進めて、制服に着替えて、学校に行く準備を済ませ玄関の扉を開ける。玄関前では甘栗と銀華がお互いに背中を合わせ距離を取っていた。


「二人ともどうしたんだ、そんなに距離を取って」


「なんでもないですよね、ね……銀華さん」


「うん……」


「だったら遅刻する前に早く行くか」


 校門前に着くと何故だか俺達の方に学校中の生徒から視線がある気がしたが、二人とも視線に気付いてないのか、そのまま校門を抜けて上履きに履き替える。甘栗はスリッパを持ってきていて、履き替えると職員室まで案内する。


「職員室はここだから、ここまで連れてくれば問題ないよな」


「はい、先輩朝からありがとうございます」


「こんなのいいって、それよりお前第一志望ってここだったのか」


「はい、ここで先輩と通うのが私の目標なんで」


「それにしても早すぎじゃないのか。まだ決める時間なら幾らでもあるだろ、お前が他の高校に行ったって今まで通り関係は続くと思うが」


「それじゃあダメなんですよ、今は私が一番先輩と離れてるんですから」


 甘栗はたまに声が小声になるので、聞き取れない時がある。今も甘栗が何を言ったのか分からないが、後ろに視線を送ると隠れていた銀華が甘栗をジロリと視ていた。


「先輩今日はバイトの日でしたよね」


「そうだが来る気なのか……?」


「はい、いつも通り行かせてもらいますね」


「それじゃあお待ちしておりますよお客様」


 甘栗の頭を優しくぽんぽんと叩くが甘栗は不服の顔になる。


「頭をぽんぽんしないでください」


 すぐに俺の手を取ってどかすと職員室の扉を数回ノックして失礼しますと言い甘栗は職員室へと入って行く。


「俺達も行くか銀華」


「優人さんバイトしてるんですか」


「銀華には言ってなかったけど、最近高校入学と一緒に始めたんだよ。駅前のファミレスでバイトしてるからよかったら来てくれよな」


 銀華にもバイトしている事を言う、職員室から離れて教室に向かう。教室に入るとクラスメイト達の視線が一斉にこちらへ向く、俺はそんな事気にせず席に着く。銀華も自分の席に着いて鞄を置くとクラスメイト達が銀華へと近付く。


「おはよう優人、まさかあんな可愛い女子二人を侍らして登校してくるとは思ってなかったよ」


「可愛い女子二人……?」


 明智が一体何を言っているのか理解せずに聞き返す。


「もう噂になってるよ一年の生徒が朝から可愛い女子を二人連れて校門から登校して職員室に行ったって」


「それまさか俺の事言ってるんじゃないよな」


「優人……まさかあの二人が可愛くないって思ってた訳」


 どうやら噂は俺の事を言ってるらしい。だがなんで俺の事がそんなすぐに噂になる、それが気になって明智に聞こうとしたが、チャイムに邪魔されて担任が現れる。

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