甘栗愛名の過去下
「先輩」
翌日、何食わぬ顔で先輩の教室にやってくる。
「私先輩の事調べて分かりました、先輩がそうなった理由と今児童養護施設で暮らしてる事」
昨日読んだネットのページには、先輩の両親について書かれていた。どうやら先輩の両親は酷いギャンブル依存症とアルコール依存症で。先輩は小学生の頃、毎日のように虐待を受けていたらしい。今両親は先輩を捨てどこかへと消えて行ったようだ。
残された先輩は児童養護施設で暮らしているのだ。それを知った時私は先輩の両親の事を悪く思ってしまった。
実の子を傷付けてそのまま捨てる両親は生きてる価値があるのかと。
だがこの世は実の子を捨てる両親が先輩の両親以外にも存在するようだ。
そして何故先輩はいつも意味不明な言葉を呟いているのか。それは先輩を捨てた両親のせいで人間不審に陥ってしまい、人を信用しなくなった先輩は意味不明な言葉を呟いて人を遠ざけているようだ。
「まさか明智が話したのか」
「あの人からは何も聞いてません。私が個人的に先輩の事を調べただけです」
「まさか、たった数日でそこまで調べ上げるとは。貴様面倒臭い女だな」
先輩が笑いを堪えている。
「そうです、私は面倒臭い女です。だから先輩……私とお友達になってください」
「はは……我と友達になってくれる物好きなんて明智以外いないと思っていた」
「だったらそれは先輩の勘違いですね。ここにもう一人その物好きが先輩と友達になりたいって言ってますよ」
私は先輩に握手を求める。私から握手を求めるなど、生まれて初めての行為だった。だが先輩の事を知ってしまい、先輩が傷付くのをもう見たくないと思ってしまった。
「後悔しても遅いからな」
先輩は私の手をぎゅっと握ってくれた。
これが先輩と私が中学の時初めて知り合い友達になった話だ。まだ先輩を好きになった理由やら話していない事は山程あるが、それはまた今度にしよう。今はレンジで温まったチーズハンバーグを食べるのが先だ。
「いただきまーす」




