甘栗愛名の過去中
それからというもの、私はただお昼になると先輩の教室に来ていた。理由は単純に先輩とお昼にを食べたいからだ。しかし先輩はお昼になると何時もすぐに教室から出て行ってしまうので、逃がさないようにお昼前に教室の扉で待機している。授業終了のチャイムが鳴り先生が出ていくのを見計らい先輩の席に近づく。
「先輩、今日も一緒にお昼食べましょ」
「……」
先輩は私の事を無視して立ち上がり、教室から出ていく見失わないように追いかけて、先輩は中庭の方へと歩いて行く。
「優人やっと来たんだ」
中庭のベンチで待っていたのは先輩と仲良しの男子生徒明智美鶴だった、建物の柱に隠れて様子を伺う。
「はい、これいつものね」
「いつも恩に着る」
先輩は明智美鶴から風呂敷を受け取っていた、中に何か入っているみたいだ。
「それでさ今日は一緒に食べようよ」
「何故だ。いつもつるんでいる女子達はどうした……?」
「今日は優人と一緒に食べたいと思って断ったんだよ」
「仕方ない、我が親友の願いとあらば今日はここで午餐を済ませよう」
「そうそう、それと君もそんな所に隠れてないで出てきたら」
明智美鶴が柱に向かって声をかけてきた。どうやら私が居ることはバレていたらしい、柱から出て先輩達の座るベンチに近づく。
「貴様我の後を付けたのか?」
「そうですよ」
「まさか我が気配に気づけないとは、貴様まさか……!!我と同じ古により復活した復活者か……!?」
「はいはい、優人もその辺にして。そろそろ食べないと午後の授業に間に合わなくなるよ」
「今日も中々悪くない味だな」
「それはお世辞じゃなくてかな」
二人が親密に話す中、私は蚊帳の外で一人寂しく重箱のおかずに手をつける。
「それでさ優人、そろそろ決まったの?」
「いやまだだ」
「そっかでも優人なら大丈夫だよ、いざとなったら僕の家で優人を引き取ってあげるから」
「明智に迷惑はかけられない、それに我は誰も信用しない」
「一体何の話ですか……?」
二人の話が気になり、話している途中に我慢出来ず聞いてしまった。
「君には関係ない事だよ」
そう言って話を逸らされ昼も終わってしまう。明智美鶴が言っていた引き取るという言葉に先輩が関係しているのは明らかだった為。放課後急いで家に帰って、パソコンで調べてみた。
「うーんそれっぽい記事はないな」
色々調べてみたが、先輩とは一致していない。マウスのホイールを動かして右クリックを押して一番下のページを開く。
「これは……」
開いたページには虐待する両親と逆らえない息子と書かれていた。