彼女と別れる
桜が舞う春一人の男子生徒が学校の屋上で、金髪に耳にハート型のピアスを付けた制服の女子と真向かいに対峙していた。
「今なんて……?」
「だから別れよって言ったの」
「な、な、なんで!? もしかして俺何か悪い事した」
「いやー別にあんたは何も悪い事なんてしてないよ。なんか冷めちゃってさそれじゃあ」
女子生徒は何事も無かったように屋上の扉を開けいなくなる。
「なんだよそれー!!」
男子生徒は屋上から空に向けて魂の叫びを上げた、この後駆けつけた体育教師に説教され居残り反省文を書かされた。
「最悪だ、反省文まで書かされて。折角出来た彼女とも別れるし」
下を向いて帰り道を歩いている途中さっきの出来事を思い出す。
今年高校一年で入学して一週間も経たず彼女が出来た事を喜んでいたのも束の間、約二週間で破局する。
「やっぱギャルと付き合うのは難しかったって話か」
けど付き合ってと告白してきたのはあっちからなのになんで別れなきゃなんないんだ。
「やっぱあれかな? 今時の罰ゲームで告白してきて数日付き合って別れるってやつかな」
SNSや中高生の間でも話題になっているが自分が体験するとは思ってもみなかった。
実際付き合ったのは、同級生の別クラスのギャルだが既に学校中の話題になる程の美人だった。
「まぁ付き合えるだけ幸せだったな」
♪♪♪
ポケットの携帯からお気に入りの通知音が聞こえてきた電源を入れると画面にメッセージが。
「そうだった約束は明日だったか……」
困った事に先日彼女が出来た事を報告した友人がいるのだが、その彼女を紹介するよう約束していたのだがその約束の日が明日だった事をすっかり忘れていた。
「今からでも別れたって言うべきか……?」
メッセージを送ろうとしていると不意に春の風で飛んできたチラシが足元に落ちてくる。
それを拾って読むとまさに今自分が欲する存在のようなチラシであった、すぐにチラシに書かれたQRコードを読み取ると説明書きが画面に表示される。
このまま立ってやるのも疲れるので、一度家に帰ってからまたチェックしようと一度携帯の電源を切りポケットに入れる。
「ただいま」
「おかえり、随分遅かったわね」
「色々あってね」
「そうなの……? まぁいいわ。もうすぐお父さんも帰ってくるって電話あったし、先にお風呂入っちゃいなさい」
「今やりたい事あるからまた後で入るよ」
「なら夕飯出来たら呼ぶわね」
リビングにいる母親と話して階段を上り自分の部屋に入って鞄を机に置いて椅子に座る。
「これは仕方ない、そうただ紹介するだけだ」
何で携帯の画面をスクロールしながら一人言なんて言ってる?
「ああやっちまった」
頭を抱えて机に持たれかかると、その後すぐにメールが届く一応チェックして返信する。
「夕飯よー降りてきなさーい……」
母親の声が二階まで響いてくる。これが正解だったか明日はっきりするので今日は何も考えないようにしようと明日に備える。
本日あと二話程更新予定です。