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5.姉より優れた妹など(イザベラ視点)

 妹は姉よりも後から生まれてきたのです。  

 ならば、順番は守るべきではありませんか……。

 わたくしが、1番目、あの子が2番目――これは天地がひっくり返ろうが定められた順番なのです。

 決して覆してはならない神聖なものなのでした。


 なのに、なのに、あの子ったら。

 わたくしに遠慮なく辺境伯様のところに嫁いで……。

 しかも、辺境伯様はわたくしの婚約者でしたのに。


 これじゃあ恥ずかしくて家の外を歩けませんわ。

 わたくしは妹に遅れを取った間抜けな女、に加えて妹に婚約者を奪われた哀れな女というレッテルが貼られてしまったのですから。


 ええ、ええ。あの子には確かに虫が嫌いだから辺境に嫁ぎたくないと、身代わりになれと、命令しました。


 だって、あの子はいつも何でも出来るっていけ好かない表情をするんですもの。

 

 昔からそうです。

 わたくしが捨てたものを得意気になって直して、まるでわたくしがものを大切にしない無能な女であるかの如く振る舞って。

 魔術の成績もちょっと良いからって、偉そうにして。


 わたくしがあの子に後れを取るなど許されるはずがないのに。

 鈍感なシルヴィアはわたくしのものも、わたくしが欲しかったものも、全部奪っていく最低の妹でした。


 だから許せなかった。

 だから困らせてやりたかった。

 

 辺境伯様のところに無理を言いに行って、断られ、彼から叱責を受けて青い顔をしている彼女の横をすり抜けて、颯爽と彼との結婚を決意したわたくしを演出する予定でしたのに――。


 どうして、シルヴィアが辺境伯様と結婚しますの?


 辺境伯様も、辺境伯様ですわ。

 長年の婚約者をシルヴィアの口先だけの言葉で簡単に裏切って捨てるなんて薄情ではありませんか。


「あんまりですわぁ……」


「やぁ、イザベラ。泣いているのかい? もしかして、フェルナンドのこと?」


 パーティー会場でわたくしは惨めになってしまい、つい涙を流してしまいました。

 そこに現れたのは第二王子であるアルヴィン様です。

 アルヴィン様は辺境伯様の幼馴染でして、辺境伯様の婚約者としてわたくしは紹介されていました。


 心配そうにわたくしを見つめるアルヴィン様。


 わたくしは、そんな彼を見て止まらなくなってしまいました。


「妹に辺境伯様を奪われましたの。何でもわたくしのものを盗っていくとは思っていましたが、まさか婚約者まで奪われるとは思いませんでしたわ」


 自嘲気味になりながらも、アルヴィン様に事の顛末を話すわたくし。

 彼はわたくしの肩を抱いて親身になって話を聞いてくださいました。


「フェルナンドが君を裏切るなんて信じられないな。僕だったら君みたいに美しくて、才能豊かな女性を放って置かないのに」


「アルヴィン様……。なんて、お優しい。嘘でも元気になりますわ」


「本当さ。親友の婚約者じゃなかったら、僕が結婚したいくらいだったもの。まぁ、今はもう僕も婚約してしまっているから、残念だけど」


 アルヴィン様は頭を撫でて、優しく微笑みます。

 なんですか、その話。ならば、さっさと辺境伯様と別れていれば良かったですわ……。

 確か、アルヴィン様はナルトリア王国の第三王女であるライラ様と婚約なさっていたのですよね。


「しかし、君の妹のシルヴィアだっけ? 手癖が悪いって噂は聞いていたけど、そこまでだったか」


「はい。あの子はいつもわたくしのものを奪っていくのです」


「可哀想に……。よし、わかった! 僕が恥知らずな二人に鉄槌を下してやる! フェルナンド、お前は僕の想い人を泣かしたのだ! 絶対に許さん!」


 なんとアルヴィン様はわたくしのために怒ってくれると仰せになってくださいました。

 ふふ、王子様に怒られたとなれば、わたくしも少しは気分が良くなるかもしれません。

 シルヴィア、辺境伯様、わたくしに恥をかかせた報いを受けて貰いますわ――。

 

当然のように出てくるバカ王子


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