42.強烈な違和感
ニックとティルミナが争っている間にアルヴィン様はまんまと逃げ仰せたと説明されました。
状況的にそれしか考えられないとはいえ、どうも違和感があります。
「はっはっはっ! お前たちには心配をかけたな! だが、この僕は見事に復活した! そして見事に帰ってきたのだ!」
「「…………」」
変身魔法は姿を変えられますが身長までは変化出来なかったはず。
ティルミナが化けているという可能性はありません。
しかもこの謎に自信たっぷりな笑い方。アルヴィン様の笑い方そのものです。
多分、本物……ですね。ええ、多分ですけど。
気になるのは、最初のアルヴィン様の自殺騒動です。
彼は自ら死ぬと宣言して自害しました。そして、それを見計らった上でニックとティルミナは彼の遺体を回収しているのです。
あっ――!?
今、分かりました。蘇生したアルヴィン様から感じられる違和感はそこですよ、そこ。
「アルヴィン、それで、ティルミナとニックの目的などは知っているか? 流石に逃げるだけで精一杯だったと思うが」
「目的? もちろん知っているさ。あいつらペラペラ喋りまくっていたからな。はっはっは!」
「ほう、それは朗報だ。早速、教えてもらおう。連中についてはまだ情報があまりにも少ない」
「んー、どうしよっかなー? ライラ、君は僕に怒ってるんだよねぇ。怒ってる奴に教えてやるのもなー」
「貴様ッ!?」
アルヴィン様はニヤニヤと笑いながらライラ様に挑発的な言動を放ちます。
ええーっと、あなたは謝罪に来た立場で、謝罪の形として自殺したのではないのですか?
ここで情報の共有を断るなんてどうかしていると思うのですが……。
「アルヴィン殿下、冗談でも挑発的な言動は控えてください。今、ナルトリア王国と揉めることだけは避けなくてはならないのは理解していますでしょう!?」
「あっはっはっは! フェルナンド! いつからお前はこの王子たる僕に意見するほど偉くなった!? ナルトリアが何だ!? 僕は屈辱だったんだよ! この国に来て雑に扱われたことが!!」
フェルナンド様がアルヴィン様を諌めますが、逆効果みたいです。
笑いながら恨み言を口にする彼は、先程までの不満を爆発させていました。
いや、だからそもそもの発端はアルヴィン様とお姉様じゃないですか。
「アルヴィン、貴様! この国を蔑ろにする発言……! 取り消せ!」
「あらあら、ライラ様……。本気でお怒りみたいですわね」
「お姉様、今は黙っていた方がよろしいかと」
今にも腰のサーベルを抜きそうな剣幕のライラ様。
いつものアルヴィン様なら情けない声を上げるところですが……。
「まぁまぁ、ライラ。婚約者相手にそう怖い顔をしないでくれ。美しい顔が台無しじゃないか……」
「なんだと?」
「本気で教えない……なんて意地悪するはずが無いだろう? ほら、耳を貸せ。ティルミナの目的は君たちナルトリア王家としても、おおっぴらにしては不味い話なのだ」
「ったく、趣味の悪い冗談を……!」
アルヴィン様はライラ様に向かって秘密の話がしたいとヘラヘラ笑いながらポケットに手を突っ込みながら近付きます。
ティルミナの目的がおおっぴらに出来ない話?
「アルヴィン様、随分と人が変わりましたね。生まれ変わった影響でしょうか?」
「確かにあなたと同じくらい図太くなっていますわね。卑屈な感じが一切しませんわ。一つ一つの言動に意志が込められていますし」
生き返った影響で性格が変わった?
それは確かにあり得るのかもしれません。
しかしながら、この強烈な違和感。それすらもニックとティルミナの罠だとしたら……。
「銀光の枷」
「「――っ!?」」
私は嫌な予感を優先させて、アルヴィン様が手をポケットから引き抜く瞬間に銀色に光る魔力の枷で彼の手足を拘束しました。
アルヴィン様は転びながらポケットから紫色に光るナイフを落とします。
「アルヴィン様……あなたはライラ様に殺意を持って近付きましたね?」
「はぁ!? シルヴィア・ノーマン、何を言っている? 王子たるこの僕への狼藉! 死罪に値するぞ!」
私を凄い形相で睨みつけるアルヴィン様ですが、落としたナイフは確かな証拠――。
この方は婚約者である他国の王女を殺そうとしていました――。
アルヴィンの凶刃がライラへと突き刺さるのは何とか阻止されましたが……。
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