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41.復活した王子

「おかわり! 足りぬ! 足りぬぞ! もっと寄越すのだ!」


 目の前には生きてビーフステーキを頬張るアルヴィン様。

 元気ですね。元気過ぎている気もします。


 アルヴィン様の心臓が止まっていて、亡くなったことを確認した兵士など、幽霊が現れたと騒ぎ、パニックになっていました。

 

「食欲旺盛なのは結構なことだし、殿下の生存は非常に喜ばしいが……私は少しだけ熱くなったことを後悔しているよ。似合わぬことを言ってしまった」


「似合わないなんてとんでもありません。フェルナンド様の情に厚いところ、私は好きですよ」


「そうか。君がそう言ってくれるのなら、全ては帳消しだな」


 フェルナンド様はアルヴィン様の弔い合戦をする覚悟でレオンハルト陛下に進言をしていましたから、彼の生存がすぐに判明して気恥ずかしくなってしまったのでしょう。

 私はあのときのフェルナンド様は素敵だと思いましたが。


「どういうことだ? 我が国の兵士は遺体かどうかも判別出来ぬとでも言うのか?」


 ライラ様も三枚目のステーキを美味しそうに咀嚼するアルヴィン様をご覧になって、彼の生存に驚きの声を上げます。

 

 しかし、アルヴィン様が生きていること自体は特に不思議ではないのです。

 彼が生き返ることが出来た理由は容易に想像できますから。


「完全再生魔法――ハッタリではなかったという訳ですわね」


「ええ、それは大怪我を負ったニックが一瞬で復活したことからも見て取れました」


「だが、死者蘇生をも可能性にするとは。シルヴィアも荒れた大地を再生させたのだから、可能ではあるのだろうが」


 そう、ニックは完全再生魔法を修得したと豪語していました。

 私の使う再生魔法は死者蘇生という禁忌を犯さぬように古代陣によって術式に刻まれたリミッターがついていて人間には使えないのですが、彼にはその制限がありません。


 それは彼の戦いぶりを見て証明はされていたのですが、実際に死んだ人間が蘇ったという現象は常識の外なので、にわかに信じられないのも無理はない話です。


「ふむ。ニックが再生魔法でアルヴィンを蘇生させたのは分かった。だが、何が目的だ? わざわざ殺して蘇生させ、攫った人間をみすみす逃がす理由が分からん」


「ライラ様の仰るとおりです。私もその点に強い違和感があります」


 私が不思議に思っていることはまさにライラ様の仰せになられたことです。

 すなわち、ニックとティルミナという二人の魔術師を相手から逃げることが出来たということ。


 アルヴィン様はお世辞にも運動神経が良いとは思えないくらいです。

 対してニックは多彩な魔法を操ると聞いていますし、ティルミナもまた禁術を使うほどの魔法の使い手――はっきり言って逃げるのは無理でしょう。


 ならば――。


「アルヴィン様をわざと逃したと考えるのが自然か?」


「わざと逃しましたの? 何のために? わたくしなら、人質にしますが。ニックという方はノルアーニに恨みがあるでしょうし」


「イザベラ・ノーマンの意見に同意するのはしゃくに触るがその通りだな。一国の王子を捕えて、わざわざ逃がす意味が分からん」


 フェルナンド様はわざとアルヴィン様を逃したと推測しましたが、イザベラお姉様とライラ様はそれを否定しました。

 

 私はフェルナンド様の意見はごく自然に導き出された答えだと思いますが、じゃあ何のために捕らえたのか、というところに疑問が浮かびますよね。


「おい、お前ら! この僕がなんで生きて戻ってこれたのか不思議がっているな?」


「当たり前だ。賊が貴様をわざわざ逃がす理由がないのだから」


「仕方ないから答えを教えてやろう。あの馬鹿な魔術師共、仲間割れをしやがったのさ。間抜けにもお互いを傷つけ合ったところを僕はスキを見て逃げ出したのだ……」


「「…………」」

 

 一応、筋は通っていますね。

 それしかない、という答えです。

 互いに高位の魔術師で殺し合いまで発展すれば、一瞬のスキが命取りですから。


 でも、なんでしょう。嘘っぽいんですよね。アルヴィン様のお話――。

アルヴィンに対して違和感があるシルヴィアですが……。


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