27.最悪の姉妹関係
とりあえずイザベラお姉様は捕まったり、処刑されたりしなかったみたいです。
ライラ様、厳しそうに見えますがかなり寛大ですよね。
お姉様とお父様がこちらに向かって出発していると聞いて私はびっくりしました。
理由はライラ様の暗殺を企む男がいたとのことですが、どうやらその犯人さんとやらがノルアーニ国王陛下の弟ニック・ノルアーニらしいのです。
ニックの悪名は知っています。
闇に染まった魔術師で私が幼いときにノルアーニ王国の乗っ取りを企んだのですが、お祖父様が捕まえることで事なきを得たという、極悪人です。
そのニックがイザベラお姉様にライラ様の暗殺を手助けするように唆したみたいでしたが、お姉様は当然その誘いを拒否。
謝罪をすることに加えて、念のためにそのことを伝えにお姉様とお父様はこちらにやって来たとのことでした。
ニックの狙いはナルトリアを刺激して戦争を起こさせることだと読んでいるみたいですが。
「しかし、イザベラお姉様の勧誘に失敗したのなら、ニックはライラ様の暗殺を諦めるのではありませんか? ナルトリアを刺激するのが目的なら他の王族の方を狙っても良いでしょうし」
「うん。もちろん、シルヴィアの言うとおりの可能性もあるよ。でも、私はだからこそライラ殿下を狙う可能性が高いように思える」
「えっ? どうしてですか?」
私はイザベラお姉様を勧誘出来なかったニックが騒ぎを本気で起こそうとするならば、ライラ様をわざわざ狙わないと思ったのですが、フェルナンド様の考えは逆みたいです。
「我々、ノルアーニ王国の人間がライラ殿下の暗殺計画を知ってしまったんだ。知っていて、それを阻止できないって面子丸つぶれだろ? ナルトリアとしては、ノルアーニ王族のゴタゴタに巻き込まれただけじゃなく、こっちの過失も責めることが出来るわけだ」
「うーん。陰湿な考えですねー」
うわぁ……、嫌な感じです。
本当にトラブル起こしたいだけの人の発想ですね。
お祖父様にもっと懲らしめられれば良かったのに。
「それより、私が心配してるのは――」
「……ったく、何でわたくしがシルヴィアと」
「フェルナンド殿、シルヴィア、大丈夫か? 何かトラブルはこっちで起きてないか?」
イザベラお姉様とお父様が合流しました。
お姉様は相変わらず、わたくしのことを恨んでいるのか嫌な顔をして睨んできます。
この前は全然話せずに攻撃されてしまいましたから、今日はちゃんと話しませんと。
「お姉様、ごめんなさい。ライラ様に何とかお許しを貰おうと色々と頑張ったのですが、結果が振るわず」
「わたくしをダシにして、点数稼ぎだけした癖に……!」
「へっ?」
「こら、イザベラ! 何を言うとるか!」
私が謝るといきなり点数稼ぎとか身に覚えのないことを言ってくるイザベラお姉様。
いや、本当に点数稼ぎ? どういうことなのでしょう。
「再生魔法をひけらかして! 国宝だか、宝剣だか、知らないけど、それを直して! 自分だけ褒められて、点数稼ぎしたんでしょ!?」
「い、いや、ライラ様や陛下が喜んでくれたらお姉様が……、そのう、助けてもらえると思って」
「嘘を言いなさい! わたくしのことなんて、わたくしのことなんて! どうでもいいって思っているくせに!」
「そ、そんなことないです! 私はイザベラお姉様が許してもらえればと思って動いてました!」
イザベラお姉様は再生魔法で色々と直したことが気に食わないといいます。
私はただ、みんなに喜んでもらえたら和むというか、いい雰囲気が作れると思っただけなのですが……。
「シルヴィア、あなたはいつもそうやって――」
「いい加減にしろ!」
「お、お父様……!」
ヒートアップしたお姉様をお父様は大声を出して止めます。
お姉様、こんなにも余裕がなくなっているなんて……。
私がお姉様のプライドを変に刺激しているのでしょうか。
どうしたら仲良くなれるのか、分からなくなって来ました――。
思ったとおりの先行き不安です。
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