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25.不本意ながら謝罪に行きますの(イザベラ視点)

 まったく、どうしてこのわたくしがナルトリアなんかに行かなくてはなりませんの?

 謝ってほしければ、こっちに来ればよろしいではありませんか。

 

「あーあ、ナルトリアは田舎を越えて行かなくてはならないのですよね。虫とか嫌なんですけど」


「お前! 何を今さら言うとるか! 本当に反省しとるんか!?」


 お父様、最近うるさいですわね。 

 いつもわたくしの味方で、頼み込めば何でもしてくれましたのに。

 牢屋に入れられたわたくしを助けてはくれず、怒ってくるだけでした。

 

 ま、ライラ様を殺そうとしている者の顔を見たのがわたくしだけですから、行けと言われれば仕方ありませんが、謝罪とか面倒です。


「もちろん、わたくし海よりも深く反省していますわ。……それより、お父様。その荷物は……」


「ワシも謝りに行くに決まっておるだろう。やらかしたお前の父親なのだからな」


 なんとお父様も付いてくるみたいです。

 わたくしを見張るつもりですかねぇ……。信用がないみたいですし。

 心配しなくても大丈夫ですよ。わたくし、きちんと謝りますから。



「陛下がくださった最後のチャンスだ。お前、ノーマン家がどれだけ優遇されとるのか分かっているのか? 普通ならお前のやらかしだけでワシの爵位など吹き飛んどるんだぞ」


 またそのお話ですか。

 アーヴァイン・ノーマン。つまり、わたくしのお祖父様が国家的英雄であるからこそ、ノーマン家は特別な扱いを受けているという話を何回聞かされたかわかりませんわ。

 牢屋に入れられて、どこが優遇なんですか? 意味不明です。 


「我が父、アーヴァイン・ノーマンの功績をお前が台無しにしたのだ。お前は死んだ妻によく似ていたから、甘やかしたワシにも無論責任がある。ノーマン家の名誉を回復させるために命を懸けるぞ。イザベラ……!」


「ええ、もちろんですわ。わたくし、改心しました。お祖父様の名を穢した償いが出来るのなら命を惜しみません」


「うむ。ならば、よい」


 大袈裟ですわね。

 命なんて惜しむに決まっているでしょう。

 わたくしの人生ですよ。王女殿下の癇癪なんかで潰されてなるものですか。



 ◆ ◆ ◆



 それから数日後……、わたくしたちはナルトリア王国の領土に足を踏み入れました。

 やっぱり虫が多かったではないですか。それに虫みたいな魔物もいっぱい出てきて――お父様が無理やり戦えと強制するから野蛮な戦闘にも巻き込まれて……、散々な目に遭いましたわ。


「ナルトリア国王、レオンハルト陛下にはすでに話は伝わっとる。シルヴィアやフェルナンド殿、そしてアルヴィン殿下がどうしておるのかは分からんが」


「殺されていなければ御の字ではないでしょうか? なんせライラ様は気性が荒いと聞きましたわ」


「馬鹿を言うな。そんな事いきなりするはずがないだろう」


「どうでしょうかねぇ。ほら、やって来ましたわよ。わたくしに対して随分とお怒りの様子でお出迎えしてくれるみたいです」


 ザッと数えたところ百人でしょうか。

 気まぐれに王都を歩きたいと馬車から降りてみましたが、真正面から兵士たちを引き連れて馬に乗っている赤毛の王女様が見えます。


 ――どうやら、噂どおりの方みたいですね。


 キスをしたとか、しないとか、で殺し合いどころか国際問題まで発展するとか……実に下らない。

 非常に不本意で仕方ありませんが謝っておきましょう。



「貴様がイザベラ・ノーマンか!?」


「お初にお目にかかります、わたくしがノーマン家の長女、イザベラでございます」


「予想以上に早い到着だったな。誠意を見せるためか?」


「もちろんですわ。ライラ様を傷付けたことを深く反省しておりますの」


「嘘だな――!」


「――っ!?」


 な、何? いきなりなんですか?

 いきなり腰のサーベルを首に……!?


 まさか、わたくしの言葉から嘘を感じ取ったとでも言いますの?

 それでいきなり、こんな乱暴なことって……。


「知っておくがいい。お前の謝罪相手は嘘が嫌いだ――」

イザベラ、当然のことながらいきなりピンチに……。


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