22.壊れたモノは直せても
再生魔法――どんなものでも時を戻すことによって直すことが出来る奇跡のような魔法。
人に使うことは出来ないという制約がありますが、その汎用性は極めて高いです。
大賢者と呼ばれた祖父は人を幸せにすることが出来る魔法だと私に言っていました――。
「なるほど、大したものだな。折れて使い物にならなくなっていた名刀、ひび割れてしまっていた城壁、さらに枯れてしまった花壇まで、本当に全てを直すことが出来るとは」
イザベラお姉様のことを話しているうちにライラ様は私の再生魔法に興味を示します。
百聞は一見にしかず、ということで私は実際に彼女の前で再生魔法を披露しました。
「どうでしょう? 色々と直しましたし、姉のことを何とか許していただけませんでしょうか?」
「それは出来ない相談だな。貴様が代わりに謝ったとて、それはイザベラが謝ったことにはならんからな。物を直してくれたことには感謝するが、別問題だ」
ダメ元で頼んでみましたが、そんなことで融通してくれるほど甘い方ではありません。
しかしながら、話が通じないという程でもありませんから、何とかキチンと話をつけられるように努力しましょう。
「ほ、他に直して欲しいものはありませんか? 何でも直しますよ。人には使えませんが」
「ほう。それは姉であるイザベラの免罪を求めての態度か?」
「はい! あっ……!?」
しまった。
正直に全部話そうと心がけていましたら、下心まで全部話してしまいました。
これじゃ、逆効果というか、なんというか。
「変わったヤツだな。貴様の話を総合すると姉は嘘をついてお前の悪口をアルヴィンに吹き込み、周りの人間にも吹聴していたのだぞ。そんな姉のために免罪を乞う意味がわからん。私なら叩き切ってやるが」
こ、怖いこと仰る。
イザベラお姉様のこと、私はそんなに恨んでないんですよね。
だって、私も人間性にかなり難があると思いますし、多分それがお姉様にとって許せない部分でもあったと思うんですよ。
不思議なのは、最初にモノを直したとき、お姉様がとても喜んで頭を撫でて褒めてくれたことです。
あのときの笑顔も偽りのものだったのか、それとも私がそれから増長していつの間にか嫌われたのか、私には分かりません。
でも、よく考えてみれば「また、私のものを――」と呆れたような顔をするようになっていたので、その頃から疎んじられていたのかもしれません。
私には最初に喜んで笑ってくれたお姉様の顔が印象的でしたので、恨まれていると知ったとき、びっくりした感情が勝ってしまったのです。
「ライラ様にとっては姉のしたことは許されないことだと思います。……それに私は多分姉に嫌われています。でも、それでも、バカなのかもしれませんが、姉のために謝りたいと思ってしまっているのです」
バカだと思います。
愚かだと思っています。
普通はどうでもいいとお姉様のことを切り捨てるだろうと思いました。
だけど、それでも、やっぱり見捨てることは出来ないのです。
もちろん、ライラ様からすれば私の口出しをする話でもないとお思いでしょうし、擁護の言葉も腹が立つかと思っていますが……。
「阿呆だな。こんなにも阿呆なヤツは見たことがない。……フェルナンドの聴取も終わったらしい。貴様の話と細部まで一致していたとのことだ。よろしい! 今から貴様ら二人は客人としてもてなそう。独房などに入れて悪かったな」
ライラ様はフェルナンド様と私の供述が一致していたとして、客人としてもてなすと仰せになりました。
とりあえずは、独房に戻らなくて良いみたいです。
「あ、あの~、姉のイザベラの件は……」
「貴様の姉についてだが話は聞いてやる。だが、貴様の望むような結果にはならんだろう。私の勘では貴様の姉はかなり歪んでいそうだ。平たく言えば嫌いなタイプとでも言おうか」
「そ、そうですか……」
厳しい顔つきでイザベラお姉様のことを嫌いだと仰るライラ様。
一触即発は免れましたが、ライラ様の口ぶりでは時間がかかってもお姉様をこちらに呼ばなくては気が済まない感じです……。
こればかりは仕方ないのかもしれませんね。
話を聞くというだけまだ穏便だと考えられますし……。
どうか、お姉様……、時間の許す限りきちんとした謝罪を考えてください――。
次回は少しだけ時が遡ってのアルヴィン視点です。
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