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17.ナルトリア王国へ

 ノルアーニ王国からずっと西に進み、フェルナンド様の領地を越えて、関所を通過して、ナルトリア王国の王都を目指します。

 領土面積は我が国のおよそ2倍。豊富な資源を他国に輸出しているこの国にノルアーニもかなり頼っている部分がありました。


 ですから、今回の件を丸く収めることが出来るかどうかは、今後のノルアーニ王国の生産事情にも関わってくるのです。


 しかしながら、関所を越えてすぐにトラブルが発生しました。



「ひ、ひぃーーーー! ま、魔物が、魔物が~~~! 早う! 早う! 退けいッ!」


 なんとナルトリア王国に入って早々に山道でワーウルフの群が馬車を襲ってきたのです。

 護衛は何人も引き連れていましたが、軽く20頭もいる魔物の群に、馬車は破壊され、なかなかのピンチになってしまいました。

 アルヴィン様に至っては、白目を向いて大声で喚き、パニックに陥っています。


「フェルナンド様、私、ちょっとお手伝いしてきます」


「シルヴィア、ここは護衛に任せて――、いや、頼めるかい?」


「はい! 任せて下さい!」


 私は馬車から出て行き、魔力を両手に集中して、天を仰ぎます。

 護衛の方には当たらないように注意して、魔物一体、一体を捕捉。  

 直したり、治したり、が得意だから攻撃魔法はちょっと不得手なんですけど――。


終焉の魔炎(レクイエム・フレア)――!!」


 空から降り注ぐ炎を纏った巨大な岩石。

 きちんと一体、一体のワーウルフの体に直撃してくれたので、魔物たちを殲滅することが出来ました。


 良かったです。

 まぁ、地面に底の見えない大穴が20個出来ましたが、不可抗力ということで……。


「おいっ! なんてことしてやがる! ナルトリアの領土をめちゃめちゃにして! 責任取れよ! だ、だが、馬車が壊れちゃ仕方ないな、もう帰るしかないよな」


再生魔法(リ・ワインド)……!」


「――っ!?」


 壊れた馬車と地面に空けた穴は直しませんと。

 私は再生魔法で元通りに復元します。

 山道はきれいになり、馬車は新品同様にピカピカになりました。


 これで問題なく王都を目指すことが出来ますね。


「ちっ! イザベラの言うとおり、嫌味な女だ!」


「さすがは大賢者の再来と言われた辺境の聖女だ。君が付いてきてくれて良かったよ」


 何だか不機嫌そうなアルヴィン様と、上機嫌そうに微笑むフェルナンド様。

 再生魔法は本当に便利です。こうやって、自分が壊したものを直したのは初めてですが。


 こうして、私たちはさらに西へ、西へと進んでいき、その後は特にトラブルもなく王都に到着しました。



「さて、ようやく王都に辿り着いた。さっそく王宮にて話し合いの席を設けてもらうように交渉をしよう。手紙は届けられているはずだから、話は通っていると思うが」


「な、な、なぁ! ほ、本当に僕も行かねばならんのか? フェルナンド……、お前だけで行ってきても……」


 フェルナンド様が着いて早々と王宮に行こうという話をするとアルヴィン様は涙目になって震えます。

 ライラ様がそれだけ怖いというのでしょうが。

 フェルナンド様に一人で行けなんてこと……。


「それは無理ですよ。話を円満に解決するにはアルヴィン殿下の謝罪は必須です」

「いや、だがなぁ。ライラという女は――!」

「ヒヒヒーンッ!」


「「――っ!?」」


 フェルナンド様とアルヴィン様の会話を遮るように馬が嘶き、馬車が急停車しました。

 な、なんでしょう。ここは王都の中心地ですから、魔物などは出るはずがないのですが。

 

「アルヴィン・ノルアーニ! 迎えに来てやった! 早く出て来い!」


 外から女性の声が聞こえてきます。

 そして、ザワザワと周囲も騒がしくなってきました。

 まさか、この声の主は――。


「嫌だ! 嫌だ! こ、殺される! ひぃぃぃぃ!」


「出ますよ、殿下。どう考えても引きこもるほうが体裁が悪いです」


「あっ! 待ってください!」


 半ば押し出されるように、アルヴィン殿下は外に出されて、続けてフェルナンド様と私が続きます。

 

 あー、これは思った以上の状況でした。


 気の強そうな顔立ちの赤毛のポニーテールの女性が武器を構えている兵士を百人以上率いて、腕組みしながら仁王立ちしているのです。 


 こ、この方がナルトリア王国の第三王女――。


「ら、ライラ……、ぼ、ぼ、僕はそのう」


「この私に恥をかかせるとは良い度胸じゃあないか、アルヴィン……!」

ついに、ライラ王女が登場です。


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