14.真実の愛が失笑されるワケ
イザベラお姉様が強制連行されて、お父様の顔色も優れなくなっていました。
可哀想なお父様です。
目に入れても痛くないくらいお姉様のことを可愛がっていましたのに、裏切られる結果となったのですから。
「ノーマン伯爵、すまないね。婚約者に対して魔法で攻撃したのを看過するわけにはいかなかった」
「いえ、フェルナンド殿の判断は正しい……。イザベラ、どうしてお前は……」
悲しそうな顔をしてイザベラお姉様の名前を呟くお父様。
私にもお姉様が何の恨みがあって、ああなってしまったのか分かりません。
ただ、理解出来たのは――強い殺意でした。
咄嗟に相殺した風魔法はかなりの魔力が込められており、まともに受けてしまえば大怪我は必至。下手すれば死ぬ可能性すらあったのです。
お姉様からそのような悪意どころか殺意を込めた攻撃をされたのはかなりショックでした。
それから、一夜は実家で過ごして、私はフェルナンド様とともに国王陛下の元へと行きます。
お姉様もアルヴィン様も私の名前を出していて、国王陛下はその辺の事情も聞きたいらしいのですが、そんなことを言われると思わなかったので不安になりました。
でもまぁ、私がやたらと鈍感だったのはお姉様との問題が拗れる理由の一つであることは間違いありませんし、責任がないというのもちょっと違うなという気がします。
自分の無神経なところが招いたことでもあるのなら、取れる範囲での責任は取ろうと思いました。
◆ ◆ ◆
「フェルナンド殿、久しいな。ますます、父親に似て精悍な顔つきになりおって。――シルヴィア・ノーマン、伝令の兵士から辺境の地の荒地を再生させた、と聞いた。大儀であったな」
意外というか、本当に意外なんですけど、国王陛下は思っている以上に歓迎してくれました。
陛下はアルヴィン様のお父様だし、息子の言ったことを聞けば私に怒りの矛先が向くかもしれないって懸念していましたから。
「父上! なぜ、こいつらを労うのですか! こいつらのせいで、この僕は窮地なんですよ!」
そこに血走った目をしたアルヴィン様が謁見の間に勢いよく入ってきます。
凄くこっちを睨んできますし、この方は本当に私たちが悪いって考えているみたいですね……。
「馬鹿者が! 婚約者が居ながら、公衆の面前で接吻など言語道断! どんな理由があろうと、な!」
厳しい口調で叱責する国王陛下。
アルヴィン様は少しでも陛下が味方してくれると思っていたのかアテが外れたような顔をしています。
「婚約者と言ってもライラとの婚約は本意じゃなかったんです! イザベラとは真実の愛があったから、あれは純愛! 何も恥ずかしいことじゃありません! そもそも、こいつらがイザベラを傷付けたから、僕は慰めようと――」
それは厳しいですよ、アルヴィン様。
イザベラお姉様のことを本当に想っていたとしても、ルールってありますから。
「はぁ……、お前のように真実の愛を浮気の言い訳として口にする奴がおるから、世間じゃあその言葉が笑われるようになっとるのだ。このバカ息子が!」
「うっ……」
「そもそも、自分の尻も自分で拭けぬ未熟者がいっちょ前の口を利くな! 自分で責任を取るならワシも何も言わんでやってもよい! ナルトリア王国にお前一人で謝りに行ってくるならな!」
「そ、そんなの無理に決まってますよ~~。ぼ、僕、ライラに殺されてしまう」
陛下に怒られるとヘナヘナとした態度で涙目になるアルヴィン様。
やはり、謝りに行くのは怖いのですか。
それなのに、真実の愛を語るなんて……、確かに陛下の仰るとおり、世間でその文句が笑われているわけです。
アルヴィンはどこまでも、どこまでもです。
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