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13.お姉様、どうしてこんなことを

 国王陛下との謁見には時間が少しかかるということで、王都に戻った私たちは私の実家に向かいました。

 実家にはイザベラお姉様が軟禁という状態で拘束されており、彼女が逃げ出さないように何人もの憲兵たちが家の前で見張っています。

 お姉様もノーマン家の魔術師。その気になれば、家を破壊して逃げることくらい出来ますから……。


 そんなことをすれば、いよいよ厳罰に処せられることは間違いないので、しないでしょうが。



「おお! シルヴィア、帰ってきてくれたか! それにフェルナンド殿もお騒がせして申し訳ありませぬ」


 お父様は私が帰ってくると、今までにないくらい喜びに満ちた顔をされました。

 お姉様の方が亡くなったお母様に似ていましたので、お父様はイザベラお姉様を可愛がっていたのですが、彼女がトラブルを起こしてしまったことで家のことが不安になったのでしょう。

 頼りにしているぞ、と手まで握ってきたお父様からは何だか新鮮な感じがします。


「イザベラは今回の件はなんと?」


 フェルナンドは単刀直入にイザベラの話を始めました。

 彼自身、お姉様が嘘をアルヴィン様に吹き込んだことを相当不快に思っているでしょうから、口調も冷たくなって当然です。


「それが、イザベラなのですが。あのバカ娘、シルヴィアが悪いと一点張りなのです。婚約者も何もかも奪われて、ヤケになったとしか」


 やっぱり私が悪いんですね。

 うーん。どうしてお姉様は私をそんなに敵視するのでしょう。

 それに……ヤケになって、アルヴィン様とキスをしたって理由になっていないような……。


「まさかノーマン伯爵もシルヴィアが婚約者である私を奪ったなどという虚言を信じてはないだろうな?」


「信じるも何も、あの子が虫が嫌いだと言っていたのは私も聞いていましたし。何よりも、シルヴィアはそんなことはせんでしょう」


「お父様、私のことを信じてくれるのですね」


 私はお父様がお姉様の嘘よりも私のことを信じてくれて嬉しいと素直に思いました。

 イザベラお姉様に甘いと思っていましたから、何かあったら、お姉様の味方になると思っていたからです。


「意外そうな顔をするな。まぁ事実としてイザベラの方を甘やかしていたから、無理もないか。……お前はしっかりしていて、手がかからない子だったから、どうしてもイザベラに心配が向いてなぁ」


 そんな話をしていますと、階段から足音が聞こえました。

 どうやら、お姉様が私室からこちらに来たみたいです。


 会いたくないと仰るかと思いましたが……。



「あら、泥棒女が来ているのね。フェルナンド様、ご機嫌よう。何やら嫌な噂のせいでわたくし、被害を受けていますの。誰かさんのせいでね」


「嫌な噂のせいでって、お姉様がアルヴィン様とキスをしたのは本当じゃないですか」


「だから何? その噂にあんたが婚約者を寝取ったことは含まれてないじゃないですか! 全ての元凶のクセに!」


 お姉様の目が銀色に輝き、突風を私に向かって放ちました。

 嘘ですよね。家の中で、この人魔法を使って攻撃してきたのですが……。 


 カーペットは強くはためき、テーブルの上の花瓶は落下して割れてしまいました。


「むやみに人に向かって魔法を使っては駄目だと習わなかったのですか? お姉様」


「な、何でわたくしの魔法が消えたのですか!?」


「同じ威力で同じ魔法を放つと相殺されるってことは知っていますでしょう? あのとき、私もお姉様の風魔法を感知して風魔法を放ったのです」


「くっ……」


 お姉様、随分と冷静さを失っていますね。

 軟禁中に魔法を使うなんて軽率すぎますよ……。


「イザベラ・ノーマン。君のさっきの魔法は見過ごせない。国家への反逆とも取れる行為だからね。すぐに憲兵たちに連絡して、牢獄に連行してもらうとするよ」


「そ、そんな!? お、お待ちください! 洒落に決まっているじゃないですか!」


 洒落にならない行為で数秒で怒りに任せて魔法を放ったお姉様は憲兵たちに連れて行かれるという話を聞いて青ざめていました。

 本当にどうしたのでしょう――。

ということで、イザベラは独房行きになりました。


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