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無能と呼ばれた少女は最狂の堕天使を召喚しました。  作者: アズライト
第2章 島内誘拐事件
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奴隷商会壊滅と新たな敵

これからもぼちぼちになるかも知れませんがよろしくお願いします。

話しは少し遡り、学園島内の敵の掃討と被害者救出を行っていた湊&ルースのチームとは別で、島外に連れ出された被害者の救出と黒幕である大手の奴隷商会グランド・ロアと誘拐の実行組織である黒薔薇(ブラック・ローズ)の掃討に向かったカエデ&ニーベルのチームは、カルディニア帝国、クレイスフィア聖教国などの近隣6ヶ国にて、グランド・ロアの拠点を次々と潰しいった。

そして、一行は現在カルディニア帝国の首都アルガザルムにある商会本部を襲撃していた。


「なぁ・・・あたし帰っていい?」


グランド・ロアの本部の宮殿と見まがう程に巨大な屋敷の破壊された扉に佇む、魔戦学園序列六位にして〝神撃〟の二つ名を持つ白い魔戦学園の制服を着崩した赤髪くせっ毛の目立つロングヘアの少女ミーナ・グラハムは、背中に生徒おんぶしたまま呆れたような口調で呟いた。


「いやいや・・・まだ誘拐された人達の救出が済んでないからね。お願いだから帰らないでね。」


今にも帰りそうなミーナの腕を掴んで宥めるのは、武戦学園序列八位にして、〝短剣の魔術師ダガー・ザ・キャスター〟の二つ名を持つ黒い武戦学園の制服に腰に巻かれたベルトには大小様々な短剣が下げた、銀髪ショートヘアの少女、クラン・ネルエムである。また、視覚的には見えないがスカートの内側やブレザーの内側、袖などに計100近い数の短剣を所持していたりする。


「いや・・・救出とか言われても・・・見ての通りあたしは既に寝ちまったイースをおんぶしているから、参加はできないぞ。」


「まぁ・・・確かに・・・そうだけど・・・」


クランは、ミーナの背中で寝息を立てている澄んだ青い髪の童顔の少女、魔戦学園序列六位にして、〝災禍の水魔〟の二つ名を持つイース・リヤードに目をやり何か諦めたような表情をした。


「はぁ・・・全く、緊張感なさすぎでしょ。ここ一応敵の本拠地だからね。」


ミーナの背中で寝息を立てているイースを横目で見ながら溜息を着くのは、武戦学園序列九位の〝絶窮〟の二つ名を持つ緑髪にセミロングヘアの少女、シーである。


「って言うか、そもそも、こんな体力ない奴を連れて来ること自体間違いでしょう?だから、私は反対だったのよ・・・こいつを島外組に組み込むなんて・・・」


とブチブチと愚痴を零すシーに皆苦笑いを浮かべていた。

イースは魔王に匹敵する程の魔力を生まれながらに持ち、特に水魔術に飛び抜けた才能があった。

八歳の頃、敵対国家の軍隊数百万人を陸上で津波を起こし一瞬で壊滅させたり、十歳の頃には水龍神リヴァイアサンを服従させたなどの数々の伝説を作った若干14歳の大魔術師である。

しかし、生まれた時からから魔術に優れた才能を持っていた事に気づいた親が魔術を徹底的教育するために、外は愚か、殆ど部屋からすらも出ない引きこもり生活を十四年繰り返した結果、100m程歩いただけでバテる、ダンベルは1kgも持てない、など致命的な程に体力がなく、肉弾戦に持ち込まれるとリーシェにすら呆気なく負けるほどに弱いのだ。今回はじゃんけんの結果で島外グループに入れられたものの、案の定、途中で「もう・・・疲れたの・・・寝る・・・の・・・」と言いながら、アルガザルムの港に着いた直後に船旅に疲れてミーナの背中のもたれかかって寝てしまったのである。

ここまで学園島から、実に40分程しか経っていないのだが・・・


「と言うか。ミーナもミーナよ。貴方あいつと同室でしょう?なんでいつもいつも疲れたらって、事あるごとに貴方の背中で寝てるのになんで何も言わないのよ!」


「いや・・・まぁ・・・そうなんだけどさ・・・」


ミーナは背中でくぅくぅと寝息を立てるイースの姿に少し困った笑みを浮かべる。


「なんか・・・妹みたいで放っておけなくてさ。」


「あれ?ミーナさん妹居たっけ?」


「いや、頭のねじが飛んでる兄しかいないな・・・」


ミーナそう言って溜息をついた。


「貴方も大変ね。兄が重度のバトルジャンキーなんてね。」


「ははは・・・にしても・・・」


「まぁ・・・やることないないわよね。」


「そうだね・・・この惨状を見るとね・・・」


三人は屋敷の中に目を向ける。

そこに広がる光景は床に転がった首のない無数の遺体と肉体が原型を留めていないほどに爆発四散し、本来なら白く輝いていた壁や磨き上げられた大理石の床は、血と肉片で真っ赤に染められていた。

最早それは、この世の地獄と言っても過言ではない光景である。


「毎度のことだけど、カエデもニーベルも先走りすぎて、私たちは出番がないのよね・・・」


「まったくだな。たまには暴れられると思ったのにさぁ。まったくあいつ等ときたら・・・少しは残しとけっての・・・」


シーとミーナは悪態をついた。


「どうします?私達も行きますか?」


「必要ないだろう。カエデとニーベルだからな。それに加えて、サルバァとリュウガまで付いていったし、万が一はないだろう。」


「カルメル、イリス、トウマ、ラッティアもまだ時間が掛かるでしょうから、私達は————」


シーは辺りを見渡して、適当な部屋の扉を指差し―――


「残っていそうな敵の掃討と奴隷の保護でもしましょう。」


********************************


「拍子抜けだな。大手の奴隷商会がこの程度の護衛しかいないとはな・・・何か妙だな。」


屋敷の執務室にて、グランド・ロアの会長アストロ・ロア・グランドの護衛だった巨漢の男の爆発四散し、床に転がった首を見下ろしながら顔を顰めた。


「そうですね。大手の奴隷商会の本部にしては警備が些か手薄の様な気がします。道中もそうですが、会長の執務室ですら見掛け倒しの護衛が2人・・・確かに妙ですね・・・」


カエデもニーベル同様の疑問を口にしながら刀を鞘に収めるのとほぼ同時に戦斧を振り上げたままもう1人護衛の男の首がボトっと床に落ち切れた首の断面から血飛沫が舞い床や壁を赤く濡らす。


「難しいことはよぅわからんけど、そんなんそいつに直接聞きゃあ良いじゃろ?」


執務室の本棚にある本を片っ端から引っ張り出し本を広げ、眉間に皺を寄せているのは、武戦学園序列五位で〝狂騎士(ベルセルク)〟の二つ名を持つ茶髪のオールバックに筋骨隆々の背中には無骨な大剣を交差し2本装備したパッと見、学生には見えない大男、リュウガ・ヤナギは横目で椅子から転げ落ち、床で腰を抜かした豪奢な服を纏った小太りの男アストロ・ロア・グランドを見下ろす。


「あぁ。そのほうが早い、そうしよう。」


リュウガの言葉に同意を示し、ウルミーと呼ばれる、薄く細い鞭の様に自在にしなる刀身の剣を右手に持ち首突きつけるのは、武戦学園序列十一位にして、〝生蛇(ロウ・スネーク)〟の二つ名を持つラッティア・サックァスと同じ国の出身で褐色の少年サルヴァ・ルトニチャである。


「ひぃぃぃぃ・・・待っでっぐれ、だのむ。ごろさないでぐれっっっ!!」


首元に剣を突きつけられたアストロは顔は破顔し涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら命乞いをする。


「心配するな。直ぐには殺さん。お前には、今回の一連の誘拐の同期を・・・いや・・・()()()()()()()()()()()()()()について、話して貰う。」


ニーベルはアストロの前に立ち髪を掴み冷たい瞳で見下ろす。


「ちちちち違うんだ。わわ私は騙されたんだ。こんな筈じゃ無かったんだ!奴ら学園の連中には絶対に見つからないって言ったから、わざわざ黒薔薇の連中に大金払って誘拐を依頼して協力したのに!!」


アストロは泣きわめくように叫び、捲し立てる様に喋る。


「なのにアイツら、学園の連中にバレた途端に音信不通になりやがった!!私の護衛だった奴だって本当は10人はいたんだ。なのに最後にはたった2人だ!もう死んだけどなぁ―――ふごぁッッ」


ニーベルは無言でアストロの殴りつけ、顔を引き寄せる。


「お前の事などどうでもいい。さっさと黒幕ついて話せ。」


「はっひぃ・・・わっ分かってるよ。アイツら自分達のことをい――――」


「いやぁ〜、こまるなぁ。クズの癖に余計なこと言っちゃあ。」


「「「「ッ!?」」」」


何処からともなく聞こえた声に4人は一斉に声のする窓の方を凝視した。

そこには、窓枠に足を組んで座り赤黒い肩出しのワンピースを着た5mはありそうな白髪に右眼は全体が赤く染まり本来瞳がある場所には英数字のⅦが刻まれた異様な少女が居た。


(この女何処から・・・)


(気配が・・・まるでしませんでしたね。)


(なんじゃ?!こいつ、いったいいつの間に入った?!)


(全く気づかなかった。いつの間に・・・)


「全く使えないなぁ〜。もういいよ。死んでぇ〜。」


欠伸をしながら線を引くように指を空中で横に振るとニーベルが掴んでいたアストロが軽くなり、ドサッと音がすると刃物で切られたように綺麗に首と胴体が別れたアストロ身体が床に倒れていた。そう、軽くなったのは頭と身体を何かの力で切り離されたせいだった。


「「「「ッ!!」」」」


皆一斉に臨戦体制になり、窓枠から距離を取った。


「お前は誰だ・・・何処から入った?」


ニーベルは油断なく少女を見つめながら、相手の出方を探るように質問する。


「んぁ?私?そうだねぇ。今は色欲(ツァーカブ)、そう名乗ってるよ。」


「何が・・・目的だ?」


「目的ぃ?そうだなぁ。強いて言えばぁ―――」


窓枠から床に降り、左手を頬に当てる仕草は年相応の少女だか、服装とⅦが刻まれた赤い眼と狂気に満ちた笑顔のせいで恐ろしい悪魔にしか見えない。


「邪神ヴェルディマーナの復活と七大魔王とぉ、リーシェ・アストルの殺害かなぁ?」


ニーベルは瞬時に魔法陣を、展開し、サルヴァはウルミーの刀身を伸ばし、リュウガは背中の大剣を2本とも抜き、カエデは柄に手をかける。


「おっと。今は君達と戦うつもりは無いよぉ。流石に十二将最強の二人と狂騎士と生蛇相手じゃ分が悪いなぁ〜。今日の所はクズゴミの片付けに来ただけだしぃ〜。」


そう言うと色欲の足元に黒い魔法陣が展開される。


「逃がすとでも?」


ニーベルの魔法陣が執務室の床に白い全体に広がり、黒い魔法陣にすい込まれていた色欲の動きが膝辺りで止まった。


「およ?」


魔術を途中で妨害され、色欲は不思議そうな顔をする。


「その首、貰い受けます。」


カエデが瞬間移動が如き縮地で色欲の目の前に移動し、柄に左手をかける。


「弦楼流抜刀術―――」


鞘に右手を掛けて、刀を抜き放つ。


「時雨―――」


カエデが抜き放った刀は青く波打ち、神速の一閃を放った。

十二将のメンバーでさえも回避が難しいこの剣戟を膝まで足が埋まっていた色欲が当然回避出来るはずがなく、呆気なく首を切り飛ばされた。


(なんですか・・・コレは・・・切った感触がまるでしないですね・・・)


完璧に決まった筈なのに、まるで霧を切ったかのように感触がない事にカエデは顔を顰めた。


「いやぁ〜。驚いたよぉ〜。まさか魔法陣に干渉するだけでなく、私の首を落とすとかぁ、なかなかやるねぇ〜。」


切り飛ばした筈の首が喋り、まるで逆再生するかのように、首が元の位置に戻り瞬時に傷が癒える。


「よっと。」


色欲は間抜けな掛け声を挙げながら左手でニーベルの魔法陣に触ると魔法陣が霧散した。


「私を無効化しただと?!」


ニーベルは、目を見開く。


「それじゃそろそろここで失礼するよぉ〜。また近い内に会おうねぇ〜。」


そう言うと色欲は、手を振りながら黒い魔法陣に飲み込まれ消えていった。


「・・・急ぎ学園に戻り、この事を学園長に一刻も早く伝えましょう。」


カエデは刀を鞘に収めながら踵を返した。


「ああ。そうだな・・・」


「おう。そやな。」


「うん。取り敢えず、報告しよう。」


3人もカエデの後を追い、執務室から出ていくのだった。



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