この世の地獄
2、3日後とか言っといて10日近く遅れてすみませんでした。
なんか忙しくて余り時間が取れなかった・・・
「さぁ・・・私がじっくりと、調理してあげよう。」
ねっとりとした口調でローブの男達に近づくべリアルの手にはいつの間にか赤い釘が握られていて、鋭利な尖端が指の隙間から見え隠れしていた。
「な、何をする気だ・・・」
「何って、分かるだろう?」
赤い釘を親指と人差し指で挟んで、ローブの男達にわざと見えるように転がす。
「まずは、これを君たち一人一人に刺していくよ。」
「す、素直に刺されると思うか?」
「あぁ。その心配はないよ。」
キィィィンッ―――
コインを弾くような金属音が張り詰めた室内に響くのとほぼ同時に、大剣の構えていたローブの男の右肩に赤い釘が刺さり僅かに血が滲んでいた。
「え?」
「な!?」
「はぁ!?」
ローブの男達は、一瞬何をされたのか分からず、刺されたであろう当人すらも何が起こったのか分からないと間抜け面を晒していた。
「どうせ君達じゃ見えないからね、回避は出来ないよ。」
「いぎぃぃぃぃぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁッッッッッッ――――――」
赤い釘が刺さっているのを知覚した直後、大剣の男は右肩を押さえて魔獣の雄叫びのような悲鳴を挙げながら、床に倒れ込み右肩に刺さった釘を引き抜こうと釣り上げれた魚のようにのたうち回っていた。
「フフフフ。痛いだろう?その釘は、いつも使うのとは違ってね。少し痛覚を抑えたとはいえ、出産時の三倍の痛みが全身に走るけどね。」
「っくそッッ!冗談じゃない。連携Cだ。俺がレイスを助けるから援護しろ!!」
恐怖で立ち竦んでしまったメンバーにナイフの男、ダストが指示を飛ばすと、大剣の男、レイスに向かって走り出した。
「あ、あぁ。分かった。」
「そうだ!このまま黙って殺られるかよ。」
「出来る限りの抵抗してやろうじゃねーか!!」
ショートソードの男と曲刀の男もダストの後を追い走り出すと同時に、三人の魔術師が呪文の詠唱を始める。
「「「彼の者の焼き貫きたまえ、炎槍」」」
「おやおや。わざわざ自分から向かってくるとはね。どうやら余程拷問されたいみた―――」
三発炎槍がべリアルに着弾し炎と爆発音が屋敷揺らし、火災の現場のように玄関フロア一体が火の海に包まれた。
「しぃッ―――」
ダストが黒煙と炎に紛れて、レイスの元に滑り込み両脇を抱えて魔術師達のいる後方にレイスの足を引きずりながら下がる。
「回収ッ!」
「OK。時間を稼ぐ、早く下がれ。」
「レイスを頼むぞ!」
ダストがレイスを抱えて下がると、すれ違うようにショートソードの男と曲刀の男が前に出て武器を構える。
「三発当たったんだ。多少は効いてるはず―――」
「Sランク冒険者でもまともに三発も受ければ―――」
「やれやれ、今度は君達かい?まだ彼の拷問は済んでないだがねぇ。」
三発の炎槍が直撃したにも拘らず何事も無かったかのように何食わぬ様子で佇んでいた。
「おいおい、まじかよ。全くの無傷って・・・」
「くそ・・・化け物め!」
ショートソードの男と曲刀の男がべリアルと対峙している最中、ダストはレイスを引きずりながら魔術師の側まで退避して、床に寝かせる。
「おい、おい、大丈夫か?しっかりしろ、おい!」
「ひぎぃぃぃえぇぇぇぇぇあぁぁぁぁぁッッッッッッ―――」
ダストが必死に呼び掛けるが、レイスは相も変わらず悲鳴を挙げ続け、右肩に刺さった釘をどうにかして抜こうとたうち回っていた。
「その釘が抜けないのか・・・」
「残念だがその釘は、刺された本人では抜く事はできないよ。」
「何だと。じゃあ、どうしろと!」
「簡単さ。本人以外の第三者の手であれば誰でも引き抜けるよ。」
「・・・本当か?」
「あぁ。当然だとも。私が作った物だからね。ただし―――」
「お前ら!レイスを押さえろ。俺が抜く。」
「わ、分かった。」
「おう。」
ダストの指示で魔術師二人がレイスを押さえ込み、右肩を掴んで赤い釘を引き抜く。
「これで―――」
「おっっひぇぇぇぇッッッッッッ―――」
しかし、釘を抜かれたレイスは奇声を挙げながら全身を痙攣させながら失禁と脱糞しながら息を引き取った。
「え?」
「あ~あ。死んでしまったねぇ。まったく、人の話しは最後まで聞くべきだとおもうがね。」
「どうして・・・」
「言っただろう?ただし、私以外の第三者が抜けば死ぬけどね。って。」
「なんだよそれ・・・」
ダストは気づいてしまった。刺された時点でどうあがいても死からは逃れられないということ。それと同時に、レイスに向かって放たれた赤い釘は速すぎて全くの見えなかった。
それはつまり、仮面の男にとって自分達程度なぞ何時でも殺せるぞと言うことを暗に示していた。
「がぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁッッッ―――」
「いぎぃぃぃぃいぃぃぃぃぃッッッッ―――」
聞き慣れたショートソードを装備していたリグと曲刀を装備していたアストの悲鳴が聞こえる。
その声に肩を震わせながら、ダストゆっくりと前を見た。
「あ・・・あぁ・・・」
そこには、脹ら脛や肩に赤い釘を受けレイスと同様に床に倒れ込み悲鳴を挙げながらのたうち回っていた。
「良い機会だ。君達には、私の拷問用の宝具の実験台になってもらおうかね。こんなの風に―――」
べリアルが指を鳴らすと左腕が千切れ、宙を舞い、二つに裂け、粘土細工のように変形し、赤錆た鉄の処女と背もたれから足置きに至るまでびっしりと太い針に埋め尽くされた血がいたるところに染み付いた鋼鉄の椅子が姿を現した。
「さぁ。ショータイムの時間だよ。」
そう言うと同時に軋んだ金属音と共に鉄の処女の扉が開く。そして、鉄の処女の方には首根っこを掴んでリグを放り投げ、同じく首根っこを掴んだアストを鋼鉄の椅子に投げる。
鉄の処女は、リグが中に収まると同時にバタンと閉じ、鋼鉄の椅子は、放り投げられたアストがまるで磁石のように吸い寄せられ椅子に収まると手首、足首がベルトで固定された。
「さぁ。どんどん行こうか。あまり、時間は掛けたくなくてねぇ。」
べリアルが指を鳴らすと銅で出来た牛に梨のような形の金属器、鉤爪型の鋏やY型の磔用の金属板に何かを巻き取る器具がセットになったものが姿を現した。
魔術師3人とダストには、それがどんなことをする道具なのかは理解できなかったが、少なくとも相当にヤバイものであることだけは理解が出来た。
「うわあぁぁあぁぁあぁぁッッッ―――」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、死にたくない!」
と叫びながら後ろの部屋の奥にある窓に向かってダストが先頭になり魔術師三人が一斉に逃げ出した。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁッッッ―――」
「があぁぁぁあぁぁぁッッッ―――」
「いぎぃぃあぁぁあぁッッッ―――」
歩を進め窓に近づくごとに後ろからの魔術師達の断末魔が聞こえる。
(みんな・・・すまない、すまない、すまない、すまない・・・)
ダストは心の中で仲間達に必死に謝罪しながら、唇を噛み、叫び声が聞こえないフリをして歩を進める。
(せめて、俺だけでも生き残って皆のために組織に救援を要請するからな。必ず、仇は取る!!)
窓枠に手を掛けてガラスを突き破って外へ飛び出した。筈だった―――
「え?」
目を開けると、そこは先程窓から飛び出した筈の室内だった。
「そんな、ばかな!」
慌てて振り返ると確かにそこに窓枠はあり、ガラスは破れていた。しかし、窓から見えたモノは外ではなく、出てきた筈の部屋であった。
「何故だ?!確かに外に出たはず―――」
「いやぁ~。惜しかったねぇ。でも、残念だけれどこの空間は私がこの屋敷に入った時点でこの屋敷と言う空間に閉じ込めておいたから、その道外には出られないけどね。」
「そんなのありかよ・・・ふざけんなよ・・・」
ダストは膝を突いて、全てを諦めたような絶望で満ちた表情でこちらに向かってゆっくりと歩いてくるべリアル見る。
「さぁ。君には、腸を巻く物を試そうかねぇ。」
ダストの首根っこを掴んで引きずりながら部屋を出ていった。
次回からは第三章・学内選抜戦編が始まります。
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