公開召喚儀式
素人なりに、丁寧に表現したつもりですがだいぶ長くなってしまったような気がします。
「本当にもう大丈夫なの?」
救護室のベッドに腰を掛けて、ベッドの下に置いてあった靴を履く。
「平気平気。もう大丈夫だから。それに、今日の公開召喚儀式を休む訳にはいかないし。」
ベッド近くの椅子から立ち上がって、心配そうな顔をしたアルティの手をとり、微笑む。
「リーシェが大丈夫ならいいけど。」
僅かに頬を染めて、少し納得いかないというような顔をした。
「本当に大丈夫?あれほどの精神汚染を受けた後だから、あまり無理はしない方がいいと思うけど。」
枕元の横に置いてる白い四段チェストの上に足を組んで座っているミナトは、再度確認をリーシェにした。
「リーシェちゃん。君が戻ってきて、抱き合ってひとしきり泣いたあと、倒れるように寝ちゃたから。」
あの後、リーシェが精神世界から戻ってきて、ひとしきり抱き合って泣いた後、倒れるように寝てしまった。その直後ぐらいに先生達が駆つけた。アルティとミナトが事情を説明して、精神的疲労が残っているだろうという事で救護室に2人で運んで、空いているベッドに寝かしたのだ。
「あれから二時間は寝てたんだよ。多少休んだと言ってもまだ精神的疲労が残っているんじゃないかと・・・」
「ありがとうございます。でも、大丈夫です。ほらこのとおり―――」
両肩を交互に回したり、屈伸して大丈夫アピールをする。
「・・・まぁ、リーシェちゃんがいいって言うなら・・・でも無理はしないように。」
「はい。それと、今回のこと・・・私は意識がなかったからその間のことは何もわかりません。ですが、リーシェから聞きました。ミナト先輩がいなかったら私は多分帰ってこれなかったと思います。本当にありがとうございました。」
ミナトに深々と頭を下げた。
「いいよいいよ、気にしないで。同じ学園に通う生徒なんだからさ、助けるのは当然だよ。」
「私からも、ミナト様の判断力と対応の早さ、そして上位精霊による解呪、精神強化、回復をリーシェに掛けると同時に、周囲の生徒の魔力回復のサポートも同時にこなしておられました。あのとき私はパニックに陥っていて、正常な判断ができませんでした。ミナト様が居られなかったら、リーシェを助けることは出来なかったとおもいます。本当にありがとうございました。」
アルティもリーシェに並んで頭を下げた。
「ちょっと、2人してやめてよ。そんな畏まってさ、なんか照れくさいじゃん。」
後ろ頭を掻きながら、気恥ずかしさを誤魔化す為に目線を僅かに逸らす。
「「でも・・・」」
「それに私はあくまでも2人をサポートをしただけだよ。リーシェちゃんが戻ってこれたのは、アルティちゃんのリーシェちゃんへの帰ってきて欲しいと願う必死の呼び掛けと、リーシェちゃんのアルティちゃんのいる世界に戻りたいと願う強い精神力があったからだよ。」
「でも、それじゃ気が収まりません。」
「そうです。何かお礼をしなくてわ―――」
「も~。2人とも強情だなぁ。」
「じゃあこうしよう。」
座っていたチェストから飛び降りて、ミナトは人差し指を立てて、2人に提案する。
「これから、私の名前を呼ぶときはミナトちゃんと呼ぶこと。」
「「え?」」
予想外の提案に、2人は面食らってしまった。
「えっと・・・そんなことでいいんですか?」
リーシェは再度確認をする。
「うん。ほら私ってさぁ、十二魔戦将だからだと思うんだけど、みんな私のこと様とかさんとか、先生や同級生もなんか堅苦しい呼び方するんだよね・・・」
「多分ですが、それは・・・十二魔戦将だからみんな気軽に話掛けるのは恐れ多いと思われているからではないかと・・・」
十二将とは、魔戦学園と武戦学園における、上位12人に与えられる学園を代表する最強としての称号で、この称号を与えらた生徒は普通の生徒と違い、様々な特権が与えられ、場合によって学園長と同等の発言権と実行権すら行使可能な存在である。従って十二将は、生徒の間では憧れの存在であり、崇拝の対象でもあったりするからである。
「はいそこ。私は堅苦しい話方も好きじゃないの。だから敬語も禁止。」
ビシッと指を指しながら、アルティに指摘する。
「わかり・・・わかったよ・・・ミナトちゃん」
「わかりまし・・・わかったわ・・・ミナトちゃん」
「ん~。なんかぎこちないないなぁ~。まあいいや。それじゃ2人とも頑張ってね。」
「「はい。ありがとうございました。」」
二人揃って挨拶をして、リーシェがアルティの手を引きながら病室を出ていった。
「って言ったそばから・・・」
ベッドに腰掛けながら呟いた。
「さてと。中途半端な時間だし、私はこのままサボっちゃおうかな―――」
「へー。何をサボるって言うんですかねぇ?」
カーテンが突然開き、圧の効いた声がして、ミナトはビクッと体を震わせる。
ギギギと音がしそうなどゆっくり首を動かし声がした方を見た。
ふわっとした、シースルーバングの金髪のロングヘアに海色の蒼い瞳をした白い瑞々しい肌に巨乳の女生徒が腰に両手を当てて、笑顔でこめかみをヒクヒクさせながら立っていた。
「や、やぁルーちゃん、どうしたの?体調でもくずしたのかな?」
ルーちゃんことルクシリア・リーフレックはミナトと同じ三年生で十二魔戦将にして校内序列十位の〝銀翼〟の二つ名を持つアルティの姉に当たる生徒である。
「担任のランドル先生に、様子を見に行って欲しいって言われて来たんですよ。」
笑顔でずかずかと入ってきて、ベッドに入りかけたミナトの制服の首根っこを掴む。
「待ってくださいルクシリアさん、言い訳をさせてください。」
猫のように持ち上げられた状態で、考えていた言い訳を披露しようとする。
「駄目です。」
笑顔のままキッパリと言い切った。
「ほら、私、一年生の様子を―――」
「もう帰りましたよ。」
「もう時間が中途半端だし―――」
「中途半端でも授業中です。」
そのまま床に降ろすと、そのままズルズルとミナトを引きずりながら救護室の出口に向かう
「待って、せめて靴だけ履かせて―――」
「そう言って前は逃げましたよね?ミナトが授業をサボるといつも私が怒られるんですから。」
「そんなぁぁぁ―――」
ミナトの悲痛な声は誰にもと届くことはなかった。
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「はぁはぁ、どうにか・・・着いたね。」
「そう・・・だね・・・はぁはぁ」
救護室を出て20分ほど走ってようやく見上げるほど巨大なコロッセオを思わせるようなの円型の闘技場にたどり着いた。
「本当に・・・この学園・・・広すぎるよ。」
「そうだね・・・いくら土地があるからって・・・行き来するのが大変だよね。」
二人は肩で息をしながら、闘技場の生徒用の入り口を探す。
「えーと、3番ゲートだっけ?」
「そうだよ。先生がいるはずだから。」
闘技場の周辺は様々な屋台が立ち並び、大勢の人でにぎわっていた。
「人が多いね。まるでお祭りみたいだね。」
「まぁお祭りっと言っても過言ではないかな、年間に10回ほどしか一般の人は学園島に入れない訳だし、自分の子供の勇姿を見に来る家族や友人も多く来るからね。」
「それでも年10回はあるんだね・・・」
「そうかな。妥当だと思うけどなぁ、6つも学園があるんだしね。」
そうこう話しているうちに、3番ゲートのにたどり着いた。
3番ゲートの入り口には、フルプレートの騎士が5人と白いフード付きのローブを羽織った白髪の目立つ初老の男性教師と黒いフード付きのローブを羽織った緑髪の若い女性教師である。
二人の教師はリーシェとアルティを見るなり、不思議そうに声を掛けてきた。
「リーシェ君にアルティ君、君達は救護室で今日一日休むと聞いていたはずだが。」
「そうだよぉ~。安静してなきゃだめですよぉ~。特にリーシェちゃんは。」
「いえ、もう大丈夫なので、参加させて下さい。ゴルド先生、ミーナ先生。」
「でもねぇ~。」
「ミナト・マカベ様から許可は頂いています。」
アルティがそう言うと、ゴルドとミーナは顔を見合わせてなにやらジェスチャーをしてから。
「まぁ、十二将である彼女がいいと言ったのなら、大丈夫だろう。」
そう言われて、ゴルド先生に闘技場の中に案内して貰った。
「君たち総合魔術科の席は闘技場内に入って、右の通路を5ブロック先の席はだ。」
壁にランタンが並ぶ広い通路を抜けると、儀式場の内部に出た。
闘技場は軽くコロッセオの3、4倍はありそうな大きさで、五階層に別れた観客席は人で埋まっていて、大きなシャボン玉のような物が6個浮かんでいて、闘技場の様子がアップで写し出され、巨大なアリーナの中心には、10m程の大理石でできたステージが設けられていて、その中心には白い制服を着た生徒が今まさに、魔方陣の上で召喚の呪文を詠唱している真っ最中であった。
「うっわぁ。すっごい人・・・」
観客席は見渡す限り人、人、人だった、予想を越える人の多さに、リーシェは圧倒されていた。
「この闘技場は世界で2番目に大きな闘技場で、約20万人が収容可能らしいよ。」
「道理で人が多い訳だね。」
「五階層あって、下から教員及び騎士階級席、生徒席、一般席、貴族席、王族席に別れているらしよ。」
「へぇー、そうなんだ。」
「そうなんだって、この前授業で先生が言っていたでしょう。」
「ごめん覚えてないや。」
そんな会話をしながらブロック間にある通路を進んでいると、突然大きな歓声に包まれた。
「うわっ、何、どうしたの?」
「リーシェあれを見て。」
ステージの中央には、獰猛な獣のような顔に羊のような巻き角を持ち、凶悪そうな五本の爪を両手両足に持つ全身が炎の塊の全長10m以上はありそうな巨大な精霊がいた。
「あれは、イフリートだね。Aランククラスの召喚獣だよ。」
「Aランク!?凄いね・・・」
Fランクすら召喚出来なかった自分とは大違いだなとリーシェは感じていた。
「召喚したのは・・・セルジス王子殿下みたいだね。」
「セルジス殿下って、カルディニア帝国の第三王子だよね?」
「そうだよ。そしてセルジス殿下は、火炎魔術科のだからやっぱり炎の精霊を召喚したみたいだね。」
「そうなんだ。まぁ、一般生徒以下の私には関わることはないだろうけど。」
5ブロック目の空き席が並んで2つあるのを確認して隣同士で座った。
「あら、特待無能生じゃありませんこと。いったい何をしにいらしたのかしら。」
後ろから嫌みな声が聞こえてきて、ビクッとしながらリーシェは思わず振り返った。
斜め後ろの席に赤髪に後ろ頭でロープ編みをしたロングヘアにエメラルド色の瞳を持つ、整った顔立ちの女生徒、リアス・アスキードである。
彼女はアスキード公爵家の次女で、座学、実技共に優秀な生徒であるが、リーシェを一番目の敵にしている生徒でもあった。
「うわっ、本当だ。休んでたんじゃないのかよ。」
「なんで来たんでしょうね、何も召喚出来ない癖に・・・」
「朝も色んな人に迷惑掛けといて、今度はクラスに迷惑掛けるのかよ。」
「わざわざ自分の無能をアピールしに来たのかしら、他所でやって欲しいわね。」
リアスの発言でリーシェが居ることがわかると、みんなひそひそとリーシェの悪口をいい始めた。
「ちょっと。さっきから聞いてれば、貴方達―――」
言い返そうとして立ち上がろうとしたアルティの腕を引っ張って、制止させる。
「いいの。放って置いていいから。」
「でも―――」
「無能さんには精々無様な醜態を晒して、笑いの一つでも取っていただきたいですわね。」
リアスの言葉にクラスの生徒はクスクスと笑いだした。
「―――ッ!?」
アルティがスカートの上で握る拳の上にリーシェはそっと手を添えた。
「今は目の前のことに集中しよう。」
『続きまして、総合魔術科の召喚魔術儀式を執り行います。生徒の皆さんは準備してください。』
観客席から再び大きな歓声が上がる。
「いよいよだね・・・」
「そうだね・・・」
アルティも緊張した面持ちで、ステージを見つめる。
名前を呼ばれた生徒が順番にステージに立ち次々に呪文の詠唱していく。
ある生徒は梟の精霊だったり、またある生徒はFランクの可笑しな格好のゴブリンが召喚されたりして、観客の笑いを誘った。
「それじゃあ、私次だから行ってくるね。」
「わかった、頑張ってね。」
小さく手を振ってアルティを送り出すと、アルティも小さく手を振り返してくれた。見えなくなるまで見送るとステージに目を向けた。
『続いて・・・アルティ・リーフレック。』
放送で名前を呼ばれると、アルティがアリーナに入場した。
ステージへと続く石畳の道を歩くアルティの姿はいつもよりほんの少しぎこちなく緊張しているようだった。
ステージの上に立つと大きく深呼吸を1回して、ステージの中央に描かれた魔方陣のに一枚の羽を置いて、呪文の詠唱を始めた。
「来たれ、霊界よりいでしも者よ、創造神の名のもとに、我と契約を結ばん!!」
詠唱を終えると、魔方陣が白く眩く光輝きを放った。光が収まると、そこには純白の2枚の羽を持つ美しい毛並みをもつ白馬がいた。
観客席からのセルジス王子の時と同じぐらいの大きな歓声が上がった。
「すげぇー!!ペガサスだ。」
「マジかよ、Aランクの召喚獣じゃねーか。」
「これでAランク召喚獣を召喚した生徒は8人か。今年の一年生は凄まじいな。」
「カッコいい!!」
「ってか、あの子可愛いな。はぁはぁ―――」
若干ヤバい人が混ざっていたけど、周囲のアルティを称える声にリーシェはとても誇らしい思った。
(やっぱり、アルティは凄いなぁ。)
アルティの凄さを再認識していた。
「ただいまー。リーシェ。」
戻って来たアルティはとても満足そうな顔だった。
「お帰り。凄いね、ペガサスなんて、Aランクの召喚獣だよ。」
「いやぁ、そんなことないよ~。」
そう言うアルティの顔はかなりどや顔であった。
その後も順調に召喚儀式は進んでいき、遂にリーシェの番が回ってきた。
「つ、次は・・・私かな。」
「うん・・・頑張って・・・」
アルティはリーシェの両手を優しく握りエール送った。
「うん・・・行ってくるね。」
小さく笑って、通路を歩き入って来た時と違う通路を通り、アーチ型の入場口で待機する。
ステージの方から、先程召喚儀式を終えたばかりのリアスが歩いてきた。
「あら~。結局やるんですね。まぁ、精々頑張って恥でも掻いてくださいな。」
すれ違いざまに嫌みなたっぷりの言葉を放つ。リーシェは眉潜めて一瞬だけリアスを見るがすぐステージの方に目線を戻す。
「あら。無視ですか・・・まぁいいでしょう、健闘を祈っていますわ。」
1mmもそう思って無さそうな黒い笑顔を浮かべながら、通路の奥に消えていった。
『続いて・・・リーシェ・アストル。』
名前を呼ばれ、緊張した面持ちで石畳の道に踏み出した。
観客の視線が一斉にリーシェに集まり、リーシェの足が重くなる。
(うっ・・・視線が重い・・・)
ステージに近くに連れて、心臓のバクバクという音が大きくなり、呼吸が荒くなる。
(やばい・・・めちゃくちゃ緊張する・・・)
そしてステージの階段を昇りきり中央の魔方陣を見て3回ほど深呼吸をする。
(落ち着け、落ち着け、自分を信じろ私。)
胸元から純金の印章のペンダントを取りだし、右手でチェーン部分を掴み天に掲げて、左手は手首に添える。
「お、おいあれなんだ・・・」
「あの子あんな金のネックレスを持ってたなんて・・・」
「まさか・・・あれを触媒に使うつもりなのか・・・」
「おいおい・・・一体何を召喚する気なんだ!」
教師席から、リーシェの掲げる純金の印章ペンダントについてなにやら、議論が起こっていた。
(このペンダントどこで手に入れたかは覚えてないけど、何故か分かる。このペンダントの使い方、そして呪文の詠唱が―――)
リーシェは目を閉じ、呪文を詠唱する。
「来たれ!!」
リーシェが叫ぶと同時に、先程まで晴れていた空が赤黒く染まった。
「なんだ?いきなり曇ったな・・・」
「雨でも降るのか・・・」
観客に動揺が広がる。
「地獄を抜け出しし者、十字路を支配する者よ、」
突如空に超巨大な魔方陣が姿を現れた。
「待て待て、なんだあの詠唱と魔方陣は!?」
「あんな詠唱授業で教えていませんよ!!」
教師席は、若干パニックになっていた。
「汝夜を旅する者、昼の敵夜の朋友にして同伴者、」
超巨大な魔方陣の下に一回り小さい魔方陣が出現する。
「犬の遠吠え流された血を喜ぶ者、影の中墓場をさまよう者よ、」
更に一回り小さい魔方陣が出現する。
「あまたの人間に恐怖を抱かしめる者よ、」
また更に一回り小さい魔方陣が出現し、闘技場内に台風のような赤い暴風が吹き荒れ始めた。
「そんなバカな!?この魔力は!!!」
「まさか・・・魔力嵐を引きおこすほどの・・・」
「そんなことより・・・誰かやめさせろ!!観客までパニック状態だぞ。」
魔力嵐で観客席ではあちこちで叫び声がこだまし、大パニックになっていた。
「ゴルゴモルモ千の形を持つ月の庇護のもとに、」
遂に魔方陣はリーシェの頭上にまでに到達した。
「我と契約を結ばん!!」
目を見開いて詠唱を締め括ると、手に持っていた印章が灰になり、空の魔方陣から赤い極光が降り注ぎ、魔方陣を次々と通り過ぎながら、ステージの中央辺りに落ち衝撃でステージが陥没した。
「きゃっ―――」
リーシェは衝撃の余波で吹き飛ばされ、地面に投げ出される。
体を起こすと、光は消え、魔力嵐は収まり、空は元の青空が広がっていた。
もくもくと土煙が上がる陥没したステージのに立つ翼のような物が生えた人影がいた。
バサッ―――と翼を羽ばたかせるような音がすると、土煙が一気に晴れた。
そこに居たのは、4、5mはありそうな深紅の翼を広げ、赤黒く様々な人の顔が模様のように全身にあしらわれ、腰の辺りから赤いマントがはためくおぞましい鎧に、風になびく長い赤髪、不気味な笑顔を浮かべた白い仮面を着けた、異様な存在がそこには居た。
「――――――」
リーシェは口を開けたまま声が出なかった。
ただこの場に居るだけで、押し潰されそうな程の圧力を放つ存在を、自分が恐ろしい物を召喚してしまったことに、頭の中は混乱していた。
「君が私の召喚者だね。」
背筋の凍るような低い男性の声で召喚者かどうか問われた。
「―――ッ!?」
全身に寒気が走り言葉が出ず、恐る恐る首を縦に振った。
「そうか・・・ならば問おう―――」
両手を広げながら。
「君の願いは、その魂を掛けるに値する価値はあるかね?」
リーシェは悟った。これは人の手に余るヤバい存在だと。
やっと物語動きだしました。自分で書いておいてちょっと引っ張り過ぎたかなと思っています・・・
今更ですが、毎朝8時更新予定です。
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可能な限り返そうと思います。




