堕天使VS毒海
短めです。戦闘回がもう1話あります。
ドゴッッッッ―――
地を揺らすような轟音と共に、紫色の巨大な柱が空に上がった。
12kmほど離れた草原が途切れた森の入り口の木の上で、緑ローブの男女は遠視魔術を使い、べリアルとデルミアの戦闘を眺めていた。
その戦闘は凄まじく、先程からちょくちょくと地鳴りがし、毒が竜のようにのたうちまわり、大地や花草を溶かし地形を変形させていた。
「しっかし、いつみても凄まじいな・・・」
「あぁ・・・」
一同はそんなデルミアの姿に戦慄していた。
「相変わらずとんでもねぇな、デルミア様の毒魔術〝毒竜〟は」
緑ローブの一人、茶髪で壮年の無精髭を生やした男ガルドは12km先で大地を覆う毒の海から百を越える150mほどの竜が首をもたげていた。
「しかし、あの毒竜でもまだ仕留められていないようですわ。」
緑ローブに金髪のエルフの女性リーンリットは驚きを隠せない表情でいた。
「いや、それどころか、あの仮面男から、2、3発貰ってすら、いるようだけど・・・」
リーンリットの横で木の幹に座る黒猫族の12歳の少年グリッドも同様に眉を潜めていた。
「そんな、冗談でしょ・・・デルミア様は準魔王クラスに認定される世界でも10人といない存在ですよ・・・並みのSランク冒険者では、手も足もでないほどに強いはずなのに、それに、攻撃を当ててる仮面男っていったい何者なんでしょうか・・・」
木の幹にもたれ掛かりながら、若干青ざめた表情を浮かべる緑髪のおっとりとした女性、リリアンの言葉に一同に沈黙した。
それもそのはず、もし、べリアルが突入してきた時やデルミアをわざとらしく挑発していた時に攻撃していたら、間違いなく一瞬で殺されていただろう。一同はその事に、気づき安堵すると同時にとんでもない化け物に目をつけられたと思うと生きた心地がしなかった。
とはいえ、流石にデルミアが負けるとは誰一人思っていないが、それでも相手は最低でも準魔王クラスである可能性が高いのだ。油断は出来ない相手だろう。
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「ハハハ。いいねぇ。君面白いねぇ。」
先ほどから毒の海の中心に立ち赤い深紅の翼をはためなせながら、口を開けベリアルを飲み込まんと迫り来る毒竜を戦闘機のアクロバット飛行のように身体を旋回して、回避しながら、左手を触媒に創り出した宝具〝苦悩の釘〟構え機関銃のように赤い釘を高速で撃ち続ける。
殺到する赤い釘は豪雨のように押し寄せる。
「ふっ」
デルミアが左手をかざすと、紫色の半円状の膜が現れ、赤い釘は膜に触れるとジュッと音をたてて消失してしまった。
「その攻撃はもう喰らわな―――」
膜を解除すると視界からベリアルが消えていた。
「後ろがガラ空きだよ。」
後ろに転移したベリアルは振り返ろうとするデルミアの顔面に右の拳をを叩きつける。
ドォォォォン―――
ベルアルの拳を喰らったデルミア上半身粉々に吹き飛び衝撃波で後ろの毒の海が二つに割れ、地面が扇状の抉れる。
「駄目か・・・」
上半身を粉々に吹き飛ばしたにも関わらず、下半身部分から半個体状毒が吹き出し上半身を形成し再生する。
「やはり、同化体には効果がないか」
足元の毒の海から浮上した無数の巨大な手が、ベリアルに向かって殺到するも、ベリアルは瞬間移動で上空で退避し、デルミアを見下ろす。
(さて、どうしたものかな。リーシェには、啖呵をきってしまったが正直勝ち筋が見えないねぇ・・・)
正直なところ、ベリアルの攻撃はデルミアにはどれも今ひとつ効果はなく、当たりはするものの、決定打に欠けていた。
しかしそれは、デルミアも似たような考えだった。
(ふーむ、私の攻撃をまさか全て交わしてしまうとはねぇ。あの転移魔術厄介だねぇ・・・360度囲んでも回避されるし、予想出来ない奇襲で何発か貰っちゃったしねぇ。)
お互い決定打に欠ける一進一退の攻防状態であった。
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