役割
私用で投稿が遅れました。すみません。
明後日も私用があるので、かわりに、明日に投稿します。
今回のお話は、短めです。
「その、作戦というのを聞かせて。」
「至ってシンプルさ、私が君を抱えて、敵の本拠地である東地区の住宅街にある屋敷付近で降ろす。その後は、私が敵の注意を引き囮役をやる。君はその間に、屋敷へ潜入し、リアス救出する。これが作戦だよ。」
しかし、リーシェは、べリアルのこの作戦には疑問があった。
「そんなことしなくても、べリアルの転移魔術で直接屋敷内部に飛んで、救出して、転移でこの寮に戻ってくれば良いと思うんだけど。」
そう、転移魔術があれば、誰にもばれずに屋敷に侵入し、リアスを救出できる筈だからだ。
「残念だがそれは不可能だよ。」
「なんで?」
「私の転移魔術は一度訪れた場所にしか使えない。」
「じゃあ、クレイスフィア聖教国にいきなり転移出来たのって―――」
「あらかじめ、視察をしておいたからだよ。誰も来ない国外の森林でかつ、君にも倒せるような雑魚が多い場所としてね。」
「じゃ、じゃあ、それなら、一緒に行って救出すれば―――」
「それも無理だ。」
「どうして?」
「調べた限り、敵の本拠地にはAランククラスの構成員が最低でも8人いる。」
「Aランクが8人!?」
リーシェの知っている範囲の知識では、Aランククラスと言えば、国軍の一個大隊に相当する戦力を持つ人達のことだ。
「大丈夫なの・・・それ・・・」
べリアルが強いのはリーシェも知っている。模擬戦授業で、40人程のD~Bランククラスの生徒を全員、一方的ボコボコにできるぐらいには強いと言うことを。リーシェが思うに、べリアルの実力は最低でもAランク上位だと思っている。
それでも、Aランククラス8人が相手となると流石に少し心配になる。
「それだけなら、良かったのだがね・・・Sランククラスの最高幹部も一人確認されていてね・・・」
「え?」
思わず聞き返した聞き返してしまった。
「マジですか・・・」
「まず間違いないだろうね。あれは、十三使徒の一人、第九使徒の〝毒海〟のデルミア・リーラ・クラストリアスという女性だが、二つ名のとおり、毒魔術の使い手で、ありとあらゆる毒物を生成、分離、合成を可能にし、そのかずは数万種類にも及ぶそうでね。組織の内での彼女は、暗殺、洗脳、拷問、薬品製造、人体実験など、かなり色々な分野に関わっているようだ。」
「それは・・・流石に無理なんじゃ・・・」
リーシェの表情がみるみる曇り、絶望的になる。
「心配いないよ。それでも、負けるつもりはないからね。」
「でも、相手は、一国家戦力に相当する存在なんだよ!!!」
べリアルがいくら強いとは単身で大国を滅ぼすほどの存在が相手では、流石に勝てないのではと思うのだが。
「私を誰だと思っているのかね。」
「ッ!?」
リーシェを見下ろしながら、背筋が寒くなるような声で呟告げる。
「邪悪と狂気を司る原初の堕天使のなのだよ。次元を超越した上位存在である私達にとっては、この世界でいかに強かろうと、所詮はこの次元の最強でしかない人間ごときに負けるとでも?君は、私を舐めすぎではないかね。」
「う、うん・・・ごめん・・・」
思わず謝ってしまった。
いや、そもそも精々ゴブリンぐらいしか倒せないようなリーシェが心配するようなことではなかったのだ。
べリアルの強さは、戦わなくても分かるほどに圧倒的で、召喚したときは、世界最強の魔王種ですらも容易く殺せるのではないかと思うにほどに、圧倒的な存在感を持っていたのだ。
普段は、威圧や魔力を抑えているだけなのだ。
そんなべリアルが負けないと言うのなら、彼に任せるしかないだろう。
「しかし、戦闘では君を守りながらでは戦いにくい。それに、効率も悪い。敵襲に気づかれ、移動される可能性がある。だからこそ、私が囮として敵を引き付け、君がその間に潜入しリアスを救出する作戦なのだ。」
「分かったよ。でも、私、潜入なんてしたことないんだけど・・・それに、建物の中にも敵がいるでしょう。見つかって、私も捕まる流れが目に見えるんだけど。」
「それは大丈夫だとも。私が君にも透明化の魔術を付与するそれで、リアスを探すんだよ。」
「待って、そんな魔術があるんなら、べリアルが透明化すれば―――」
「いや、魔力で感知される、特に〝毒海〟のデルミアには恐らく通じないからね。」
「そっか・・・そうなんだ。」
「他に何かあるかね?」
「ううん。行こう―――」
リーシェは拳を握り締め、べリアルを力強く見据えて答えた。
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