殲滅-③
遅れてすみません。
ちょっと、体調崩していました。
時間が間に合わなかったので、二人のしか登場させられなかった・・・
「いいねいいねぇ。当たりじゃねぇか。」
市街地にある時計塔から、メインストリートを走る二台の荷馬車を見下ろしながら、ルースは、獲物を見つけた肉食獣のような笑みを浮かべ、立ち上がり、左手袖を捲った手首から肘にかけて大小様々な髑髏が隙間なく、まるで模様のように360度腕を覆っていた。
「来い。〝告死天来〟」
ルースの言葉に反応し、どす黒い霧のようなものを放ちながら、腕の髑髏たちがカタカタ、ガチガチと音を立てながら、まるで生きているかのように、腕中を這いまわっていた。
ルースが左手をかざすと、どす黒い霧が手の中に集まり、剣の形を形成していく、細い柄に幅広の濁った赤黒いく先端が扇状に広がり丸くなった刀身にはほぼ隙間なく無数の目がついていて、それぞれの目が変則的にまばたきする気味の悪い〝処刑大剣〟を掴んで肩に担ぎ、足に力を込めて時計塔から銃弾のように勢い良く飛び上がる。
「この大通りを抜ければ、港には直に着きやす。今しばらくの辛抱でございやす。」
御者の黒いローブを着た男は荷馬車の中にいる赤いローブに無地の白い仮面を被った年齢不詳の男に向かって、直に着くことを知らせる。
「このペースだと、あと、5分もすれば―――」
「いや、時間は未定だ。来るぞ・・・」
「え?それはどういう―――」
ドゴォォォォォォッッッッ―――
先頭を走っていた荷馬車の10mほど手前に、何かが物凄い勢いで落下し、地面が揺れるような轟音と衝撃が石畳みを砕き、石片が宙を舞い、もうもうと土煙を上げていた。
「うわぁッッ―――な、なんだ!?」
御者の男は大慌てで手網を引き荷馬車を止めた。
「敵襲だ。総員戦闘準備をしろ。ただし、万が一に備え、馬車を動かす1~2人は中に残れ。」
仮面の男が、素早く御者に指示を出した。
「りょ、了解しやした。総員戦闘準備!!ただし、御者は中に残れ!!!アルス様の命令だッ!!」
「「「「おぉぉッッ——」」」」
先頭の荷馬車の御者が、後ろの荷馬車にも聞こえるように大声で叫ぶと、待ってましたと言わんばかりに、剣や槍で武装した黒いローブの男が15人と手を引かれて無理矢理連れ出された黒いローブの子供が2人が表に出た。
「揃ってんじゃねーか。」
ルースは処刑大剣片手で一振りすると、ゴォォッッという風圧を放ち土煙を霧散させた。
「何んだお前・・・」
「学園の犬か。」
「痛い目にあいたくなけりゃどきな。」
「うるさいぞ!!!お前ら。」
いやらしい笑みを浮かべながらルースを見下ろす黒いローブの男達とは対称に、アルスの声色は少し強張っていた。
そして、ルースの姿を視認したアルスは、目を見開き、顔がみるみるうちに真っ青になる。
「今すぐ馬車を出せ!!俺たちで時間を稼ぐ、少しでも遠くに逃げろ!!!」
アルスは振り返り、荷馬車のに御者に、血相を変えて逃げるように、指示を大声で飛ばした。
「え?え?」
「「「「え?」」」」
御者も黒いローブの男達も最高幹部であるアルスがなぜ突然御者に逃げるように、指示を出した理由が分からずに間抜けな声を上げる。
「どうした、早く行け!!」
「えっえ?なんで逃げる必要が―――」
「いいから、さっさと逃げろって言ってんだろうがぁぁッッッ!!!俺に三度も同じ事を言わす気かッ!!これは命令だッ!!」
「わ、分かりやした。」
なかなか行動に移らない御者を怒鳴りつけると、御者の男は渋々といった感じで馬に鞭を打ち、荷馬車を方向転換させてその場から遠ざかって行く。
「へぇ。わかってんじゃねーか。」
ルースはアルスにとっさの対応に思わず目を見張った。
このアルスと言うの男は俺と相対した瞬間に自分を含めてここにいる誰一人も勝てる見込みないと瞬時に相手の力量を見極め、戦っても100%殺されると知りながらそれでも、ブツを守る為に、荷馬車を逃がし、ここにいる全員で命懸けの時間稼ぎをするつもりだと。
「ちょ、ちょっと、アルス様、どういうつもりなんですかい?」
「そうですぜ。なんで、こんなガキ一人なんかに・・・」
「お前ら・・・それ、本気で言ってるのか・・・」
「え、だって、相手はガキ一人ですし、こっちは15人にアルス様がいるんですぜ。負ける要素はないと思うですが・・・」
「あれはガキなんかじゃねーよ・・・いや、人間ですらねぇ。あれは———」
アルスの目には、赤黒いボロボロの布切れみたいなローブを羽織り、身体は、大量の頭蓋骨が寄り集まって人の形を形成していて、頭蓋骨と頭蓋骨の隙間からは黒い影のような何かが見えて、身体は中にある無数の血走った目がこちらを見据えながら不規則にまばたきを繰り返している、巨大な異形の存在がルースの背中から見えているのである。
「死、そのものだ・・・」
「あぁ。お前、こいつが見えてるみてーだな。」
「お前は期待できそうだなぁ。」
ニヤッと狂気じみた表情を浮かべる。
「さぁて。まずは、お前らが俺に挑む権利があるかどうかの簡単なチェックから始めようかぁ。耐えてみせろ。」
そうルースが呟くと、肩に担いだ処刑大剣を持ち上げて、左手の横凪ぎを放つ。
「よけ———」
体を動かそうとした瞬間、視界から色が消え失せ、モノクロの世界が広がり、その場にいた全員が瞬時に知覚してしまったのだ、自分自身の死を。
異形の化け物に正面からゴツゴツとした頭蓋骨が寄り集まっている手で首を絞められている。
しかし、身体は金縛りのように動かず、目ぐらい動かせない、声がする。この世の全て怨嗟を凝縮したかのようなあらゆる人達の声が頭の中に反響し、気が狂いそうになるも、アルスは戦闘前にこっそり自分にかけておいた、精神強化魔術のお陰で何とか耐えていた。
(く・・・そ・・・こんな・・・ことで・・・)
体に力を籠めるも動かない。首を絞める力が更に強くなる。
(がッ・・・ぐッ・・・このぉぉぉッッッ———)
負けじと更に力を籠めると、指が僅かに動いた。
そのままじわじわと腕を持ち上げる。
(がぁぁぁッッッ———)
そして、頭蓋骨の腕を両手で掴み、力を籠めると、バキッと音がして砕けた。
それと同時に、異形の化け物は消え、世界に色が戻り、体が軽くなって思わず膝を着いた。
「はぁ———はぁ———」
全身に大量の汗が流れ、顔から地面に滴れ落ちる。
「ハハハ。やっぱり俺の見込み通り、お前は耐えてくれたみてーだな。」
ルースは心底楽しそうに笑った。
「そりゃ、どうも。」
アルスは肩で息をしながら周りを見ると、部下の15人は全員白目を剥いて、口を開けて事切れていた。
「耐えられたのは、お前と、ガキだけみてーだな。」
「なんだと・・・」
後ろを振り返ると、二人の黒いローブを羽織っていた女の子が二人地面に座り込んでいて、お姉ちゃんなのだろうが14歳ぐらいの女の子が10歳ぐらいの女の子を抱き締めて、ルースの姿を見ながら、ガタガタと体を震わせていた。
「まぁいい、ガキどもは放って置いて、本番と行こうじゃねーかよ。」
ルースは処刑大剣を構えた。
「はぁ。5分ぐらいなら頑張ってもたせられっかな・・・」
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「くそ、逃げろったって何処にいきゃいいんだよ。」
大通りを走り抜けながら、先頭の荷馬車の御者の男は悪態をついた。
「そうだ。他の奴の所に行こう。そうすればどうにかなりそうだ。」
とりあえず、他のグループの所に潜り込もうと考えた御者は、住宅街に向かって荷馬車を走らせた。
(よし、この角を曲がったら———)
住宅街の入口に付近に差し掛かったとき、突然、地面にから5mほどの灰色の金属の壁が現れた。
「な、くそッッ!!」
いきなり現れた金属の壁に荷馬車の操作がおいつず、激突し、荷馬車は横転し、御者は地面に投げ出された。
「うわっ。なんなんだよくそ。」
後ろから追従していた荷馬車のは前の荷馬車が事故したことで、向きを変えて戻ろうとしたが、もと来た道にも地面にから5mほどの灰色の金属の壁が現れた。
「嘘だろッッッ!!!」
2台目の荷馬車もそのまま壁に激突し、横転した。
「いや~。まさか移動中に、出くわすとは思わなかったよ~。」
民家の屋根の上から、2台のひっくり返った2台の荷馬車を見下ろすピンク色のエアリーショートヘアの女子生徒は、〝金属皇帝〟の二つ名を持つ、魔戦学園序列七位のアイが小さく呟いた。
「まぁ、でも。荷馬車が横転してるし、行方不明者が安否確認しなきゃね。」
屋根から飛び下りて、地面に降り立った。
「くそ・・・なんなだ。」
「痛てーな。」
「あぁ。やっぱり、御者は死んでなかったのね。」
そう呟き指を鳴らすと、地面から灰色の金属が刺のようなものが現れ、御者二人の胸部を貫いた。
「がふッッッ———」
「ぎえッッッ———」
「これでよ~し。」
アイは軽い口調で御者二人が絶命したのを確認して、荷台を調べ始めた。
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可能な限り返したいと思います
明後日はこの続きから書きます。




