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無能と呼ばれた少女は最狂の堕天使を召喚しました。  作者: アズライト
第2章 島内誘拐事件
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殲滅―②

なんか十二将の方が悪役みたいになってしまった。

学園島の海岸沿いの上空に全長10mを越える全身炎に覆われた神鳥フェニックスが空を飛んでいた。

そして、その背中には、5人の男女がいた。


「ミナト、私はこの辺で降ります。目標はあの屋敷ですから。」


眼下に見える住宅街の中にある、ひときは大きな屋敷を見据えながら、ルクシリアはフェニックスの背中を飛び下りやすい位置に移動し始めた。


「オッケー。いってらっしゃ~い。」


胡座かいて座るミナトは首だけをルクシリアに向けて手をヒラヒラと振りながら、送り出す。


「ふん。さっさと終わらしてこい。お前であれば3分もあれば充分だろう。」


(ルクシリアさん、いってらっしゃい。怪我に気をつけて。)


両手をポケットに突っ込んで風を感じながら、レストは内心では、ルクシリアの無事を心配をしていたが、表には出さずに目線だけ動かして呟く。


「健闘を祈っておりますぞ。ルクシリア殿。」


座り込むミナトの左横で、白いラインの入った黒いローブを着て丸眼鏡を掛けた緑髪の男子生徒で〝焼熱融解(バーン・メルト)〟の二つ名を持つ魔戦学園序列十一位のグラン・サラドは眼鏡をクイッと上げて、ルクシリアに声を掛ける。


「ルクシリアセンパイ、頑張ってくださいっす。」


胡座をかいて座っていたリオは、振り返ってルクシリアに敬礼をした。

なぜこの面子なのかと言うと、じゃんけんの結果である。


「ええ。それじゃ、行ってきます。」


首だけを傾けて、小さく笑ってを見せるとフェニックスから体を投げ出し、風を全身で受けながら、重力に任せて落下しながら、制服の内ポケットから小瓶を取りだし、栓を外して中の銀色の液体を空中にばらまいた。


「銀なる神水よ、我が身に集い、翼と成せ。」


ルクシリアが呪文を詠唱すると、空中にまかれた水銀が背中に集まり、銀色の巨大な翼を形成し、バサッと大きな音を立てて羽ばたくと、ルクシリアの身体は空中で停止した。


「さてと・・・さっさと終わらせましょう。」


右手を屋敷にかざし、呪文を詠唱する。


「集え、銀の神水よ、我が敵を散らせ、〝銀拡散弾(シルバー・クラスター)〟」


右手に集まり30cm程の大きさになった水銀の球体が屋敷に向かって飛翔し、上空2、30mほどの所で炸裂し、数千にも及ぶ銀色の雨が降り注ぎ、屋敷の見張りや門番等の外に出ていた黒いローブの人が8人ほどが声を上げる間もなく身体を穿ち、融解させ、絶命した。そして、1秒ほど遅れて、手榴弾ほどの爆発が屋敷の敷地内の至る所で発生した。


「さて、これで、外は終わりですね。」


土煙がもうもうと上がる屋敷の玄関前の庭にルクシリアは降り立った。


「うーん。結構加減したつもりでしたが、魔力の込めようが多かったみたいですね・・・」


まるで爆撃でもされたかのような穴ぼこだらけの庭を眺めながら、ルクシリアは少しやり過ぎてしまったことを反省した。


「まぁでも、建物への被害は殆どないようですし、とりあえずは大丈夫でしょう。」


玄関の扉を指先に造りだした水銀を散弾銃の弾のように拡散させ、扉を木っ端微塵に吹き飛ばした。


「くそ、一体なに―――がぁッッ!?」


「てめぇ。何も―――ぐげぇッッ!?」


「ま、待て―――ぎぃぃッッ!?」


エントランス集まっていた黒いローブの人達はルクシリアの翼から数百本の針が伸び、全員が一瞬で絶命した。


「まぁ、こんなものですね。さて、行方不明の方を探しましょうか。」


*******************************


「さて、俺も行ってくるとしよう。」


(俺も行ってくるね。直ぐに戻ってくるからね。)


尊大に呟き、身体に雷を纏う。


「ほいほい。了解。」


「健闘を祈りますぞ。」


「レストセンパイ。頑張っれっす。」


ミナトの言葉を振り返らずに聞き流しながら、答える。


「ふん。俺を誰だと思っている。」


(はい。行ってきます。みんなもがんばってね!!)


心の中で皆の言葉に答えると、雷となってフェニックスの上から消えた。


「さーて、後は。詰め込むだけで、仕事は終わりっと。」


「この後どうするよ?」


「飲みにでも行くか。」


港にある倉庫の一角で台車に乗せた檻を移動させながら、二人の男が談笑していると。


ズドォォォンと雷が間近に落ちたような大きな音がした。


「な、なんだ!?」


「雷?雨は降ってないはずだが・・・」


男二人が顔を見合わせていると、別の男が倉庫の入口に向かって走りながら、「敵襲!!総員配置につけ!!」と叫んでいるのが聞こえ、剣を抜いて外にでると、そこには、全身から電撃を放ちながら不敵に笑う青髪の少年を20人ほで取り囲んでいた。


「ふむ。落ちてみれば敵のど真ん中か。」


(うわぁ。いきなり囲まれたよ。もう少し離れた所に落ちるべきだったかな。)


「なんだ貴様!!」


「学園島の犬か!!!」


「ここが何処だかわかってんだろうなぁ?」


黒いローブの男達は、武器を構えながらレストを問い詰める。


「ふん。貴様らのような、人攫い語ることなどない。大人しく誘拐した奴等を引き渡せ。これは警告だ。」


(俺もなるべくなら、戦いたくないからね。穏便に済まそうよ。ね?)


戦わずに済む方法をレストは提示する。


「なに寝ぼけたこと言ってんだ!!この、くそガキが!!!」


「どういう仕掛けを使って現れたのか知らねーが。そんなこけ脅しに騙されるかよ!!」


「かかれッッ!!!」


どうやら受け入れられなかったようであった。

男達は剣を構えてレストに斬りかかる。


「全く・・・愚かな奴等だな。警告はしたぞ。」


(あ~。駄目ですか。しょうがないかな。)


体に纏っていた電撃がバチッッとけたたましい音を立てて円状に広がり、男達を全員吹き飛ばされ、高圧電流をもろに喰らったために全員が気絶していた。


「精々、牢獄で自分の行いを悔やむんだな。」


(やっぱり殺すのはねぇ。然るべき組織に引き渡して、然るべき、裁きを受けるべきでしょう?)


彼は他の十二将とは違い、戦闘を好むタイプではなく、どちらかと言うと、平和主義的思想の持ち主であった。


「さて後は、中だな。」


右手をかざして電撃を飛ばすと、金属の重厚な扉は、白い光を放ちながら、ドロドロに溶けた。


*******************************


「それじゃあ、自分も、始めるっすよ。」


住宅街にある一軒の家の前に降り立った。

リオが両手を広げると、左手には風、右手には氷が発生し、剣の形へと変わった。


「よーし。レッツゴーっす。」


入り口の扉を蹴り壊して、堂々と侵入者した。

突然扉を蹴り壊して入ってきたリオにテーブルに座っていた4人の男達が、驚いて立ち上がった。


「なんだ貴様いっ―――」


「一体なんなん―――」


「うわぁ。なん―――」


「くそぉ。どうやっ―――」


「はい。待たないっすよ。」


四人の男達が立ち上がって、武器を構えようとするのを待たずに、右手に持った氷の剣を振るうと、放射状に目の前にある物が全て、一瞬にして凍りついた。


「一階は特に何も無さそうっすね~。」


一階にある小部屋とキッチンを覗いて、誰もないことを確認して、二階に上がろうとした時。


「おい。どうした。何があった?!」


バタバタと音がして二階から新たに、3人が降りてきた。


「足音は4つ、つまり・・・この3人は殺しても問題ないっすね。」


今度は左手の透明な風の剣を振るうと、無数の半円の斬撃が飛び、新たに現れた3人をズタズタに引き裂いた。


「さてと、後は残った1人に全部聞けばいいっすよね。」


人を殺したとは思えない無邪気な笑みを浮かべ2回への階段を登り始めた。


*******************************


「では、僕の方も始めますぞ。」


眼鏡をクイッと上げながら、門番の男二人を見据える。


「なんだお前?!」


「どうやってここに来た!!」


門番の男達がガン無視して、呪文の詠唱を始める。


「収束せよ、汝は光の刃、敵を焼き尽くす者よ、〝陽光熱線(ソーラー・レイ)〟」


門番の男達の頭上から、直径10mの極太の熱線が降り注ぎ、門番の男達と一緒に鉄の門と石垣ごと一瞬の内に焼失し、灰となった。


「ん~。門破るにはオーバーではあったが、良い威力実験になりましたぞ。」


魔術の威力に、感激していた。


「さて。他にも色々試して、みたいでありますなぁ。」


グランが指を鳴らすとルービックキューブほどの大きさの球体が虚空から現れ、細い熱線を放ち、玄関の扉を焼失させた。


「ん~ん。よい威力ですぞ。」


グランは建物の中に入ると、両方の指を鳴らした。


「さぁ。実験の時間ですぞ。」


グランの周りには数十個の光の球体が現れ、一斉に熱線を放つ。


「ぎゃぁぁぁぁッッッ―――」


「いやぁぁぁぁッッッ―――」


「た、助け―――」


「死にたくな―――」


屋敷の中は逃げ惑う黒いローブの人達と焼けた人の臭いが充満し、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。


「うん。これは、完璧ですぞ。」


20人の余りの死体が煙を発している中で、グランは自分の開発した魔術の威力に酔いしれていた。


*******************************


「さーて、リーシェちゃんに傷を付けた組織は、生かしておかない。皆殺しだよ。」


凄まじい殺気を放つミナトに、倉庫の入口で黒いローブ着た30人の男達と最高幹部である赤いローブの女性は足がすくんで動かなかった。


「来たれ、霊界より来たりしもの、世の理を越え、精霊の巫女たる我が願い奉る、彼の者を憤怒の業火にて焼き払え、来たれ、大火の精霊―――イフリート!!!」


2本も炎の柱が上がり、獰猛な獣のような顔に羊のような巻き角を持ち、凶悪そうな五本の爪を両手両足に持つ全身が炎の塊の全長10m以上はありそうな巨大な精霊が2体現れた。


「う、嘘だろ・・・」


「上位精霊を2体同時召喚なんて・・・」


「あり得ない・・・」


「こんなの、勝てる訳ありませんわ・・・」


最高幹部の女性はそう言って杖を落とし、その場に座り込んだ。

その姿を見た部下たちは、皆一斉に武器を捨てその場から逃げ出した。


「生かさないって、言ったよね―――蹂躙せよ、イフリート。」


「「Gaaaaaaaaaaa―――」」


2体のイフリートは雄叫びを上げて、逃げ惑う黒いローブの人達を踏み砕き、燃やし、握り潰し、瞬く間に蹂躙していった。


「あぁ・・・あぁ・・・」


その光景をこの世の終わりのような絶望に染まった表情で涙を流しながら、眺めていた。


「これが、君たちの喧嘩を売った相手だよ。」


赤いローブの女性を見下ろしながら、冷たい瞳で呟く。


「私たちの学園に喧嘩を売った君達の全てを破壊する。組織も関係者も全てだよ。」


鏖殺を終えたイフリート2体がミナトの後ろに立ち、赤いローブの女性を見下ろしていた。


「覚悟しろよ。」


イフリートが口を開いた。


その光景をぼんやりと眺めながら、私達〝黒薔薇(ブラック・ローズ)〟は、触れてはならない、竜の逆鱗に触れてしまったのだと、どうしようもない後悔に苛まれながら、赤いローブ女性の意識は炎に包まれた。




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