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15話に17話を統合しました。
多少加筆しています。
「で、引き受けたんだね。」
アルティ、 ルクシリア、ミナト、アールがリーシェの部屋に集まっていた。
クラスメイトの失踪の件と固有魔術のことで何か知っていることがあれば教えて貰おうとわざわざ部屋に集まってもらったのである。
「そうだね。なんか、放って置けなかったから・・・」
「ところで、べリアルはどうしたの?見当たんないけど。」
いつもリーシェと一緒にいるはずの召喚獣であるべリアルの姿が見当たらず、ミナトはリーシェに尋ねた。
「ああ、うん。何か独自で調べることがあるみたいで、今はいないよ。」
「そっか。なんかべリアルなら色々知ってそうだと思ったけど、いないならしょうがない、今度聞いてみようかな。」
「だったら。本人が戻ってきたら、伝えておくね。」
「分かった。よろしくね。」
「はい・・・それで、何か知っていることがあれば教えてもらえませんか?」
「私は特にないかな。回復魔術科のマリーさんが行方不明になっていたこと、リーシェが話してくれるまで知らなかったからね。」
アルティは心当たりが無いようで首を横に振る。
「そっか。回復魔術科の生徒まで行方不明なんだね。」
ミナトは口元を押さえ、何か考え込むような仕草をしながら呟いた。
「ミナトちゃん、何か知ってるの?」
「うーん。実はね。2、3日前から、学園内で生徒が次々に行方不明になってるんだよね。」
「ええ。今回のマリーさんの件と合わせれば8件目です。」
「そんなに・・・あったんですか・・・」
「うん。流石におかしい。だから、私たち十二将が独自で調べてる。ところ。」
どうやら、行方不明なのはマリーだけではなくにも何人もいるようだった。
「しかも、行方不明になっているのは、魔戦学園の生徒だけに留まらず、武戦学園や法政学園、島民に島内店舗従業員、更には教員にまで及んでいてさ。」
「うん。少なくとも島内で30人以上。行方不明になっている。」
「そうなんですね・・・」
どうやら事は、リーシェが思っていたよりかなり深刻なようだった。
「ええ。そして、今回の一連の行方不明者は何らかの目的により誘拐された可能性が非常に高いとして、私たち十二将は行方不明者の探索と救助、並びに犯人の確保及び島内における関連組織の制圧を学園より指示を受けて騎士団と共同で、絶賛調査中と言う訳です。」
「本当はねぇ。大きな騒ぎになる可能性があるから、一般生徒には公表しないように言われてたんだけど。」
「うん。でも。リーシェは生徒から依頼されている。だから。事情を知っている。無関係じゃない。」
「それに、リーシェさんとアルティはみんなに言いふらしたりはしないでしょうからね。」
「ありがとうございます。」
「ありがとう。お姉さま。」
リーシェは自分が信用されているようでとても嬉しかった。
「っと言っても、私たちもまだこれといってめぼしい情報は得られてないんだよね。」
「そうなの?」
「ええ。行方不明になった人達は皆、性別も学科も学年も学園も違うし、失踪のしたであろう時間もバラバラで、これと言った共通点がないんですよね・・・」
「だよね。信仰する宗教もバラバラだし、種族もバラバラだしね。」
「どこから調べればいいのやらと言うかんじだね。」
「つまり、現状は捜査は難航している。ということですね。」
どうも現状では手詰まりの様でリーシェ部屋に静寂訪れていた。
「そうだ。話は変わりますけど、アールさんに聞きたいことがあるんですが・・・」
「ん?なに?」
アールは耳をピンッとさせて、リーシェをみる。
「その・・・アールさんはこの学園島内でも数少ない固有魔術の持ち主と聞いたんだですが、そうなんですか?」
「うん。そうだけど。それがどうしたの?」
「実は、昨日神殿で職業適正診断と魔術適正診断をしに行ったんですけど。」
「へぇ。適正診断行ってきたんだ。でも入学時に、一度したはずだけど気になってもう一度調べてもらったとか。」
「いえ。私は特待生扱いで入学したので、受けてなかったんです。なので一度自分の適正を知ろうとべリアルに進められて、受けてみたんです。」
「それでどうだったのですか?」
「職業は武道家と出ました。」
「「「え?」」」
ミナト、アール、ルクシリアは3人ともリーシェの予想外の職業に見事にハモった。
「リーシェちゃんが武道家って、またどうしてそんな職業が・・・」
「それは私にもよくわからなくて。」
「主に肉弾戦主体とする職業ですよね。リーシェさんは喧嘩すらしたことがないと聞きましたが・・・」
「はい。なので、相当に戸惑いました。」
「以外。リーシェの見た目からは考えられない職業。」
やはり3人もリーシェの職業には意外性があって驚いた様子だった。
「問題は魔術適正診断の結果が、判別不能になったことなんでです。」
「「「なッ!?」」」
3人とも顔に驚愕の色が広がった。
「エラーとかじゃないの?」
「私もそう思ったんだけど、魔術が一切使えないんですよね。」
「なら。もう確定みたいなもの。つまり。リーシェは固有魔術持ちだと言うことになる。」
「はい。アールさんに聞きたいのはどうやって自分の固有魔術が使えるようになったか教えて欲しいんです。」
「残念だけど、私には教えられない。」
「どうして・・・ですか・・・」
「固有魔術は、人によって違うからどう使えるようになるかわからない。だから。どういう能力でどのタイミングで自分がそれに気づくかは。わからない。」
「そうなんですね・・・」
「うん。こればかりは。自分で見つけるしかない。」
「はい・・・」
「でも。1つだけアドバイス。その力を求める時が来たら、それをきっかけに覚醒する可能性はある。」
「分かりました。覚えておきます。」
結局、なんの手がかりもないまま自分で何とかする以外に道はないらしい。
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「はぁぁぁぁぁぁッッッ―――」
リーシェのガントレットを装備した右拳がゴブリンの顔面にめり込む。
「ガグッ―――」
短い断末魔を残して、頭部が弾け飛び、脳漿と血肉撒き散らして地面に落下し数秒ピクピクと痙攣したあと絶命した。
「おぇぇぇぇぇ―――」
近くにあった木を支えにして嘔吐した。
「ごほ・・・ごほ・・・おぇぇぇ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
早朝の訓練であったため、空っぽの胃からは胃液しかでなかった。
「今日も一匹のようだね。」
リーシェから少し離れた所にある大木にもたれ掛かって手を組んで、少し呆れたような口調でリーシェを見る。
「もう、3日目だが未だに慣れないかね?」
初めてゴブリンを殺してから、もう3日目の鍛練を迎えている。
「はぁ・・・はぁ・・・ごめん・・・私は、この感覚に慣れそうにないよ・・・」
先程ゴブリンを頭部を破壊した右手のガントレット眺めると、ガントレットはゴブリンの血肉でベットリと汚れていた。
「うぷッッ―――うぇぇぇぇ―――」
それを見て本日3度目の嘔吐してしまった。
最早、吐き出すモノがなく胃液には若干の血が混じっていた。
思い出してしまうのだ。右手に残る、肉を擦り潰すような感覚に、骨のゴリッゴリッというジワジワと砕くような籠るような音に、熟れ落ちて潰れた赤い果実のように飛び散る肉が、血が、眼球が、脳漿が、歯が、舌が、見えたのは僅か一瞬でもリーシェの脳内にこびりついて離れない。
そして、ゴブリンだった顔の原形を留めていない死骸を見て思うのだ。
襲われたので仕方なかったとはいえ、自分達と同じ人形の生き物をこの手で殺してしまったことに、罪悪感を抱いているのだ。
(ふむ、素質はあるのだが・・・如何せん、甘すぎるねぇ。)
べリアルは顎に手を置き何か対策を考えていた。
と、言うのもリーシェに全くの素質がなければそれでよかったのだが―――
(何も教わっていないはずだが、魔力制御を無意識に行っているんだよねぇ・・・)
初日にゴブリンと戦った際は、人生初の死闘でなんの訓練もしていない非力な筈のリーシェはゴブリンの攻撃を弾き返し、あまつさえパンチ一発で頭部を潰して殺して見せた。リーシェにはガントレットの効果だと説明した。確かにリーシェに渡したガントレットはべリアルが別世界から持ち込んだ、古代兵器クラスの物で、この世界においても凄まじい効果を持つ代物だが、このガントレットは魔力なしでは全く使えないただの金属の塊なのだ。しかもこのガントレット、重さが何と片手で500kgあり、両手で1tにもなる代物なので、そもそも人間用に設計されていない。
かといって、他に殴り合いに使えそうな装備他になく仕方なし渡してみたのだが、受け取れずその場に落とすと思っていたのに、何事もなく受け取って手袋でも嵌めるように普通に装備してしまった。
これにはべリアルも少なからず驚かされた。
そして魔力制御だが、この世界では魔力を必要とする武器や防具やアイテムなどを満足に使えるようになるには最低でも1年は修行してその装備に適した魔力制御が可能になるのだ。
彼女はそれを無意識に行っているのだ。
(魔力制御関しては、間違いなく才能がある。それに、あの重さのガントレットを何の気なしに装備できたのは、未だに不明なリーシェの固有魔術が関係していそうだねぇ。)
いくら魔力があったとしても筋力強化魔術を使えないリーシェが超重量級のガントレットを装備できるとは思えない。
なら、可能性があるとすれば固有魔術しかないだろう。
(間違いなく強くなれるの才能はあるのだが―――)
リーシェをチラッとみると木にもたれ掛かり、ゼーゼーと言っているリーシェを見て、頭を抱える。
(あの感じだと、殺す以前に殴ることすら罪悪感あるようだし、血や死臭や死体への耐性が無さすぎる。)
事実、リーシェは戦闘中終始引け腰で、殴ると言うより押し当てるというような感じるであった。
魔物を殺すのに抵抗を覚えて、躊躇してしまうのは、新米冒険者の一番最初の難関だ。しかし、これに関しては慣れしかないのだ。生き物を殺すという感覚に。
(さて、どうするかな―――)
今後の対策を考えながら、リーシェの元へ行き手を差し伸べる。
「今朝はこの辺にしようかね。」
「うん・・・」
まだ若干息を整えながらべリアルの差し出された手を掴んだ。
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「やっぱりダメだぁ~。」
放課後のカフェの屋外席にリーシェ、アルティ、ミナト、ルクシリア、アールは6人で席を囲んで行方不明者の情報交換をしていたが、ミナトがお手上げとばかりに手をあげてから頭の後で手を組んだ。
「そうですね・・・この3日色々な生徒や先生やお店の人に聞き込みをしてみたり―――」
「行方不明になった生徒や教員の最後に確認された場所。入念に見て回った。」
「追跡魔術も痕跡魔術には何も反応しないようですし。」
この3日間騎士団や十二将達が必死に捜査しているにも関わらず、なんの手掛かりも見つかっていないのである。
「まぁ。これだけ探してなんの手掛かりもないとなると、相手は間違いなく誘拐することに特化した集団だということは間違いないだろうね。」
実のところべリアルは相手のおおよその目星はついているのだが、相手が行動を起こすのを待っているため、まだリーシェ達には内密にしておくつもりでいた。
「でも、それが分かったからってどうにもならないし。」
「「「「「はぁ~」」」」」
べリアル以外の全員が頭を抱えてため息をついた。
「にしても、なんの目的でこんなことしたんだろうね。」
「まぁ、たしかにそうですね。身代金とかが目当ての誘拐ではないでしょうね。」
「行方不明の生徒や教員達は国籍も種族も宗教も身分も性別も学年も年齢もばらばらですからね。」
「それに。Aランク冒険者相当の実力を持つ生徒や教員まで誘拐されてる。実行犯グループ。かなりの実力者揃いになる。それこそSランク冒険者クラス。ヤバイ奴が居ると思う。」
「そ、そんなヤバイと集団あるんですか?アールさん。」
Aランク冒険者相当の生徒や教員を無抵抗で誘拐できる程の圧倒的強さの個人はともかく集団は知らないリーシェはアールに質問する。
「あるよ、いくつか。〝真なる神〟の最高幹部にして最大戦力の十三使徒とか、スルグネア煌国の煌国七剣豪、靈帝国の八武神衆とか、カルディニア帝国の特殊作戦魔導隊とか―――」
「どれも参考にならないと思うよアール。十三使徒はともかく、他のは全部国家戦力じゃん。国だったらこの学園に喧嘩売るようなことしないだろう。」
「十三使徒もないと思いますね。第一使徒〝天界〟のマクウェル以外おおよその能力は判明していますし、何より、真なる神の武力の象徴とも言える替えのきかない十三使徒を使ってまで魔王と十二将に喧嘩を売るとメリットがありません。それに、十三使徒の半分近くは学園長に殺されるでしょうしね。」
「やるとしたら、何処だろう・・・」
皆で、あーでもない、こーでもないと話し合ったが結局は何もわからず仕舞いでもう一度各自で調査を行うと言うことになりこの日は解散した。
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可能な限り返そうと思います。




