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無能と呼ばれた少女は最狂の堕天使を召喚しました。  作者: アズライト
第2章 島内誘拐事件
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初戦闘と依頼

多少加筆修正をしました。

「朝だよ。起きなさい。」


「うひっ―――」


リーシェはべリアルの背筋がゾクッとするような低い声で右耳元で囁かれ思わず変な声が出て、バネ仕掛けの人形のように飛び起き、ベッドの上で枕元に立つべリアルから右耳を両手で押さえながら顔を僅かに赤くしながら距離を取る。


「べ、べリアル!?普通に起こしてくれる?!くすぐったいし、背筋がゾクッとするからやめてよ。」


べリアルの顔を若干涙目で睨みながら、抗議する。


「起きたね。さぁ、行こうか。」


リーシェの抗議を受け流して、右肩に手を置くと、着ていたピンクのネグリジェが一瞬で制服に変化した。


「え?え?・・・なに、なんでいきなり制服に・・・って言うか行くって何処に―――」


いきなり起こされ、いきなり着替えさせらて、リーシェは訳が分からずに目を白黒させるもお構いなしに、指を鳴らすと寮の部屋から景色が一変して、突然、視界を森が覆い尽くした。


「え、え。ホントになんなの?ここはどこ?」


先程まで部屋にいたはずなのに、なんの説明もなしにいきなり森になかに連れてこられリーシェは辺りをキョロキョロする。


「ここは、四大帝国の1つクレイスフィア聖教国の東部にあるケケルス領のミリヤ大森林だよ。」


「あっ、そうなんだ。詳しい説明ありがとう・・・じゃなくて、どうしてこんなとこに連れてきたの?!」


「忘れたのかね。今日から魔物を殺すための鍛練をすると言っただろう。」


「え?そんなこと言っ―――」


言ったけ。と言いかけて、昨日神殿で適正診断した帰り道にべリアルがそんな話をしていたのを思い出した。


「てたね・・・でも、だからといってなんの説明もなしに連れ出すのはやめてよね・・・」


「言っただろう。無理にでも連れていくと。」


「いや、言ってたけども・・・せめて何処へ行くかぐらいどこか言ってくれてもよかったでしょ。日が上りきらない内にたたき起こされて、こんな遠くの国にまで連れてきて・・・ホントに非常識だよ。」


そう言ってリーシェは大きなため息をついた。


「君は嫌がると思ったからね。それに、クレイスフィア聖教国は今、ゴブリンが大量発生しているらしくてね。」


「ゴブリンが?」


「そう、ゴブリンだよ。Fランクの魔物だからね。練習にはちょうど良いと思うんだよ。」


「いやいや。そんないきなり魔物なんて―――」


ガサッと草を掻き分けるような音がして、リーシェは恐る恐る茂みの方を見て身構えた。


「な、なにかいる・・・」


「お出ましのようだねぇ。」


そう言うのとほぼ同時に、草を掻き分けて、一匹のゴブリンが腰布を巻き、左手には木製の棍棒を持って現れた。


「あれがゴブリン・・・」


リーシェは、初めて見るゴブリンの姿に息を呑んだ。

背は低く、全身緑色の不健康そうな体に、尖った耳に鋭い目をしていた。


「グガァ。グゲゲゲゲ」


ゴブリンはリーシェを見つけるやいなや、口元を醜く歪めて涎を垂らしながら棍棒を振り上げて、襲いかかってきた。


「ひぃ―――」


リーシェは棍棒を振り上げ、下卑た笑みを浮かべてこちらに走ってくるゴブリンに恐怖で体が足がすくみ、目を瞑って頭を守るように覆った。


「まだ、話している途中なのだよ―――」


そう言うと向かってきたゴブリンの腹をローキックが炸裂する。


「グゲェェァァ」


ローキックを喰らったゴブリンは5mほど飛んで木に叩きつけられて地面に倒れ込んだ。


「た、倒したの?」


顔の周りを覆っていた手をおろして蹴り飛ばされたゴブリンの方を見た。


「あぁ、あれは死んだよ。だが、次期に次が来るよ。」


うつ伏せで倒れて動かなくなったゴブリンよそに、背後茂みが揺れて今度は刀身が反り返った剣を装備したゴブリンが姿を表した。


「さて。ここからは、リーシェ、君が戦うんだ。」


「いやいや、無理無理無理無理、無理だって。」


首と手を残像が見えそうなほどに左右に振りながら拒否する。


「さっきの見たでしょ。私あの攻撃ですら怖くて何もできなかったのに、戦えるわけないでしょう!?」


涙目になりながら両肩を掴みガクガクと震わせながら左右にフルフルとゆるく首を振る。


「それに相手武器持ってるのに私、丸腰なんだよ!?こんなので、戦えるわけないでしょう。」


「私とて流石になんの武装もなしに戦わせるつもりはない。それを使ってみるといい。」


そう言うとべリアルは懐から、細身のガントレットを取り出してリーシェに差し出した。


「こ、これを着けて戦えと?」


べリアルから普通に受け取ったガントレットを見て呟く。

青をベースに表面の左右端と指が黄金で覆われ、手の平には赤い複雑な模様と見たことない文字で構成された魔方陣が刻印施されていた。


「おや。何ともないのかね?」


「え、何が?」


「いや、何ともないのなら、それでいい。しかし、迷っている時間はないよ。」


そう言われて、ゴブリンを見ると突撃しようと構えていた。


「で、でも―――」


「次は止めないよ。」


べリアルはリーシェから5mほど距離を取った。


「―――ッ」


リーシェは悲痛な面持ちでべリアルを見る。


「戦うしかないよ。相手は待ってはくれないからね。」


ゴブリンを方を見ると、剣を振り上げて突撃を開始した。


(―――ッ!?迷っている場合じゃない。殺らなきゃ殺られる。)


そう覚悟を決めたリーシェはガントレットを両手にはめた。

ガントレットはまるで肌に吸い付くようにピッタリとフィットして、もはや自分の手その物の様であった。

2回ほど握り感触を確かめる。


(凄い!?これ、まるで違和感がない、まるで自分の手みたいだ。)


飛び上がったゴブリンの剣がリーシェに迫る。


「はあッ―――」


ぜんぜん腰が入っていないへっぴり腰右ストレートパンチを繰り出し、剣と衝突しガキンッッと金属同士がぶつかり合うような音と共に、二人とも弾かれ後ろへ下がる。


「グギギギ。グガァァァァ」


さっきまで怯えていた女に防がれたことで歯ぎしりをしながら剣構え飛び上がる。


「ふッ―――」


体勢を戻したリーシェは先程まで同様にへなちょこ右ストレートで迎え撃ち再び弾かれる。


「くぅぅぅッッ」


弾かれて後ろに下がりそうになる身体をよじって、前に踏み込みゴブリンの顔面めがけて左拳を全力で放つ。


「はあぁぁぁぁぁぁッッッ―――」


「グギャ!?」


弾かれたはずの無理な姿勢からの放たれた左拳にゴブリンは驚愕した。しかし、未だに弾かれて空中にいる状態のゴブリンにはリーシェの拳は対処不可能であった。

そのまま吸い込まれるようにリーシェの拳がゴブリンの顔面に刺さりそのまま体重を乗せて、地面に叩きつけた。


「グバァ―――」


一瞬ゴブリンの断末魔の様なものが上がり、その直後左手に肉質な物と硬質な物が潰れるような感触がして、ゴブリンの頭部はドパァと音をたてて破裂した。


「うぅ・・・おぇぇぇぇぇぇ―――」


ゴブリンの頭部が潰れる瞬間を見たグロ耐性皆無なリーシェは、途端にその場で膝を付いて吐いてしまった。


「ふむ。人生初の戦闘にしてはよくやったねぇ。」


リーシェに近づき肩にてを回し立ち上がる。


「うん。うぷッ。でも、勝てたよべリアル。私、初めてで勝ったよ!!」


まだ少し青い顔で、べリアルに精一杯の笑顔を作る。


「そうだねぇ。少し休憩しようか。」


後ろにあった大木にリーシェを降ろし休ませる。


「はぁ、はぁ。ところでなんでゴブリンの頭が破裂したの?」


「それはそのガントレットの影響だよ。通常なら君の筋力では潰せないさ。それどころか、剣を弾くことすら出来ないだろう。しかし、そのガントレットは装備者の魔力で攻撃力が変化するのだよ。恐らく君は無意識に魔力をガントレットに込めていたんだろうね。」


「そっかそうなんだ・・・」


右手のガントレットをかざしてみると、朝日の光が反射して金色に輝いていた。


「ふぅ~。でもこれで今日は―――」


三ヶ所からガサガサと草を掻き分け今度は3体のゴブリンが姿を現した。


「「「グゲァ。グ、ゲゲゲゲ―――」」」


「・・・・・」


倒したと思ったら、いきなり現れた3体のゴブリンにリーシェは無表情で固まった。


「まだいたようだね。さて、続きといこうか。」


「え?嘘でしょ?」


べリアルの言葉に驚愕とした表情でリーシェは見つめた。


「何をいってるのかね。()()()()()()とは言ったけど、終わりとは言ってないからね。」


その言葉に絶望を感じ真っ青になる。


「今日の目標は5体だ頑張りたまへ。」


そう言ってべリアルは再びリーシェから距離を取った。


「もぉ~!!勘弁してよぉぉぉぉぉッッ―――」


リーシェの悲痛な叫びが朝の大森林にこだますのだった。


*******************************


(いてて。はぁ、朝から酷い目に遭った。)


腰をさすりながら教室の机に突っ伏していた。

結局あの後、ゴブリン三体を相手にするも返り討ちにあい、べリアルが3体を処理し、今日の戦果は1体だけであった。

ガントレットはべリアルに返そうとしたが、「君が持っていたまえ、先で何があるか分からないからねぇ。」と言われてた。現在ガントレットは金の縁取りに青いラインの入った指輪に変形して、両手の人差し指に収まっている。


(放課後もこれやるのかな。嫌になるなぁ~。)


放課後も同じ事をすると考えるとリーシェはとても憂鬱な気持ちで一杯であった。


(ええと、後の授業は―――)


「リーシェさん、ちょっといいですか?」


残りの授業時間を数えようとして、誰かに声を掛けられ顔をあげるた。


「少し時間を貰ってもいいですか?」


その声の主は、黒髪にボブヘアにエメラルド色の瞳をしたまるめがねを掛けた、女生徒でクラスメイトのミリー・ロルメルであった。


「ミリーさん。私に何か用かな?」


ミリーはリーシェの手を突然掴んだ。


「ミ、ミリーさん?突然どうしたの?」


なんだか酷く顔色が悪く見えた。


「ミリーさん。大丈―――」


「あまり時間は掛けないから、少し着いてきて欲しいんですけど。」


「う、うん。分かったよ。」


何か切羽詰まったような感じだったのでとりあえず話だけでも聞こうと思い手を引かれるがまま着いていった。


「それで。話ってなんなの?」


階段近くの踊り場で壁を背に話を聞いた。


「実は・・・リーシェさんに探して欲しい人がいるんです。」


「ひ、人?」


「はい。」


人を探して欲しいというのはちょっと予想外であった。


「えーと・・・因みになんて人なの?」


「回復魔術科のマリー・アメリアと言う生徒なんです。先日から行方不明になったんです。」


「なりほど、行方不明者探しってことだね。でも、なんで私に相談したの?先生とかじゃなくて・・・」


クラスメイトという以外、接点がなにもないから自分が抜擢されたことを素直に気になったのだ。


「先生には既に報告しました。それとリーシェは選んだ理由は、空間魔術が使える強力な召喚獣を保有しているからと十二将の3人に顔がきくみたいなので、個別にお願いしにきました。」


「なろほど、そういうことなんですね。」


「はい・・・マリーは私の親友なんです。お礼は必ずしますので、どうか助けてください。」


そう言うとミリーはリーシェに深々と頭を下げた。


「頭を上げて、マリーさん。私たちで良ければ協力するよ。」


「~~ッ。ありがとうございます。」


「うわッ―――」


喜び余ったミリーに抱きつかれた。


「あっ、ごめんなさい・・・」


ハッと我に帰ったミリーはリーシェから離れた。


「ううん。気にしないで、それにお礼なんていいから。」


「でも、それでは・・・」


「クラスメイトなんだから、こまったときはお互い助けあおうよ。」


「リーシェさん・・・本当にありがとうございます!!」


「はうッ―――」


本日二度目のハグをリーシェにしてしまうのだった。



作品の感想・意見などあれば気軽にコメントしてくださるとありがたいです。

可能な限り返そうと思います。

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