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無能と呼ばれた少女は最狂の堕天使を召喚しました。  作者: アズライト
第1章 全ての始まり
12/43

血界姫

「それは・・・べリアル様と勝負して私の強さを示せと言うことですか?」


確認するようにべリアルの仮面を見つめる。


「そうだよ。先も説明したように、私と同等の存在がこの世界にいる。リーシェをこの学園に置いておく以上、そう遠くない未来に奴らと戦うことになるだろう。そうなった時に、この世界で個人の最高戦力である魔王の力がどれほど通じるか確認しておきたいんだよ。」


「そう言うことでしたら、戦いましょう。べリアル様の言う奴らの強さは私には分かりませんから、べリアル様に通じるか否かを判断してもらう必要がありますしね。」


セルジアはそう言うとソファーから立ち上がり、べリアルの方を見た。


「そうか。では、行こうかね。」


そう言うと右手を差し出した。


「何処にでしょうか?」


セルジアは差し出された手を取った。


「我々の戦闘に適した場所だよ。」


そう言うと、左の指を鳴らした。

執務室の景色が一転して、目の前には見渡す限りの雑草と岩の赤い荒野が広がっていた。


「これは・・・空間移動・・・空間魔術の類いですね。」


セルジアは一瞬で変わった景色に少し戸惑いキョロキョロするも、べリアルが何をしたかを直ぐに察して冷静に問いかける。


「そうだよ。空間系魔術は私の得意とする分野だからね。この場所はカルディニア帝国とルドニク王国の境目に位置する中立の土地だよ。名前は―――」


「グランドルク荒原です。」


べリアルの言葉を遮り、セルジアは小さく呟いた。


「ここは、神代の時代から度々戦場になっています。私も・・・何度か参加しました。」


荒野を見つめるセルジアの酷く寂しげで悲しげな複雑な表情で地平線を眺めていた。


「この荒野で数多くの血が流れました。3000年前・・・ここは色とりどりの花が咲き誇る花畑でした。」


懐かしい物を見るような瞳で地面を見下ろした。


「しかし、戦場になり花畑は僅か一日で血と炎の海になりました。その後も繰り返された戦争によって流された血が大地を染め、赤い不毛の大地になりました。」


「ふむ。で、だからと言ってここでは嫌とは言わないだろう?」


たいして興味なさそうにセルジアに問いかける。


「あなたも人が悪いですね・・・ええ、問題ありませんよ。ここなら何処の国も介入しませんからね。」


それを聞いたべリアルは不敵に笑った。


「フフフ。そうでなくては、面白くありませんからねぇ。」


べリアルは首を左右にゴキゴキと鳴らす。


「では。始めましょうか。」


セルジアは羽織っていた赤い外套と軍服のような上着を脱ぎ捨て、白いブラウス姿になり、履いていた厚底ブーツも脱ぎ捨てて裸足になった。


「何処から良いですよ。」


セルジアは目を瞑り両手を広げて構えた。


「ふむ。では、行かせて貰おうかねぇ―――」


べリアルは残像を残して、瞬間移動と言えるような速さでセルジアに接近して、顔を掴もうと右手を伸ばした。


「〝血界開放〟」


そう短く呟くと、着ていた衣類の全てが血となって飛び散り、眼前に迫っていたべリアルの右腕に付着した瞬間、破裂するかのように粉々に吹き飛んだ。


「むッ―――」


伸ばした右腕が上腕二等筋辺りまで吹き飛んだのを見て、突撃をやめ、空中でを身を引きバックステップを踏むために地面に足を着けようとすると、セルジアの足元から赤い液体が湧き出して異様なスピードで広がって来るのを見て、赤い翼を展開し後方に急上昇し、上空100mのところで静止した。


「早速、一撃貰ってしまったねぇ。」


そう言いながらも、腕は映像を逆再生するかのように復元されていって、5秒もせずに終わり2回ほど開いたり閉じたりする。


「しかし、これは凄まじいねぇ。」


上空から荒野を見下ろすと、そこに最早大地はなく、生えていた雑草もつきだした岩も全てが跡形もなく、辺り一面が血の海とかしていた。

その広さは広大でセルジアを中心に半径20kmほどもあった。


「自分の一定範囲に存在する物質全てを血に変えたか。」


セルジア・リベルタス。七大魔王の一人で第三魔王である彼女の二つ名は〝血界姫(けっかいき)〟と呼ばれ、血を操る固有魔術(ユニーク・マジック)を極めし者である。


「しかし、血界姫とはよく言ったものだ。」


血の海の中心に立つセルジアの裸身に足元の血が蛇のように絡み付き真っ赤な顔以外の全身を覆ったゴツゴツしたドレスアーマーに形を変えた。


「血に覆われた世界の姫か・・・なるほど地上から見ればその通りだねぇ。」


目を開き、血で出来た鎧を身に纏ったセルジアが右手をかざすと、血の海から10mはありそうな球体が12個ほど宙に浮き上がり粘土のように形を変形させると、全長100mほどの柄は細く、幅の広い刀身に先端が扇状に広がる斬馬刀思わせるような巨大な大剣が12本が完成し、空に浮かぶべリアルの目掛けて一斉に飛来する。


「ふむ・・・あまりよろしくないねぇ・・・」


真っ直ぐに飛来する一本目を体を左に捻って回避すると直後2本目の右の横凪ぎを繰り出す大剣を体を右に捻り側宙で回避、3本目と4本目は連続で左右から挟み込むように迫る大剣を上昇し回避、5、6、7、本目が上側3方向をから迫る上段の切りを隙間を縫うように回避する。


「私も出し惜しみをしている場合ではなさうそうだねぇ。」


12本の大剣がそれぞれ自立した動きで迫る中、べリアルは左手首を掴むと左腕を思いきり引き千切った。


「第四宝具―――〝釘の苦痛を(ネイル・ペイン)〟起動」


べリアルはがそう呟くと、引き千切った左腕はグチュグチュ嫌な音をせながらが変形し、赤い瓢箪を伸ばしたような本体部に反り返ったガード部分に刃の付いた、ネイルガンに姿を変えた。

べリアルが迫り来る大剣にネイルガンを向けると本体側面からまるで重機関銃の弾帯弾倉を思わせるような連結した真っ赤な釘が10mほど現れた。


「さぁ。これはどうかな。」


大剣に向けてトリガーを引くと、バスッ、バスッ、バスッ―――とガスを抜くような音がすると、放たれた釘は赤い光となり高速で飛来した複数の大剣の腹に命中するとドパァン―――といういうはじけるような音がして大剣が刃が弾けた。


「ふむ、効くようだね。」


飛来する大剣に次々と撃ち込み破壊していく。

しかし、血の大剣は直ぐに復元を始める。


「一瞬あれば充分だ。」


大剣ラッシュが収まったほんの僅かな時間で今度はセルジアにネイルガンの赤い釘を打ち込む。

機銃掃射のようなブ―――といういう音をたてて、セルジアに目掛けて雨の如く飛来する。


「・・・・」


セルジアは黙って、左手を掲げると血の海全体が波打ち、大量の剣が出現し飛来する釘を相殺すべく一斉に飛び出して行った。

血の剣と赤い釘がぶつかり合い、ドパン、ドパン、ドパン、ドパン―――破裂音が乱立する。

たまに自分の方に飛んで来る釘をセルジアはドーム状のバリアを展開して防ぎ、べリアルは大剣と飛来する剣を弾幕ゲームの自機が如く隙間を縫うように回避しながらセルジアに打ち込んでいくが体の至るところには切り傷で負っていた。


「やはり、火力不足か。・・・撃ち合っていても拉致が開かないしねぇ。」


迫り来る剣を撃ち落とし、大剣を回避しながらセルジアに向かって高速降下し始めた。


「ならば直接攻撃を加える他ないね。」


そう呟くと、べリアルの姿が上空から掻き消えた。


「なッ?!」


僅かに目を見開いて消えたべリアルの姿を探した。


「何処を見ているのかね。」


後ろから声がして、振り返ろうとした瞬間。

バス、バス、バス―――とネイルガンから3発の釘が放たれ、セルジアの右の脇腹、左の胸部、右顔面をドレスアーマーごとそれぞれすり抜けてしまった。


「この距離で効かないとは―――」


すぐさま空中で距離を取るためにバックステップを踏もうとするが、振り返ったセルジアが右手を顔の高さにまで上げて拳を握ると、べリアルの体の内側から赤い刺のようなものが相当数突きだした。


「ぐっふ―――」


べリアルはくぐもった声で、仮面の口の部分から血が滴る。


(体内の血を炸裂させたのか・・・)


体勢を崩したべリアルは、瞬間移動で距離を取った。


(どうも、攻めきれないな。)


べリアルは薄々気づいていた。弱体化した今の自分では魔王はクラスは倒せないと。


「だとしても、やることは1つだねぇ。」


再びネイルガンを構えて瞬間移動を行う。

が、像が一瞬ぶれただけで瞬間移動はできなかった。


「なに!?」


べリアルが呆気にとられていると。

セルジアが右手を掲げたべリアルに向けて下ろすと同時に、12本の剣が一斉に弾けて、数万本の剣となりべリアルに降り注いだ。


「なるほど・・・これは素晴らしいねぇ。」


見上げて何故か少し嬉しそうに呟いた。数万本の剣の雨が降り注ぎべリアルの身体を切り裂き、貫き、切断し、バラバラのぐちゃぐちゃになって、千切れた首だけが転がり、セルジアの前静止した。


「最後のは、私が対象者の血液を取り込むことで魔力の使用を制限いたしました。」


足元に転がってきたべリアルの生首に対して答え合わせをする


「いやはや、さすがだねぇ。私の負けだよ。奴らの相手でもそこそこやれそうだねぇ。」


べリアルが敗けを宣言すると、セルジアのドレスアーマーは元の軍服のような服になり、血の海は赤い粒子となって消滅し、元の赤い荒野になった。


「そう言われると、頑張った甲斐があったというものですね。」


セルジアの顔はとても満足そうであった。


「さて、戻ろうかね。」


再生を完了したべリアルは、来たときと同じようにセルジアに手を差し伸べる。


「はい。久しぶりに力を使ったので少し疲れましたが、楽しかったですよ。」


「あぁ、それには私も同意見だね。」


セルジアがべリアルの手をとると、来たときと同じように指を鳴らし空間転移で学園長の執務室に戻った。


作品の感想・意見などあれば気軽にコメントしてくださるとありがたいです。

可能な限り返そうと思います。

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