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SF少し不思議な異世界ファンタジー  作者: 有栖
ボイッシュ村の天災
17/28

14 力任せの一撃

 見つかったのなら仕方がない。真正面から正々堂々と戦おう。


 なんてことは、ありえない。


 ケイロン・カルマの力は甚大、強大だが、小回りは効かない。

 大振りの攻撃は背中を見せれば致命傷となり、安直な反撃は死を招くだろう。

 無駄死にはしたくない。ならば、最高の反撃の機会を待つのみ―――。




 木を障害物に身を隠し、ケイロン・カルマの攻撃を躱しながらセシリアの詠唱は始まった。

「コード、五式結界―――呪縛五芒星。木は土、土は水、水は火、火は金に、巡り巡りて廻り克つ――――」






 セシリアが懐から取り出した5枚の木符がそれぞれ輝き出すのを、カノンは離れた位置から視認していた。

 木々が薙ぎ倒され、森の破壊は止まらない。

 ケイロン・カルマは攻勢を強め、手当たり次第に破壊する。

 だが、上手く術式がハマればそんな相手の動きをも止められる。セシリアはそういった。

 止めることができたのならば、動きに不規則性が増したケイロン・カルマのコアを正確に捉えられる。それまでは息を殺して身を潜めなくては。


ただし、戦木符の準備を万端にして。


「集中、集中、集中……」


 視線だけをセシリアに向けて、意識のほとんどは手のひらへと注ぐ。

 目視はできないが、昨日よりも遥かに効率良く『集める』ことができている。もしや『巫女の木』が安定したのでは、そんな思考が脳裏をよぎった。


 『波』の特徴である『放出』をする必要はない。『集めた』このアルマで、思う存分、全力の拳をぶちかませばいい。


 ―――うん。いつでもいける。

 

確かな手応えに手を確認すると、目に見えるほどの白く丸いアルマの塊がカノンの右手を包んでいた。





「―――――祖は遥か彼方に眠る星々、大いなる星の下、汝の殻を大地に閉ざす!」


 詠唱が終わり、セシリアが木々のない空間へと走り込む。

 持っていた5枚の木符を空高く投げ飛ばすと、5枚の木符は星の記号を型どるように、正確な五芒星を描き―――広がった。木々よりも高い位置へ、木符で作られた五芒星が空に止まる。

 

 獲物であるセシリアに引き寄せられ、ケイロン・カルマが木々の羅列から釣られ飛びだした。

 

「そこですわっ!」


 掛け声とともに白い杖を差し向ける。

それに呼応するように、上空に描かれた五芒星は大地へ急速落下した。

五芒星の頂点である5枚の木符がそれぞれ距離を縮め、五芒星の中心である正五角形を狭く、小さくさせていく。



「成っ……功っ! もう逃しませんわよ……!!!」


 

そこへ閉じ込められたケイロン・カルマの動きが止まり、痙攣するような動作を起こすのみとなった。


「拘束は……! 長く持って……30秒ですわっ! カノンッ!!」


 名前で呼ばれるのも悪くないかも。そんな思いで声を返した。



「了解! サクラダ流奥義―――!」



 必要かはわからない。けれど『掛け声』で増す力もあるのだろう。

 事実、高揚感に全身の力がみなぎっていた。


 一歩飛び、距離を縮める。

 二歩飛び、さらに縮める。

 そして三歩、アルマによる身体強化を含めて、空高く跳躍する。



 ケイロン・カルマのコアは頭部にある。馬の体に人の胴体、拘束をしていても地上2メートル以上の高さを誇る。地上から普通に殴るだけでは、高さの位置として力が大きく届かない。

 

 ならば、さらに上から。

 木々よりも高く。

 落下の速度を力に変えて。

 カノンはコアへと最高の一打をぶちかます。



「――――脳、天! 殺しッ!!!!!」



 右の手刀がコアをめがけて振り下ろされた。


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