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SF少し不思議な異世界ファンタジー  作者: 有栖
ボイッシュ村の天災
16/28

13 鬼ごっこ

 木を隠れ蓑に、隠れて潜む。


 いろいろと聞きたいことが山ほどあるが何はともあれひとつ聞かねば、


「……あんなことできるなら先に言ってよ。あれもう一度、直接あてれば勝てるんじゃないの?」


 結界によってケイロン・カルマの大槍が消し飛んだことに言及した。


「あれはカルマの浄化をした際に起こる結界の副作用ですわ。二度目はありませんし、あの副作用を本体に当てるなんて、いまのわたくしたちには到底不可能ですわ。それよりも、ほら! はやく準備なさい!」

「……なにを?」

「あーもうっ!」


 自らの腕を叩いてなにかを意図するセシリアに首をかしげる。


「木符ですわ木符! 戦木符っ! いま隠れているうちにさっさと装備してしまいなさいな! もう赤い霧はほぼ消えかかっていますし、木符の発動は可能ですわ!」


 言われて、改めて辺りを見渡す。確かに、赤い霧は点々とした箇所にしか残っていなかった。

 言われたとおりに戦木符を腕のライブラへと嵌め込む。

 これで、あとは『集める』コードを持ったこの戦木符を用いてアルマを集め、その塊を直接あてればいいらしい。


「昨日みたいに撃つんじゃなくて集めたまま当てればいいんだよね? ……セシリア?」


 反応がない隣人に顔を向けると、下を向きながら笑っていた。


「………ふ、ふふふ。やりました。やり遂げましたわ。わたくしにかかれば初めての大一番でもこの最良の結果。これはもう天才と呼ぶしかないのでは? そう、わたくしは天才……! ふふふ……! 天才っ……! 無敵っ! 最っ高ぉ―――むごぅっ!?」

「ちょちょちょ声うるさいって……! バレたらどうす―――」


 セシリアの口を塞ぎ息を潜めようとしたところ、潜む大木の真横へと大槍が天から降ってきた。

 槍は大地に突き刺さり、刺さった地面には幾何学的な紋様が赤い色で描かれる。直後―――――爆発した。


「ぎゃー!」

「きゃー!」


 森に入ってから爆風にばかりあっている気がする! もうこんな村嫌だ! さっさと静かな村を返しやがれ!! と逆上しそうになるのを必死でこらえつつも、言いたいことは言わねばなるまい。


「ほらー! 見つかったじゃん! 何バカみたいに大声あげてんのさっ!」

「な、馬鹿ですって!? わたくしは天才ですわ!! そもそも見つかることは承知の上ですっ!」

「そういう負け惜しみいいから!」

「負け惜しみなどではありま―――」

「―――うわ、また出た!」


 逃げるために広い空間へと躍り出たのが判断ミスか、そこには待ち構えるようにケイロン・カルマが立っていた。


「どうすんのよこれ」

「……これは危機ではありません。好機ですわ! お見せしましょう、わたくしが天才である所以を!」


 ええー。ほんとにぃ?


 命の危機だというのに、緊張感が抜けていた。当然、良い事ではないのであった。


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