8 カルマ・コアの誕生
ボイッシュ村、数ヶ月前のこと。
村の大人たちによって取り決められた『禁断の森』。その奥地に、村人すら知らない『巫女の木』が人知れず生っていた。
『木』と名称がつくものの、白い幹に白い枝を持つそれは、植物の木としての機能性を持つことはない。巫女の木の枝葉からはアルマが溢れ、それは次第に濃度を増した。
濃度を超えたアルマはカルマとなって、周囲の生物、植物の成長を過剰なまでに加速させていく。そうして出来上がった土地には腐敗臭が立ち込めるようになった。
ある日、巫女の木には実がなった。
赤と黒が入り乱れた禍々しくもある色どり、そしてその実は木から落ちた。
斜面を転がるように見えた木の実は、時折、意思を持つように動きを止める。そして下に転がるのではなく横道にずれ、カルマの濁る方向へと進んでいく。
濁りが満ちる場所に木の実は止まった。
赤と黒の色どりだった木の実は、辺りのカルマをさらに吸収していく。
すると次第に角張りはじめ、ついには水晶のような形となった。
赤黒い水晶からは既にアルマは放出されず、カルマと呼ばれる『毒素』を撒き散らしながら、さらにその形状をかえていく。
水晶体は同じ形を模したものを複製し、次第にそれは身体のような骨格を作る。
馬の足、そして、人の体。
おとぎ話で語られるような幻獣を型どり、ケイロン・カルマとなっていた。




