第28話 兄と妹のそうだんごと
四月末、俺は今だに『天使の歌声』に頭を悩まされている。
考え込んだ末に、もうどうでもいいやーとなれば楽なのだが、あの歌声に関してはそうはいかないようだ。
本当にいい歌声だ。 あんな歌声は聞いたことがないっ!
そして俺は、歌声に恋をした。
歌っている姿を想像し、浮かれていた。
だが、妄想をすればするほど、歌声をきけばきくほどわからなくなる。
俺は何に恋をしているのか?
歌声に恋をしたのか。 または、妄想から生まれた少女に恋をしてしまったのか……。
それとも、誰かが歌っていることに期待をして、恋をしてしまったのか。
「んー、恋ってなんなんだ」
きっと今なら哲学者になれるだろう。
真相を求めても、直前で躊躇してしまう。
そんなことを繰り返しながら、正体を突き止める為に、俺は行動をし続けてきた。
「情けない……」
それももう、終わりにしよう。
曖昧なまま行動に移し続けても、いざ正体が判明した時に、好きだという気持ちを伝えることができない思うからだ。
考え込んだ末に、俺だがした結論。
"それは、アイツに問い詰めてみることだ!"
「お前は天使だよな? って、俺が勝手に呼んでるだけだし、そんな風にきいてもな……」
何かいい案でもないものか。
そんな俺の悩みも気にせず、俺の部屋に来客が訪れる。
「おにぃ、ちょっといい?」
「あぁ、構わないよ」
「あのさ、私の友達の話なんだけどね」
「やらせ感半端ない心霊番組みたいな出だしだな」
「真面目な話なの! それで、その子に気になっている人がいて、だけど肝心な時になると何も言えなくなっちゃうんだって。 そんな時おにぃだったら、友達にどうアドバイスする?」
「そうだな俺だったら、一度冷静になってみろと言うだろう。 きっと何か不安になることがあるから、何も言えなくなるんだ」
「怖いってこと?」
「そう聞こえるかもしれないけど、怖いって感じでもないんだよ。何かがつっかえるような感覚さ 」
「つっかえる?」
「ああ、ここでこれを言ったら、いけないんだろうという感覚になったことはあるだろう。 その言ってはいけないという感覚こそが、何かがつっかえるような感覚になるのさ」
「おにぃは、どうしてるの?」
「どうもしない。 そこでおしまいにしてるよ」
そう、逃げているということさ。
「え……」
「でもな、黙っていちゃ何も始まらない。 伝えなければ、相手は知ることもない。 相手を知りたければ聞け。 相手に知ってもらいたければ伝えろ、そう伝えてほしい。 俺はいつも、それができなくて後悔をしているからな」
「おにぃは、なんで後悔し続けるの」
「行動をした先に何が待ってるのか分からないからな。 その先に行こうとしても、足が止まる。 望んだ未来が待ってるとは限らないからな」
「どうせ後悔するなら、行動をして後悔をした方がいいんじゃないの?」
「関係性が壊れると思うと、とても行動には移せない」
「じゃあおにぃは、そのままの関係でいいの? それ以上の関係になりたいんじゃないの?」
「それは…………なれるものなら、なってみたい……と思う」
「思うじゃないでしょ? そうしたいんだよね」
「まぁ、そうだが……って加奈、なんで俺が説教くらってるんだ?」
「あ、ごめん。 なんか、つい熱くなっちゃって……てへへ」
「まぁ、その友人には後悔するなと伝えておいてくれ」
「うん。 相談にのってくれて、ありがとね。 おにぃも頑張って」
相談を終え、スッキリした顔する加奈。
何かを思い出したかのように、ふと振り返る。
「おにぃ? 少し前にあったはずの歌唱大会のチケットなんだけど、おにぃも見に行くの?」
そんなものもあったなぁ。
差出人不明の謎の封筒に入っていた、歌唱大会のチケット。
正直、誰がなんの目的でポストに投函したのかも分からない。
「まぁ、考え中だな」
「それなら一緒に行こうよ」
「予定さえ入らなければ、問題ないかな」
「妹とのデートだよ? ちゃんと空けておいてね」
「まぁ、覚えておくさ」
長い間更新ができなくて、すいませんでした。
とりあえず、生きてます!!
さて、『のにのが。』の最新話はいかがだったでしょうか?
皆さんのコメントをお待ちしておりますm(__)m




