第03話 幼なじみは料理が上手い
「ただいま…」
父親も母親も海外にいるため、俺は妹と二人暮らしだ。
なつめの母親が保護者の代わりとして、俺たちの面倒を見ていてくれたりもする。
ラノベ主人公らしい状況だが、妹は部活で帰りは遅い。
俺も料理の出来はイマイチだが、妹の方が断然酷い。
まぁ、料理は黙っても毎日来るのだが…。
トントン。
「はい、どーぞ」
香ばしい匂いと共になつめが入ってくる。
「こんばんわー裕太。加奈ちゃんは帰ってる?」
「まだ、部活」
「ふーん、裕太のオカズはマズイと思ったから、私のお手料理を持ってきたんだけど食べる?」
「調味料に毒が入ってなければ…」
ングッ。
「何すんだよ、痛いだろ」
「生きてる証拠だね」
なつめの料理は確かに美味い。認めたくないが、美味い、美味すぎる。
「どうしたらこんなに上手くなるんだ?」
「私が魔法をかけてるから」
「毒入りじゃなくて、ハイテンションになる薬が入ってるのか」
なつめが急に笑顔になる。
「次は、ないからね♡」
「はい……」
「食べ終わったら、食器は水につけておいてね」
「俺が洗っとくよ」
とりあえず、空返事。
「ありがとね。 あ、加奈ちゃんの分は冷蔵庫に入れておくから、帰ってきたらチンするように言っておいてね」
「あぁ、ちゃんと伝えておくよ」
そろそろひとりになりたいな……。
「あと、加奈ちゃんのためにお風呂も入れておいてね」
「俺が入れるよ」
あ、録画とれてるかな。 残量が足りてれば……。
「……ねぇ裕太、一緒にお風呂に入る?」
ん? 俺が風呂に入るのかと、きいてきたのか?
「あぁ、入るよ」
ドタドタドタ。
「あ、そういえばさ、加奈がオムライスの作り方を……っていない?」
って帰ったのか、良かった。