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第20話 天使の歌声の正体は?


授業が始まっても、俺は今日実行する計画についてをまとめている。

天使の歌声の正体を知るべく、今まで奮闘をしてきたわけだが、全部失敗に終わっている。

歌声の主は、音楽室で昼休みに歌っているのは間違いないんだが、なかなか正体を突き止めることができない。

謎に包まれた天使の歌声を持つ少女…………絶対に可愛いに違いない!

「今日こそは天使の正体を突き止めてやる」


今日の作戦はいたって簡単だ。

歌声が聞こえたら、音楽室に強行突破して、歌声の主を突き止める。

簡単だろ?

なぜ今まで実行しなかったのかと聞かれたら、恥ずかしかっただけだと答えよう。

「緊張するなぁ」

心臓がバクバクと鼓動を打つ。

そんなことも気にせずに和馬が話しかけてくる。

「なぁ裕太、いつも気になってるんだけどさ、昼休みは何してるんだ?」

本当のことを話すと、ややこしくなりそうだし、誤魔化しておくか。

「気になってることがあるんだ。 それについて調べている」

「へぇー、裕太が調べごとねぇ。 珍しいこともあるもんだね」

「まぁな」



作戦を実行する合図は、4限終了のチャイムだ。

「そろそろ鳴ると思うんだけどなぁ」

そんなことを思っていると、チャイムが校内に鳴り響く。

キーンコーンカーンコーン。

「今日の授業はここま…………終了をする前に行くんでないっ!」

先生の声を無視して学食に向かう男子に紛れ込む。

音楽室の下にある空き教室に直行する。

待機して10分くらい経った頃、上から歌声が聞こえてくる。

「よし、向かうかっ!」

空き教室から飛び出し、階段を駆け上がり音楽室の前に向かう。


扉を開けると、窓際にいる少女が振り向く。

「「えっ?」」

音楽室で歌っている少女達を理解したとき、音楽室の扉を急に開けた少年を理解したとき、そこにいた全員が驚いたであろう。

誰もが動きを止め、お互いを見続けている。

「えっ、裕太? 何してるの」

「あ、すまん。 ここに用事があってだな」

「あの、裕太さんって誰なんですか」

俺が答える間も無く、なつめが説明をする。

「ごめんね、うちのバカが驚かしちゃって。 そこにつっ立ってるのが裕太。松崎裕太っていうバカなの」

バカバカって連呼しやがって……。

「驚かしちゃったなら、すまん。 そんなつもりはなくてだな……」

というか、あそこにいるのは同じクラスの中嶋さんじゃないか。

天使の正体が中嶋さんだったなんてな。

「んで裕太、用事ってなに?」

急にそこにいる中嶋さんの歌声が好きなんだ、なんて言えるわけがない。

だが、ついに天使の正体を突き止めたぞ!!

「その……中嶋さんに用があるんだ」

「私、松崎さんとはほぼ初対面なんですけど……」

「ほんと怖がらなくても大丈夫だよ。 裕太は、単なるバカだからね」

「そうだ、俺は単なるバカだから……ってオイなつめ、俺をバカ話呼ばわりすんなっ」

「ふふっ」

なんだこの天使のような笑みはっ!

「はいはい、それで彩音に何の用があるわけ?」

よし、ここしかチャンスはないな。

「いや……そのだな、4月の頭から俺は下の階で昼飯を食べていたわけなんだが、その時に上からキレイな歌声がきこえてきたわけだ。その歌声に俺は惚れたんだ。 だから、だな……よかったら中嶋さん…………俺と仲良くして下さいっ‼︎ 」

なつめの顔が妙に引きつり始める。

「え″……」

ああ……天使の歌声を持つ少女を突き止めた後はどうするか考えてなかった。

とりあえず仲良くして下さいと言ってみたものだが……。

「あの……すいません。 急すぎて、何がなんなのかわからないんですけれど……」

「裕太ごめん、意味不明なんだけど。 急に飛び込んできて彩音に仲良くして下さいって、アンタは何がしたいわけ?」

急に中嶋さんが割り込んでくる。

「分かりました。 その……松崎さん、よろしくお願いしますね。 あと、私は中嶋彩音っていいます」

「俺は松崎裕太っていいます 」

「知ってますよ。 いつも今井さんと怒られていますよね? 」

「いやぁ、そんなところを見られてたなんて恥ずかしいなー」

少し疑問が浮かぶ。

「なぁ、なつめは何でここにいるんだ?」

「なつめちゃんに歌の指導をおねがいしていたんです」

「なつめ、お前が歌の指導なんてできるのかよ?」

「ほんと、失礼しちゃうわね。 彩音ちゃんの指導は、音楽の先生から直接お願いされたのよ」

なつめも歌が上手いのか。 聴いてみたいもんだな。

急になつめが袖を引っ張ってくる。

「そろそろ歌の練習をしないとだから、また後でね」

「おう。 また後でな」

「松崎さん、仲良くしましょうね」

「おう」


音楽室を出てガッツポーズをする。

ついに天使の正体を突き止め、喜びを隠そうにも、笑みがこぼれてしまう。

だが、少し引っかかる点がある。

中嶋さんとは同じ中学で、なつめともよくつるんでいるのは知っていた。

俺自身はまったく話したこともなく、3年間話すこともなかったはずだ。

そういえば、和馬ともつるんでいたように見えたが、高校生になってからはふたりがいるところも見たことがない。

「ちょいと和馬に聞いてみるか」



第20話までお付き合いいただき、ありがとうございます。

ついに天使の歌声が誰なのかが分かり、物語が大きく進展しはじめましたね。

ブックマークも13個と増え、感想をいただくこともできました。

ここまで成長することができたのも皆様のおかげです。

これからも『のにのが。』の応援をよろしくお願いします。


コミティア121に夕凪すてらさん(ID : 1019657)とのサークル、苺みるふぃ〜ゆが出展することになりました。

詳細は私のツイッターを閲覧していただくよう、よろしくお願いします。

Twitter ID:@yuuswi_komaneko

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