第02話 なつめちゃんは幼なじみ(強調)
仕方がなく五限は受けることにした。
恋愛モノであるような隣の席は美人の女の子といったことはなく、隣は親友の今井 和馬の席だ。
髪は茶髪で、それ以外を紹介しようにも特徴がないから紹介できない。
茶髪なのは不良だからという訳ではなく、本人曰く「女の子にモテたい」というりゆうだそうだ。
俺とは小学生からの仲で、中学の時もよく一緒にいた。
校内で話をするなら、コイツが一番楽に話せる。
「まーたなつめちゃんとイチャついてたろ?」
「は?別にイチャついてたわけじゃねーし。 あと、なつめちゃんって呼ぶのはやめろ、ちゃん付けするような奴じゃない」
「おいおい、クラスでも人気あるんだぞ。 なんたって、柳代高校の女神様だぞ」
女神という点には触れずにおこう……。
「このクラスの男子は、ドMなのか? 」
「ドMってよりは、世話焼きな子が好きなんだよ」
「和馬、お前の理想は分からないけどよ、アイツはやめておけ。 恐ろしくて、夢にまで出てくるぞ」
「だから、最近は目元が黒くなっるのか」
「ああ、なかなか寝付けなくなってしまうぞ」
「そこ、さっきから何を話している!」
俺も和馬もビクッとなり、教師の方を向く。
「「すいませんでしたー」」
アイツのことになると、ロクなことにならない。
授業も終わり、下校時刻。
帰りはもちろん……。
「ほら、早く帰るわよ」
コイツがいる訳だ。
「だからなんで一緒に帰るんだよ。 保育園に迎えにくる親かよ」
「ほっておいたら寄り道するでしょ?」
「ちょっと遊ぶだけだろ? 」
「そのちょっとがダメなの」
「ちょっとだけだよ」
「男のちょっとだけは信用できない! はい、帰るよ」
「だから人の話をき――」
「かない!」
俺は自転車に乗って通学をしている訳だが、なつめは歩きで登校しているから、鉄の塊をおしていかないといけない。
「二人乗りはしないからな」
「私が乗って帰るから大丈夫」
「俺が大丈夫じゃないじゃん」
「じゃあ、私がコグからさ。後ろに乗って」
「なんでそうなるっ」