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第14話 幼なじみの看病へ行こう(前編)


晩飯をちゃちゃと作り上げ、なつめのお見舞いをするための準備に取り掛かる。

りんごを摩り下ろして、ハチミツを少し足す。

「ネギも買っておけばよかったなー」

ネギをケツに刺すと良いって聞いたことがあるし……まぁオチが見えそうだし、やめておこう。


お見舞いの準備を終えて家を出る。

なつめの家は徒歩15秒もない距離、つまり隣同士だ。

二階からはお互いの部屋が見えてしまうほどで、小学生の頃はよくベランダ越しに話していた。

なつめが窓から窓へと部屋に侵入できるようになったのは、ここ最近のこと。

「鍵を占める癖がついたのも最近だったけな」


夕日が青空を飲み込んでいるようで、水色からオレンジへと綺麗なグラデーションとなっている。

空に見惚れすぎて、本来の目的を忘れるところだった。

家の前に着きインターホンを押すと、なつめの母親である、美弥子さんがインターホン越しに返事をしてくる。

「ちょっと待っててね」

少し待っているとドアの鍵が開く音がした。

ドアが開くと共になつめの母親である篠宮 美弥子さんが顔をだす。

「いらっしゃい裕太くん」

「おじゃまします、おばさん」

返事をすると美弥子さんが俺の肩に手を置く。

「裕太くん……」

低いトーンで俺の名前を呼んでくる。

娘の看病が忙しかったのか、疲れているのか……、主婦というのはたいへんな仕事なのかもしれない。

「お疲れですよね、あとは俺が見てるので少し休んでいてください」

「違うの……」

「はいっ?」

何が違うのかと悩んでいると、美弥子さんは自分に顔を近づけてきて……。

「裕太くん、私っておばさんなのっ!」

あ………、入るときにおばさんって言ったのを気にしてたのか。

「いや、違います。 でも、昔みたいになつめママなんて呼ぶわけにはいかないし、この年頃になると、友人も他人の母親のことをおばさんって呼んでいるので」

おばさんがボツボツと何かを言っている。

「それなら昔のようになつめママでもいいじゃない。 それが難しいなら美弥子でもいいのよ?」

「いや、そんな呼び方したら、旦那さんの大治郎さんにぶっ飛ばされそうなんで………」

「裕太くんがおばさんって呼ぶなら、私はこの家を出て若返りの修行をしてくるわっ」

それはマズイぞ。

「考え直してください。 分かりましたから、ちゃんとなつめママって呼びますから」

「なんで美弥子じゃないのよっ」

んな呼び方したら、誰の拳が飛んでくることか。

「美弥子さんは勘弁してください。 ちゃんとなつめママって呼ぶんで、呼ばさせていただきますので」

おばさん、いやなつめママは口に手を当てながら少し考え、渋々承諾してくれた。

「まぁ、おばさんじゃないなら、いいわよ」

よかった。 本当によかった。

「それならよかったです。 そろそろなつめのところに……」

「少し待っててね」

少し待たされると、なつめママに小さな封筒を渡される。

「お年玉ですか?」

「女の子の部屋に入るなら、必要なものよ。 ただし、ピンチのときになったら開けること」

なつめママは、笑顔でピースサインをおくってくる。

「あ、はい」

何が入ってるのか検討もつかないが、ロクなもんじゃなさそうだな。


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