六話
蓮は翠蘭に誓った通り、封印術が完璧に解除されると千里眼を使って敵国の状況を調べ始めた。が、あちら側も警戒しているのかなかなか多くの事を調べられない。そう、千里眼避けの結界を張り巡らせた始めているようだ。白來国はなかなかに慎重になっているようだった。
それでも、蓮は千里眼で調べ続けた。数少ない情報の中から皇太子の妾妃がかなりの数であることや国王が毒を盛られていることがわかった。
蓮が翠蘭に報告すると娑浬や弥生、睦月の三人を呼び出す。五人で会談を行った。蓮は自分も良いのだろうかと不安になる。
「三人ともよく来てくれた。蓮から千里眼の事で報告があってな。白來国の王は毒を盛られているらしい」
翠蘭が単刀直入に切り出すと三人の表情が鋭いものに変わる。
「ほう。現国王は毒を盛られているとは。蓮姫、王の状態はどうでしたか?」
まず最初に尋ねてきたのは娑浬だった。蓮は頷いて答える。
「毒の種類や強さまではわかりませんけど。王は床に臥せっていて顔色が青白い感じだったのは見えました。後、それを指示しているのは皇太子ではなく母君のようでした」
「な。母君が。ということは王妃が毒を盛っているのが見えたのですな?」
「…ええ。皇太子も王妃に言われるがままに武器を買い集めたり人の売り買いをしているようでした」
蓮がそこまで言うと娑浬と弥生が顔を見合わせる。睦月も何かしらを考えこんでいるようだ。翠蘭はふむと言いながら顎を撫でた。
「王妃が黒幕とはな。蓮が見た情報が正しいか裏付けをする。まあ、蓮を疑っているわけではない。証拠があった方がいいんでな」
「わかりました。引き続き調べてみます」
蓮が答えると睦月も翠蘭を見ながら言った。
「蓮姫の千里眼ばかりに頼るのではなく我らも動いてみる事にしてみます。陛下、よいでしょうか?」
「構わぬ。人手は多い方がいい。蓮ばかりに任せるのは負担が大きいしな」
翠蘭の許可の言葉に睦月はありがとうございますと頭を下げた。蓮も一礼をすると解散となる。弥生と睦月が彼女を部屋まで送ると言い出した。
「…え。お二人とも忙しいのに。私は一人でも戻れますよ」
「まあそうおっしゃらずに。わたしは呪術の腕が立ちますし弥生も優秀な兇手です。護衛には最適だと思いますよ」
睦月が言えば弥生も頷く。蓮は困って翠蘭を見る。
「護衛をしてもらいなさい。今の状況では一人になるのは危険だ。わたしだけではそなたを守りきれないしな」
翠蘭は穏やかに笑いながら告げた。蓮は仕方がないとため息をついて二人に頷いたのだった。
蓮が自室に戻ると睦月と弥生は仕事に戻っていった。それを見送りながら複雑な気分になる。扉を開けて中に入ると五十鈴と銀苓が出迎えてくれた。
「姫様。報告はうまくできましたか?」
早速、五十鈴が尋ねてくる。
「ええ。ちゃんとできたわ。けど、白來国の王様も気の毒だわ。毒を盛られるなんて」
「そうだったのですか。どこの国でも王様というものは大変ですね」
「そうよね。それは私も思うわ」
「まあ、立ち話も何ですから。冷茶をお出ししますね」
五十鈴がお茶の準備をし始めると銀苓も椅子に座るように促した。蓮はどっと疲れが出て椅子に倒れこむように座ったのだった。




