この夏終われ!
人によっては、ヒロインの性格微妙です。
また、当小説では都会>田舎みたいな描写があります。ご気分を害される可能性がある方はUターンお願いいたします。
夏休み、そう、それは俺にとって恐ろしいイベントの一つだ。
ちなみに時点で冬休みだ。そして、春休み…と続く。
何故ならば、長期休みになると必ず幼馴染みがやって来る。
「こーすけぇー!」
……おっと、噂をすればだ。
はっきり、正直、ぶっちゃけると俺は幼馴染みが嫌いだ。
「ちょっと、返事位しなさいよ!せーっかく、可愛い幼馴染みが来たってんだから!」
「はぁ?別にお願いなんてしてねーよ!むしろ、さっさと帰れ。」
「なんですって!?」
俺の幼馴染みこと麗花はかなり可愛い。ビジュアルは。(流石な都会民)代わりと言ってはなんだが、性格は最悪だ。
「あー、もう!またゲームなんてしてぇー…」
「わ、おま、やめろ!」
プチッ
うわぁぁぁぁあつつつつつ!!
「おい!!どーしてくれんだ!こっちは、徹夜でプレイしてたんだぞ!?」
やられた。徹夜明けの弱った状態ってこともあり、いとも容易くゲームを取られた上に電源を消された。
ほらな?性格最悪だろ。
これが初回では無い。……何度、俺のプレイ中のゲームの電源を切ってきたかわからない。バグったらどうしてくれるんだ、チクショウ。
「さてと、外に出かけましょう?」
「お前1人で行ってくれば良いだろ。……ってか、それ以前にお前、虫嫌いじゃん。」
「もう!わかってんだったら一緒に行ってよ!……それに都会にはこんなに豊かな自然は無いの。行かなきゃ損よ。」
この幼馴染みは、虫嫌いのくせに何が面白いんだか山とか畑とかに行くのが好きだ。普通、都会ったら「外とかだりー…クーラー、ゲーム…」って思うのが普通だろ。
俺のおふくろは麗花のそういう所を特に気に入ってる。…誰が麗花なんて嫁に貰ってやるか!…は置いといて、「ほいほい」と適当な返事をしつつ麗花と外に出る。
が、どうだろ?
「えーと、ねぇ、浩介?浩介ン家の庭…いつの間にリフォームしたの?」
…………その一言に込められた麗花の気持ちはよくわかる。何故なら、俺も全く同じ気持ちだからだ。
そう、
俺ン家の庭が……
荒野と化していた。
「えーと、うん。あれだね、まぁ、これはこれで味が有って良い庭感を出してる、んじゃないかな?って思わなくもないことも無いんじゃないかな…えーと、ほら、私は嫌いじゃないよ!」
混乱した麗花は、それでも、なんとかフォローしようとしてくれる。気持ちは嬉しいが、少し黙っててくれ!逆に混乱する。
「え、だって、え?私、今さっき浩介ン家に来たのよね?あれ、さっきからだったかしら?そうよね、きっと私が気がつかなかっただけね…うん。リフォーム、これはリフォームなのよ。」
誰がこんなリフォームするかっての!誰特のリフォームだ!
「……ねぇ、浩介?
きちんとお母様の許可を…」
「こんなん俺の趣味じゃねぇぇぇええええ!!」
さてと、麗花の混乱も一旦収まったことだし(麗花の相手してて自分が混乱してる場合じゃなかった)
「麗花ぁー、なんかあったか?」
「ううん、浩介は?」
「ない」
そういうと、露骨に悲しげな顔をした。……だが、(表情には丸出しだが)弱音は吐いてない。
「なぁ、……不安じゃないのか?」
「うーん、不安っちゃ不安だけど…大丈夫!浩介がいるから。」
……なんだよ、その信頼感。
「ふふ、なんだか昔を思い出すなぁ〜……そうだ、そろそろお昼になるんじゃない?一旦、浩介ン家に戻りましょう。」
「そうだな、」
昔のこと?と疑問に思ったが、それよりずっとこの状態の変化を解明する為に庭を歩いていた……から、正直腹は減りまくりだ。
「そうだな。」
と、俺らは家に戻ることにした。その時に見透かしたかの様な顔でニヤリとする幼馴染みに若干イラってきたのはご愛嬌だ。
家に帰ると誰もいなかった。…そりゃ、そうかおふくろは麗花が家に来る前に買い物へ行って、それから帰って来ていない。外がコレじゃあ、家に帰って来るにも帰れないだろう…
「おばさま、大丈夫かしら?」
自分のことを棚に上げて、人の心配をする麗花に「お前なぁ〜自分の心配しろって」と呟く。
「だーかーらー、私は浩介がいるから大丈夫なの!」
プイッと頬を膨らませて、謎の信頼感を見せて来た。
「で、浩介は何か食べたいものある?作るよ。」
「カップ麺で良いだ…
「健康に悪いわよ、…じゃあ、こっちで決めちゃうわね」
……さいですか。」
じゃあ、聞くなよ。
と、思いつつ待ってる間に麗花にブチ切りされたゲームを再び始めようと電源をつける…
「あれ…」
ゲーム画面を見ると
『now loading』
と真っ黒い画面にはっきりと文字が書かれてる。
「おかしいな、確かに電源を切られたのに…」
試しに自分でもブチ切りしたが切れない。『now loading』と画面は続く。
「浩介ぇー、料理出来たわよ」
「お、おぅ…」
台所に行くと、ソースの良い匂いが充満していた。
「すげぇ、美味そう。」
「でしょう?」
と、照れ臭そうに笑う。
麗花が作ったのは、焼きそばで野菜もふんだんに盛り込んでいることもあって色合いも良い。
「……うん、やっぱり美味い!」
味も上々だ。
「……えへへ、幸せだなぁ〜。ずっと、この時間が続けば良いのに…」
「ん?なんか言ったか?」
「んーん、何にも」
そうか、と1人納得して飯を食べ続けた。やばい、マジで美味い。
「んで、っと…」
飯を食い終わった俺は立ち上がる。
「何するの?」と聞く麗花に俺は答える。
「勉強。」
え、と麗花の目と口は面白い位に広がった。そして、何故か悲しそうに顔を歪めた。
「…探険、しないの?」
くはぁーっ、
「おまえはガキかっての、」
「そんなことないよ!…えーと、それに、そうだ、浩介はおばさまが心配じゃないの?」
「おふくろなら無事だっての、…家に帰れなくてもてきとーに雑草でも見つけて食ってんだろ。」
さっき探険してて気がついたんだが、荒野といえど微かに雑草は生えていた。本当に僅かだが、まぁ田舎者だからな、ちょっと位のものじゃ腹は壊さないだろう。ついでにこの機会におふくろは痩せろ。
「…」
麗花は無言で何かを訴えて来た。
「とにかく!俺やおふくろは草食って生きられるけど、お前は食えねぇーだろ。」
「そんなことないもん…浩介が食べられる草なら私にだって食べられる!」
「食べれても腹壊すわ!」
むすーと拗ねた状態の麗花に勉強を習うのは至難の技だった。
麗花は都会民なだけあって、頭が良い。「浩介が勉強ねぇ…まぁ、もう中3だもんね。一般的には受験か…」と残念そうにぼやく。
麗花は私立の中高一貫に通っているから受験は無い。なんて贅沢なやつだ。
「あーあ、せっかくの夏休みなのに…浩介と遊べ無いなんてなー…」
「だから、お前はガキかっての!」
「ガキで良いもん」
開き直りやがった…ったく、自分だけ受験が無いからって…
「……だって、夏休み位じゃない。」
「何がだよ」
「浩介と遊ぶの。」
物語開始当初にも言ったが、
こいつは長期休暇のたびにわざわざこっちに押しかけて来る。…別に夏休みだけじゃない。
「春休みは私がクラス替え試験とかで忙しいからって理由だけど、
冬休みは浩介が寒いって言って外に出ないからよ。」
「はぁ?お前、ボードゲームとか嫌いだっけ?」
「ちーがーうーの!ボードゲームも好きだけど、浩介といる時は外で遊びたいの!外が良いの!外で走り回ってる浩介が1番カッコいいの!!」
それこそ、ガキみたいに癇癪を起こして、手足をバタバタと動かした。
…………本当に、
この幼馴染みは性格最悪だ。
受験勉強しなきゃいけない俺に向かって「遊ぼう」なんて…なんて我儘な奴だ。
こっちは麗花と同じ高校を受験しようと必死になってるのに。
「……一つ聞く!」
ビシっと背筋を伸ばして、両手を(暴れてる)麗花の肩に置いて、じっと目を見る。
「な…なに…?」
どうしたのかと、暴れるのを止めてこちらの様子を伺う。
「外にいない時の俺だと、駄目か?麗花は俺のこと嫌いか?」
パッと顔を赤らませながらも、その様子に気にする事無く
「そんなことない!
私はどんな浩介だって大好き!!」
とすぐ様答えた。
「俺の第一志望は、お前と同じ高校だ。」
「……私、と同じ?」
今度はさっきの倍以上の大きさに目と口を広げて驚き、頬をピンクに染めて喜んだ。
「浩介!浩介!…じゃあ、高校からは長期休暇だけじゃなくてずーっと一緒に居られるんだね!!…東京に来る…あ!私ン家来て?……きゃ、これって同棲!?」
「しねーよ」
一応突っ込んでおいた。
「と・に・か・く、だ!俺の今のままの成績だと非常にまずい!…だから、この夏は勉強だ!!」
「私も手伝う!……あ、それより1人の方が勉強捗るかな…」
最初の勢いはどこにいったのか、「せっかく浩介と一緒にいるのにこれじゃあ生殺し…」とブツブツぼやいてる。こわい、なんか、こわよ…
「あーん、もう!夏休みなんて早く終われば良いんだわ!!」
聞いて下さい、この言葉。
最初とは明らかに矛盾しています。
そう叫ぶや否や
「あら、麗花ちゃん来てたんだね!」
おふくろが帰って来た。
「おばさま!?」
麗花が驚いてる間にも、窓の外を見ると……いつも通り。
いつも通りの俺ン家の庭だった。
ついでに、ゲームの画面を見た。ゲーム画面にはもう何も書かれて無い。普通に黒い画面が広がっている。
「あー、コラ。浩介!何ゲームなんかしてるんだい?…麗花ちゃんと同じ高校行きたいって浩介から言ったんだろ。さ、勉強勉強!」
「浩介…」と赤い顔してる幼馴染みを尻目に「はいはい」と動き出す。
「ゲームはもう誰かさんのせいでバグっちゃったからな。もう、散々だ。…勉強するよ。」
……はっきり、正直、ぶっちゃけると、俺はこの事件は幼馴染みによる執念によって引き起こされたバグだと思っている。全くなんて恐い執念だ。ワガママで世界を動かしやがった。
……こんな幼馴染みに付き合ってやる為にも「休憩のゲームだ!」とかなんとか言わずに勉強、頑張りますか……っと。




