五話目『契約と全白な部屋』
(●`з´●)
「タクト!...タクトッ!...おい!...タクトッ!」
その声は段々大きくなる、それでもタクトは聞こえず、立ち止まってずっと鍵を見つめる、でも僅かにタクトの中にその声が響き渡る。
「....は!?」
「タクト!?」
タクトは急に足を崩して床に腰を付く、そして哀れな顔で息切れをしている
「大丈夫か?」
「..ハァ..ハァ..あっああ、大丈夫...」
タクトは立ち上がり、また何も無かったかのようにまた二人で大掃除を始めた。
__その日の夜__
友達の圭吾は無事帰り、タクト一人が家に残された
夜の光がゆっくりと部屋に差し込む満月の夜、タクトは部屋の電気を消し、ベットへと倒れこむ、そして疲れが表情に出り、溜息をついて背筋を伸ばす、背筋を伸ばし終わったタクトは、あの女性、若葉恵美の言葉を思い出す。
『タクト君は完璧な【鍵の主】になってないんだよ、てことは契約するってこと、鍵に誓ってルールは守りますって言うの。』
タクトは一度鼻でフッと笑うと鍵を取り出し、半信半疑にそれを実行し始めた。
「ルールは守ります、だから僕を主にしてください」
恵美の言葉みたく言って見るものの、何も起きる気配がしない。
「なんだ、全部ただの嘘だったって事か....」
タクトは疑問になっていた自分の中のムズムズが開放されて、遊楽感と安心感が湧き上がって眠りに付く、すると部屋の中が妙に光っている違和感をタクトは感じ、目を開ける、その光は部屋の何処からも出てなく、自分から出ている事に気づくと、タクトは直ぐに心当たりのあるポケットに手を伸ばした、そして手にしたのは【白の鍵】、タクトは思っていた通り鍵が青白い光を発していた。
「本当に....若葉さんの言う事なら、これで契約は成功?..なのかな」
光が発し始めてから少し経つと、その光の量が増し、タクトを包むようにして光が圧縮されていく。
「な、何!?」
あまりの光の量にタクトは目がチカチカし始める、長いような短いような時間が過ぎ、光の塊はタクトを中心にして散らばって行く。
光が完全に消え去って、漸く自分の部屋の光景が見れると思ったタクトは猛然と立ち尽くした、なぜならそこは自分の部屋ではなく、壮大の高さと広さがある真っ白な部屋に移動されたのだ。
「........何ココ!??」
タクトはゆっくりと足を少し上げ、地面を踏み台にし、歩き出す、部屋は何も無く、ただただ真っ白な部屋、目の前はまるで永久に続く廊下が敷いてある、歩き始めてから少しの時、タクトの頭の中から声が聞こえ始めた。
(少年よ、ようこそ白の世界へ)
(`・д・´)