四話目『大掃除と突然の再会』
あの出来事から若葉恵美は姿を消し、タクトと唯一話し合える学校までも転校した、それでも唯一あの出来事から残ったのは【白の鍵】だけ、まだ詳しい訳も話されていないタクトはその鍵をどうする事も出来なく、大事に箱の中に入れ、自分の襖の奥にと封印した。
__それから一年後__
タクトは高校二年生になり、あの出来事は完全に忘れ切っていた、そして彼女の存在までもがタクトの頭の中から消えている。
そして時が過ぎ、大掃除の期。
「なぁ?今日暇?」
二年生になって、タクトは友達を作ることが出来、一日の三分の一はその友達と共に遊んでいる。
「え?忘れたの?今日は【大掃除】の日だよ、両親はいないけど」
「ああ、そっか、じゃあ手伝うは」
「え?圭吾の家はいいの?」
「いいって、いいって」
その友達の名は大林 圭吾、特に特徴は無く、平凡と暮らしている高校生、その圭吾と共に大掃除をする為、二人はタクトの家へ行く。
ガチャン
家の玄関の扉が開き、二人はその家の中に足を踏み入れる、家の中は驚くほどに汚く、友達の圭吾はドン引きをしていた、廊下の床を指でなぞるだけで、指には埃が付くほどに家全体は埃臭いとこに変化していた。
「おまっ!いつから掃除してないの?」
「う~ん、わからない」
「親は気づかないの?」
「うんん、親は夜遅く帰ってすぐベットに直進だから」
タクトは圭吾を玄関前で待たせて、自分の部屋に上がる、何かを取り出すと一直進に玄関に走った。
「おまたせー、はいこれ装着して」
「ん?」
「掃除用セット!」
「な....!?掃除用セット.....ですか」
なぜかエプロン、そして三角巾、マスクで完璧な掃除屋さんに変身した圭吾の姿をタクトは見て、手を口に当ててクスッと鼻で笑う。
「な、なんだよ!お前が着せたんだろ!」
「...ごめんごめん、プッ...つい笑っちまう」
「この野郎...」
「さてさて、始めようか」
タクトは手と手を同時にパンッ!っと叩く。
「圭吾はキッチンをモップ掛け、僕は僕の部屋と両親の部屋、残った部屋は僕達でやろうか」
「お、おう、そうだな」
タクトが命令を下し、圭吾はその命令を受ける、圭吾がモップと水入りバケツを取るとキッチンへと姿を消した。
タクトはその姿を見送り、自分は二階へと上がった。
__そして十五分後__
ガチャン
タクトの部屋の扉が開き、圭吾が尋ねる。
「もう終わったけど、次何処?」
「ああ、うーんじゃあ、そこの襖の中掃除して」
「ほいほいー」
圭吾が緩んでいる自分の三角巾の結びをキュッっと引き締めて、襖に手を伸ばし、開ける、開けた瞬間に圭吾の足元に何かが落ちる。
「タクト、なんだこれ?捨てて良い?」
圭吾の足元に落ちたのは見た目からして普通の箱、圭吾はその落ちた箱を拾うとタクトに聞く。
「ん?何?.....何それ?ちょっと見して」
タクトがその箱を手にすると、何かが頭に入って来るかのような感覚を感じ、あの【出来事】と、あの【女性】を思い出す。
タクトはその箱を床に間違って落とし、また拾い上げる、そして中身を開けると大事に閉まっている鍵を目の前に翳す。
「なんだそれ?....タクト?...おいタクト、タクト!」
タクトは鍵を翳しながらその鍵をじーっと見つめる、まるでメデューサにでも石にされたかのようにそのまま時が過ぎた。
がんばります!