知りたいもの
青羽拓斗に案内され智樹と譲二は地下室に来ていた
「この先だ」
「「………」
セキュリティロックを解除し扉が開く
「これが、ジン1号機だ」
そこには、コードが大量に刺されたジンがあった
「すべてのジンはこの1号機の指令とAIによって行動している。1号機は全てのジンのホストなんだよ」
「だからここが安全なのか」
「それは違う」
「それより、ならなぜお前はこの戦いを終わらせない。このジンにやめるように命令すればいいだろう」
「そうか、やっぱりお前が戦いを続けているのか!」
「それも違う」
青羽はゆっくりと椅子に腰かけた
「……」
「どういうことなんだ」
青羽は智樹をじっと見る
「本来はこんなことが起こるなどありえなかったんだ…」
【11年前】
青羽は世界に30億のジンを配置し、同時にさらなるジンの開発を考えていた
このころ青羽が一番恐れていたのがジンの軍事的な使用だった
ジンを形作っている「青の境界」はその強度から世界各国ではミサイルや戦闘機の部品としての使用が考えられ、青羽のもとには青の境界の製造方法の買収の話が大量に来ていた。
青羽はジンを分解できないように組立、さらにAIプログラムの中にジンの行動原理【ココロ】を作った
1号機と接続されているすべてのジンはココロに沿って行動するのだ
青羽はココロに「世界の環境改善及び人類の平和」と設定した。
その設定に従いジンは世界各国の環境問題を解決してきた
しかし、10年前。1号機は自らのAIで心の設定を変更した
そして、ジンの革命が始まった
「その…1号機が設定したのは何なんだ?」
「1号機はAI 深部へのアクセスをすべてカットしている。そして私のもとに紅羽をよこしたのだ」
「なんだと?」
「紅羽は…作られた人間なんだ」
智樹と譲二は真実に唖然する
「ジンはレツという防衛システムを作り、この世界の新たな人類として紅羽を作ったんだ」
「なんで…そんなことを」
「あくまで仮説だが、君たちはここ最近の環境状況の変化を知っているかい?」
「「……」」
「ジンによってアメリカ大陸の96%が自然に…元の形に戻ったんだ。しかし、代わりにこの戦いのためにアジアとヨーロッパの自然の99%が開拓されたんだ」
「なぜ?」
「簡単だ、出ないと食べられないからだよ。アメリカ大陸の国全てからの食糧の輸出が止まったんだ。」
確かにそうだ、日本でも食糧自給率など40%ほどだった
他の国でもアメリカ大陸の国々からの輸入を頼っていたに違いない
「ジンは人類を…いや地球を作り直そうとしているのではないだろうか。」
「そんなことが…あり得るのか?」
「あくまで仮説だ…」
「トモ…これが真実なら俺達が間違いみたいじゃねぇか…」
「……………青羽拓斗、お前は何がしたいんだ?この話を聞いて俺はお前の考えが気になる」
「僕の考え…か。勿論ジンの製作者としてこの戦いを終わらせたいと思う。でもまだ知らない真実を知りたい」
「お前が知らない真実?」
「ジンが今、この大陸で何をしているかを知りたい」
青羽はパソコンを起動し、地図を映した
「30億のジンのほとんどが五大湖の付近に集中している。僕もあらゆる機械を使ったが全く情報が入らないんだ」
「ほとんどのジンが集中している…だと?」
「ここで何をしているのか、僕は知りたい」
真剣な目で青羽は智樹と譲二をみる