出逢い
障壁の上から太陽が見えて来た頃
智樹と譲二は崖から降りる準備を行っていた
「んじゃ、行きますか!」
「ああ」
2人は勢いよく飛び降りる
腰に巻いたワイヤーで徐々に減速しゆっくりと地面に着地した
「しかし、帰りはどうするかね?」
上を見上げながら譲二はつぶやく
「それは帰りまでほかの方法がなかった時に考えるぞ。ともかく今は作戦を優先して進む」
「了解」
崖の上から見ると大自然のようだったが、いざ来てみるとあちこちに道路の跡や半壊のビル群があった
「これがジンの力ってわけかよ。おっかねぇな」
「…」
「どうした?」
先導している智樹が急に止まりだす
「カメラ…」
「撮影しとくのか?確かバックの中に…」
「違う、あそこの監視カメラが作動している」
「なに?」
2人は物陰に急いで身を潜める
確かにカメラは時折向きを変えている
「おい、トモ。もしあれの映像が相手に伝わったら…」
「ジョー、すぐにここを離れる!!急ぐぞ!」
2人はしばらく走り、古びた建物の中に避難した
「この中にはカメラはないな…」
「こっちもなかった。しばらく休もう」
腰を下ろし休憩を始める二人
「なぁ、見ろよ」
譲二が時計を見せる
「俺らが白島を出発して24時間だ。」
「なんだよ24時間で満足なのか?」
「そうじゃねぇよ、やっぱお前と一緒でよかった。ありがとな」
「……」
「なんだ、照れてんのか?」
「照れてねぇよ。そういうのは生きて帰ってから言えよな」
「そうだな…」
その時、外から足音がする
「「!!」」
警戒する2人
「足音?ほかに生き残りがいたのか?」
「分からんがレツやジンではないな。機械音が聞こえない」
近づく足音、やがてそれは二人の近くで止まった
「ばれたか!?」
「まだ決まってない、今は動くな」
「ららーらーら、ららーらーら。ららららーらーら」
それは透き通るような美しい歌声だった
2人が覗き込むと、そこには美しい少女がいた
少女は智樹と譲二に気付かず歌い続ける
智樹は歌に聞きほれて銃を落とす
「っ!だれ!?」
「「……」」
智樹と譲二は物陰から飛び出し銃を構える
「………だれ?」
銃を向けられても、少女は先ほどと同じように美しい声で二人に問いかける