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戦地へ



田村智樹という少年がいた。

中学生まで彼は、いや…彼らと同じ年の少年少女は普通の生活を送っていた

毎日学校に通い、授業を受け帰宅する


「ただいま」

「……………」

「母さん?」


いつものように家に帰ると、迎えてくれる母親からの返事がない

しかし、リビングに行くと母親がいた


「なんだよ、いるなら返事くらい…」

「智樹…大樹が、大樹が……」

「兄貴がどうしたんだよ?」


智樹には大学生の兄がいた

しかし、そのころには自衛隊は壊滅に近い状態にあり一般人からもたくさんの人が戦地に向かった

智樹の兄・大樹もその一人だ


「大樹が…死んだって……」

「はぁ?」

「緑島で、レツの軍隊と激突して…」

「緑島って、日本が作ってるアメリカに一番近い?なんでそんなところに兄貴が?」

「もう…自衛隊なんてひとがいないんだって。それで…一般の人も…」

「ふざけんな!そんなことあるかよ!そんなんなら今頃ニュースに!」


智樹はテレビをつける


「えー、この時間は夕方のドラマ放送の時間ですが急きょ予定を変更して皆様に重大な発表があります」

「なんだと…これは」


智樹はあらゆるチャンネルに変更するがどれも国会議事堂を映している


「来ました!小山総理です。今回、この場で何を発表するのでしょうか?」

「えー、国民の皆様にご報告があります。先週未明、我が国が1兆の予算の出し作り出した緑島が壊滅しました」

「そっ、総理!どういうことですか!」

「緑島はレツとの交戦により壊滅しました。さらに緑島において活動していた自衛隊及び…一般兵の方々、合わせて8000人の死亡が確定しております」

「なぜ緑島に一般兵がいたんでか!」

「……現在、我が国の自衛隊は70人もいません。今回緑島に全戦力を投入し、不足分を一般兵からの有志で派遣しました。」

「つまり、もう自衛隊はいないと?」

「そうなります…そしてこれより義務教育の終了した12歳から29歳までの全国民に対し徴兵を行います」


そういって小山総理大臣は下がっていった


「みなさん!お聞きになりましたでしょうか?徴兵です12歳から29歳までの皆さんは徴兵の対象です!」


智樹はテレビを切った


「12歳から徴兵だと?」

「智樹…」







次の日学校では暗い雰囲気が漂っていた。智樹の通う3年2組でも


「みんな昨日のニュースは見たと思う。すでに2年4組の秋月先生は今朝徴兵に出発なされた。みんなはあと2か月半で徴兵に向かうことになる…」

「…………」

「それで今日から国の意向で時間割も変更になった。今日から君たちには体力の向上や武器の使用方法に往いて学んでもらうことになるだろう」


この日を境に子供たちの生活は一変した

学校の教師は総替えされ元・自衛隊による武器の使用や戦術を叩き込まれた

不登校など許されず、引きずられるように学校に引っ張られる生徒も少なくなかった

とうぜんPTAだのが抗議したが全て意味がなく

生徒たちは授業に取り組んだ

毎日のようにニュースで流れる日本軍の敗北

今まで国が隠そうとしていた情報が洩れ、どれだけ日本が危機的状況にあるのか痛感した




そして智樹は、卒業式を迎えた

卒業式を終えた生徒はバスに乗せられ、兵舎に運ばれた

そこでさらに半年の訓練を終えた生徒はそれぞれの戦地に配置された


「田村智樹」

「はい!」


上官より手渡された紙には智樹の配属先が書かれている


「白島…」


当時作られたばかりのアメリカに一番近い人工島





白島行の飛行機では嘆く者がたくさんいた

最前線に送られるということはそれだけ死ぬ確率が高いということだ


智樹の母親は心労で1か月前に亡くなった

父親はいるが、母が死んだあと仕事に没頭している



「俺は生き残る」



智樹は小さくつぶやいた


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