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夢から現

どれだけ我を失っていたのだろう。

深呼吸をして心の乱れ騙すように静かに話しかけた。

「これはどう言う事なのかな? 説明してもらえないかな?」

美緒は何も言わず素っ気無い態度を取り続けている。

「きちんと事情を説明してくれないと俺にはどうする事も出来ないのだが。この転出届はお母さんが取りに行ったのかな?」

美緒はただ首を横に振った。

たしか真帆の両親は健在のはずだそんな事が頭に浮かんできた。

「それじゃ、お爺さんかお婆さんが取りに行ったんだね」

「ママが石垣島の話ばかりするから我儘を言って無理矢理……」

「このまま、東京に帰りなさい。俺の連絡先を教えるから」

「嫌だ! 帰らない!」

美緒が始めて言葉にした意思表示だった。

「君は未成年で14歳というと中学生だろ」

「ママが昔付き合っていた彼氏の所にも行った『俺には関係ない!』と取り合ってくれなかった。石垣島で付き合っていた男に決まってるって」

確立が鰻登りに上がっていくと共に、俺の温度は急速に下がっていく。

正直、当然な気持ちだと思う。

降って湧いたように昔付き合っていた彼女の子どもと言う少女が現れ、父親を探していると言う。

その上に転出届けや転校の為に必要な書類も完璧に整え、一度も来た事が無いであろう日本の南西の端にある島に独りで来たのだから。

「それで、俺が父親かもしれないと独りでこんな島まで来たと? 腑に落ちない話だが君がここに居るという事だけは真実だ。DNA鑑定でもしてはっきりさせるのが望なのかな?」

唾液などで調べる父子のDNA鑑定なら3万程度から出来ると聞いた事がある。

瞬時に真帆の血液型を思いだそうとしたがはっきりと思い出せなかった。

「違う。ママが楽しそうに話していたこの島で暮らしたい」

「父親を探しに来たんじゃないのか?」

俺の質問に美緒は答えずに唇をかみ締めて俯いてしまった。 

夢から現に引き戻された瞬間だった。



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