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も、変わるのかな

「行こうか」

「うん」

満足げな顔で美緒が頷き、車で来た道を走る。

「髪の毛がベタベタだぁ」

「それじゃ、水浴びでもしてから昼飯にしよう」

「水浴び?」

トミーのぱんから少し走った所にある小さな橋の手前で車を道路脇に停めた。

車から降りると水音が聞こえてくる。

「水の音がする」

「この下に荒川の滝って言う小さな滝があるんだ」

道を渡り欄干の脇の小道を降りていくと岩場になっていてその先に小さな滝つぼがあり3メートル程の落差の滝から止め処なく水が落ちていた。

大きな岩から滑らないように気をつけながら滝に近づき水に足をつけた。

「まだ、冷たいな」

「本当に? ひゃ! 冷たい」

海で泳いで日に焼けた体にはとても冷たく感じる、少しずつ体を慣らしながら水に入り思い切って泳ぎ出し滝に打たれると火照った体が一気にクールダウンした。

「気持ち良い!」

「冷たくない?」

「冷たいから気持ち良いんじゃないか」

「それじゃ、美緒も。ひや!」

美緒が恐る恐る水に入り滝つぼを歩き出した。

「美緒はシカバーだな」

「しかばー?」

「怖がりって意味だよ」

「怖くないもん、冷たいだけだもん!」

そう言いながら美緒が水を手でかけてきた。

「やったな! ほれ!」

「冷たいよ! パパのバーカ! でも気持ち良いね。凄く静かだし」

「夏場の休日は島の子ども達でいっぱいだぞ」

「へぇ、そうなんだ」

「昔はこの滝つぼは俺でも背が届かないくらいだったのに台風で岩場が崩れて浅くなってしまったんだ」

「ふぅん、そんなに深かったんだ。パパが石垣島にきた時と今とどう変ったの?」

「そうだな、人が増えて車が増えて便利にはなったけどどうなんだろう。昔の方が良かったのかも知れないな」

「そうかなぁ」

「流石に冷えてきたから出よう」

腕を擦りながら滝つぼから上がる。

大きな岩に登り美緒に手を差し出すと躊躇いながら手を掴んだ。

「それ!」

片手で美緒を引っ張り挙げる。

「美緒は軽いな」

「ママとどっちが軽いと思う?」

突然の美緒の質問に戸惑うが笑って誤魔化した。

「さぁ、真帆にこんな事をしたかなんて忘れたよ」

「石垣島が変るようにパパも変るのかな?」

「そりゃ変るさ、年を取って白髪になって。でも変らないところもあるかな」

「どこが変らないの?」

「内緒だよ」

「ずるい教えてよ!」

「目には見えないからな」

「判んないよ!」



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