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変化

慌しく嵐の様なゴールデンウィークが過ぎていった。

美緒は不機嫌な顔で俺の顔を睨みつけていた。

「パパの馬鹿! どこにも連れて行ってくれないんだから」

「海には何回か行っただろ」

「夕方からじゃ詰まんない。綺麗なお魚さんを見たい」

「石崎にも居るだろう」

「そうじゃなくって。ああ、もう良いもん。仕事ばっかりしてれば良いよ。美緒はグレてやる」

美緒の言うとおりゴールデンウィーク中はあまり美緒を構ってやれなかった、それはただでさえ忙しいのに俺が仕事を一つ増やしてしまった事に起因した。

「なんで、夜から他の仕事に行くの?」

「仕方が無いだろ、どうしてもって頼まれたんだから」

「もしかしてこれからも続けるの?」

「そうだな、やり始めてしまった事だからな」

「ぶぅ~美緒を放ったらかしで」

美緒が剥れて頬を膨らませた。


学校での喧嘩やイジメうんぬんがなんとか落ち着いてから美緒に変化が見られ。

俺の事を少しは? 認めてくれている様に感じた。

学校の方は腕時計事件の相手がイジメなどの首謀者だったらしく鳴りを潜めてしまい、友達も沢山できて休みの度に遊びに出かけている。

そして、時々俺が海に連れて行くので美緒は少しだけ日焼けして健康的になっていた。

「それじゃ、今度の休みに晴れたら潜りに連れて行ってやるから」

「本当に? やった! 約束だからな」


約束どおり美緒と休日に車で米原キャンプ場のビーチに来ていた。

「うわぁ、ここのビーチも綺麗だな。でも人が多いな」

「ここは観光客や地元の人がよく来るビーチだからな」

「やっぱり、日が高い時間の海は色が違うな」

「紫外線も強いからな。日焼け止めをちゃんと塗るんだぞ」

「判ってるよ。でもかなり黒くなってきちゃったな」

砂浜に穴を掘り使い古しのパラソルを立てて石で固定して、パラソルの下に荷物を置き水着に着替える。

着替えると言っても家で水着に着替えているので着ている洋服を脱ぐだけなのだが。

「じゃ~ん、新しい水着だよ」

美緒が水着になって俺の前に立った。

その水着は何回か海に行った時のワンピースではなくピンク色の可愛らしいストライプのビキニだった。

「どう? 可愛い? 似合ってる?」

「良いんじゃないか」

「もう、もう少し言い方が無いかなぁ」

良く似合っていた。

真帆に似たのだろう中学生にしては発育が良くスタイルの良い美緒の姿を恥ずかしくってまともに見れなかったと言うのが正直な所だった。

「つまんないの」

「あのな、どこの親が娘の水着姿をみて喜ぶか?」

「ああ、一応娘だって認めるんだ」

「帰るぞ」

「駄目! せっかく来たのに」

「それじゃ、準備をしてくいれ」

「うん」

美緒が急いで日焼け止めを体に塗り始めた。

俺はメッシュバッグから2人分のシュノーケルの道具を取り出していた。

「パパ、背中、背中が塗れない」

「自分で何とかしろ」

「届かないんだもん!」

「はいはい」

美緒の肩と背中にまんべんなく日焼け止めを塗る。

「美緒の体って色っぽい?」

「バーカ、中学生がそんな事を言うもんじゃない。行くぞ」

そう言って頭を小突くと 母親似の小悪魔な様な笑顔で美緒が答えた。

「うん!」

リーフの内側の穏やかな海の中にある大きな造礁珊瑚の上を歩いてリーフに向う。

今日は風が穏やかで外海も波が静かだった。

リーフに近づくと目の覚めるような青い海が広がっていた。

「なぁ、深いのか?」

「まぁ、深いって言えば深いかな。怖いのか?」

「少しだけ」

「ダイビングとかした事が無いのか?」

「うん」

「浮き輪でも取って来るか?」

「いらない」

「あのな、怖いのなら」

「大丈夫だよ、パパが居るもん!」

怖さを紛らわせるかのように美緒が強い口調で言った。

「海は体の力を抜けば沈む事は無いからな」

そう言いながら、リーフのエッジがスロープの様になっている所を探す。

美緒にフィンとマスク&シュノーケルとグローブを着けさせて、俺が先に海に入って自分の準備をする。

「ほら、ゆっくりで良いからおいで」

「う、うん」


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