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夢だ夢

ピンポン!ピンポン!ピンポン!

未だ夢の中に居るのに、どこかで呼び鈴が鳴っていた。

ピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポ!

未だ夢の中に居たいのに、呼び鈴が連打されていた。

「うるせえなぁ、誰だよ。ふざけんな!!」

忙しかった春休みがもう直ぐ終わる。

そんな平日だった。

日本列島の南西の隅っこにある石垣島では海開きも3月の中旬に行なわれ。

もう4月だというのに窓の外を見ると冷たい雨が降っていて少し肌寒かった。

「また、今日は寒いな……」

少し暖かくなり間違えて冬ごもりから目覚めた熊の様に、のっそりとベッドから這い出してTシャツにトランクス姿で玄関に向う。

今にも人を殺しそうな不機嫌の権化の様な寝起き顔で玄関を開けると、大抵のセールスや勧誘しに来た人間は顔を引き攣らせてパンフレットなどを手渡しておずおずと帰って行く。


しかし、ドアを開けてそこに居たのは……

栗毛色の髪の毛をツインテールの様に2つに縛り。

白いTシャツを着てピンク系のチェックのオーバーオールを穿いて、大きなバッグを持っている。

見覚えのある人懐こさそうな笑顔……

ではなく、今にもナイフを取り出しそうな顔をした少女が俺の顔を睨みつけている。

液体窒素で瞬間冷凍されてしまった金魚の様に、一瞬で何もかもがぶっ飛んでフリーズする。

そして、水に戻されて解凍してゆっくり泳ぎ出す金魚みたいに鈍い思考が動き出した。

『俺はまだ寝ているのか? 確かに寝起きは悪いが……これは夢なのか?』

『ありえねぇ! 夢だ夢! もう一度、寝よう』

徐に錆びて立て付けが悪くなった古い鉄製のマンションのドアを閉めた。

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